【図解】コレ1枚でわかる「モノ」の価値のシフト
かつてモノの機能や性能、操作性や品質は、ハードウェアのメカニズムやその作り方に依存していました。その後、モノには、ソフトウェアが組み込みまれ、それらを実現するようになったのです。
例えば、以前のカメラは、露出、ピント、絞り、シャッター・スピード、感度、発色などは、ハードウェアのメカニズムやフイルムなどによって実現していました。しかし、最近のデジタルカメラは、そこに組み込まれたソフトウェアによって実現しています。
いまでもハードウェアは、モノの価値を決める要素です。しかし、それは全体の一部に過ぎません。むしろ、ソフトウェアの機能や性能が、モノの価値を実現する上で大きな役割を占めるようになりました。
IoTは、この「ハードウェア+ソフトウェア」で構成された「モノ」をネットワークにつなげることで、価値の本質をサービスへとシフトさせようとしています。
例えば、デジタルカメラをインターネットにつないで、ソフトウェアを更新すれば、連写機能を向上させたり、アートフィルターの種類を増やしたりと、買ったときよりも高機能なものに変えてくれます。また、米国の電気自動車テスラのモデルS/Dシリーズには、自動運転機能が組み込まれています。いまは法律上の規制もあって完全な自動運転はできませんが、いずれはソフトウェアの更新によって完全な自律走行ができるようになるということです。また、AppleのiPodは、iTunes Music StoreやApple Musicというクラウド・サービスと一体となって提供されるからこそ、人気を博しているのです。
このように、モノがネットワークにつながることで、モノは購入した後も継続的に価値を向上し続けます。「モノ」は、それを作り、出荷することで完結するのではなく、もの作りとその後のサービスが一体となって、モノの価値を実現しつつあるのです。
また、IoTは稼働状況をリアルタイムで確実に計測できるしくみでもあります。これにより、「モノ」を売らずに、タクシー料金のように使用量に応じて課金するといった「サービスとしてモノ」を提供するビジネスも可能になります。例えば、航空機用のジェット・エンジンを製造・販売する英ロールスロイスは、エンジンという「モノ」を販売するのではなく、実際に使用した時間と出力の積に応じて、エンジンの利用者である航空会社に利用量を請求する「Power by the Hour」というサービスを提供しています。エンジンに組み込まれたセンサーが、エンジンの使用状況や各部品の消耗具合、不具合などを検知し、ネットを経由してそのデータを送ります。そのデータは解析され、修理・点検の必要性やタイミングを個別に判断し、故障で動かなくなる前に対応できるようになります。これにより、より安全な運行が実現し、機材の稼働率が上がることで、ユーザーの満足度は高まります。さらに保守・点検のタイミングや必要な部品の在庫、エンジニアの稼働が最適化されることから、サービス・コストの削減が可能になります。
このように、モノそのものではなく、モノを含むサービス全体が新たな価値を生みだそうとしています。IoTビジネスは、このような「モノ」の価値のシフトを前提に考えてゆく必要があるでしょう。
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- 9万円(+消費税)
全期間の参加費と資料・教材を含む
「最新のITトレンドとビジネス戦略を最新版に更新しました。
テクノロジー編【2015年8月版】(292ページ)
*新規ページを18ページを追加し、全292ページとなりました。
*最新の解説文を25ページ追加した。
・新たにERPの章を設け、18ページのプレゼンテーションを追加
・IoTおよびITインフラ(仮想化とSDI)に関するプレゼンテーションを一部改訂し、解説文を追加
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目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン