【図解】コレ1枚でわかるFinTech
テクノロジーを武器に、ITベンチャーが新しい金融サービスを続々と登場させています。FinTechと呼ばれる新たなサービス分野は、銀行やカード会社といった金融機関が、これまで手を出してこなかったビジネス分野を開拓しようとしています。また、融資や決済といった銀行の基幹業務、さらには、通貨制度といった既存の金融システムの根幹を揺さぶる可能性もあります。
FinTechとは、Finance(金融)とTechnology(技術)を融合した造語ですが、この分野にスタートアップ企業が続々と登場し、それを後押しするように、ベンチャーキャピタルや既存の金融機関などからの投資が、年々増大しています。
FinTech企業は、資金の「調達」、「流通」、「活用」と、この仕組みを支える「基盤」の4つのビジネス分野に区分することができそうです。
調達
融資サービス
融資を受けたい人や企業と投資したい人や企業をマッチングさせるサービスです。ソーシャルレンディング(Social Lending)と呼ばれています。不特定多数の人がインターネット経由で他の人々や組織に資金提供や寄付などの協力を求めるクラウド・ファウンディング(crowd[群衆]funding[資金調達])もここに含まれます。
イギリスのZOPA、米国のProsper 、Lending Club、LendingClub、Kabbage、OnDeckなどがあります。また我が国では、maneo、Crowdcredit、SBIソーシャルレンディング、クラウドクレジット、ラッキーバンクなどがあります。また、自社のECサイトで商品を売る企業に対して、その取引状況から与信を分析・評価して融資する、楽天スーパービジネスローン、Amazonレイディング、GMOトランザクション・レイディング、JNB(ジャパネット銀行)ストアローンなどがあります。
流通
決済サービス
決済機能を提供するサービスです。スマートフォンをクレジットカードの決済端末にするモバイル決済や決済代行などがあります。審査スピードの短さや手数料の安さ、決済機能のECサイトへの組み込みの手軽さなどを武器に大手のカード会社や決済代行会社のビジネスを脅かす存在になりつつあります。
米国のPayPal、Stripe、Square、Braintree、さらには後程紹介する暗号通貨での決済を可能にするCoinebaseなどがあります。我が国では、WebPay、Coiney、SPIKEなどがあります。
送金サービス
送金を代行してくれるサービスです。例えば、イギリスのPaymは、携帯電話番号だけで個人間送金ができるサービスを提供しています。また、SNSによる個人間送金サービスも登場しています。中国のWeChatが運営するWeChat Payment、日本のLINE が運営するLINE Pay、さらに楽天銀行がFacebookの友達へ送金できるサービスを提供しています。
個人向け資産管理サービス
個人の資産管理を支援するサービスです。金融機関やカード会社からから自動的に取引の記録を取得できる家計簿アプリなどもここに含まれます。
米国のMint、CreditKarma、日本のMoneyforward, Zaim, Moneytreeなどがあります。
投資アドバイス・サービス
個人投資の手助けをしてくれるサービスです。ロボ・アドバイザーとも呼ばれ、統計解析手法や人工知能を駆使し、家族構成、収入、ローン、投資趣向などの個人プロフィールと市場データを分析し、最適なポートフォリオを提案するといった投資・運用のアドバイスをしてくれます。
米国のBetterment、FutureAdvisor、Wealthfront、日本のお金のデザイン、あすかぶ!、アノマリーサーチなどがあります。
会計サービス
記帳、仕訳、決算書の作成など、会計業務に必要な機能を提供するサービスです。税法改正に直ちに対応してくれるため、これまでのような会計ソフトウエアやシステムの改修は必要ありません。また、機能の向上や使い勝手のたびに会計ソフトをアップグレードしたり、買い換えたりする必要もありません。
MFクラウド会計、freee、やよいの店舗経営オンライン、ネットde会計などがあります。
経営支援サービス
企業経営者に対して資金調達やビジネス・プランのアドバイスを提供してくれるサービスです。事業業績や資金需要などを分析し、その企業にとって最適な事業ポートフォリオや資金調達方法などをアドバイスしてくれます。米国のBodeTreeなどがあります。
銀行サービス
銀行業務の代理店サービスとも言えるオンライン専用の銀行です。店舗はありませんが、銀行と提携しATMでの入出金や店舗決済にも対応し、口座維持などの手数料が無料や低料金で利用できます。また、費目の自動振り分けや個人資産管理機能を提供してくれるものもあります。使いやすくデザインも洗練されたスマートフォンアプリを提供し、ユーザーを増やしているようです。米国のSimpleやMoven、ドイツのNumber26などがあります。
基盤
銀行インフラ・サービス
銀行のデータにアクセスするためのAPIを提供しているサービスです。既存の銀行システムとデータをやり取りするためのAPI(Application Program Interface)と独自のスマートフォンアプリを使い、無店舗のモバイル銀行サービスを構築することができます。米国のPlaidやドイツのOpen Bank Projectなどの取り組みがあります。
暗号通貨
暗号通貨(Cryptocurrency、仮想通貨とも言われます)は、高度な暗号化や電子署名の技術を駆使し、国家機関や中央銀行といった公的権威に依存することなく、ネット上を流通する通貨です。国家機関や中央銀行といった権威に担保されないため信用や価値は、ネットワーク参加者全体で相互に形成されてゆきます。そのため価値下落を防ぐ努力をしてくれる公的な組織や体制は存在しません。一方で、使用者の意図に反して価値をコントロールすることもできないといった特徴を持っています。
Bitcoinが有名ですが、それ以外にもRipple、Litecoin、Dogecoin、Bitshares などがあります。現在は、投資目的での利用が多いようですが、実際の物品購入やサービス利用にも使われはじめています。
既存の法律や制度による規制の多い金融業界ですが、FinTechの登場により、これまでの常識を大きく揺さぶり始めています。金融業界や規制当局は、この変化への対応を求められているのです。
募集開始!ITソリューション塾【第20期】・10月開催
いよいよ、今年最後のITソリューション塾・東京を開催いたします。
- 期間 初回2015年10月6日(火)〜最終回12月10日(木) 18:30〜20:30
- 回数 全10回
- 定員 60名
- 場所 アシスト本社/東京・市ヶ谷
- 参加費用
- 9万円(+消費税)
全期間の参加費と資料・教材を含む
「最新のITトレンドとビジネス戦略を最新版に更新しました。
テクノロジー編【2015年8月版】(292ページ)
*新規ページを18ページを追加し、全292ページとなりました。
*最新の解説文を25ページ追加した。
・新たにERPの章を設け、18ページのプレゼンテーションを追加
・IoTおよびITインフラ(仮想化とSDI)に関するプレゼンテーションを一部改訂し、解説文を追加
・アナリティクスに関するプレゼンテーションを改訂し、解説文を追加
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目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン