【図解】コレ1枚でわかるビジネス・トレンド(1/2)
これまでご紹介して参りましたテクノロジーのトレンドとこれからのITビジネスの関係について、2回に分けて考えてゆきます。
ITビジネスからデジタル・ビジネスへ
数多くのセンサーが組み込まれネットにつながるスマートフォンやウェアラブルは、私たちの日々の活動をデジタル・データ化するデバイスとして、既に広く使われるようになりました。また、IoTの普及は、さらに広範な私たちの日常や社会活動のデジタル・データ化を加速してゆくことになるでしょう。
ソーシャルメディアもまた、そこでやり取りされる会話や画像、動画は人工知能によって解析され、世の中の話題や商品・サービスについての評価、人と人のつながりがデジタル・データ化しています。
気がつけば、私たちの現実社会は、ことごとくデジタル・データでネットにつながり、多くの恩恵を得る一方で、様々に利用される時代を迎えています。
また、自律走行車やロボット、3Dプリンティングの普及は、機械と人間との新しい係わりを生みだそうとしています。
このようなテクノロジーのトレンドは、私たちの日常に様々な変化をもたらし、社会、経済に関わる活動もまた変化します。
私たちは、これまで「情報(Information)」を処理し、それを受け渡すテクノロジーに牽引され、生産性や利便性を高めてきました。しかし、これからは、より広範な生活や社会の活動をデジタル(Digital)化するテクノロジーが、「人間しかできなかったこと」を代替し、「人間にできなかったこと」をも可能にする時代を迎えようとしています。
私たちは、このような時代の大きな節目に立たされているのです。ならば、より視野を広げ、これからのビジネスを捉えてゆくために、あえてデジタル・ビジネスという言葉を使ってみてもいいかもしれません。
ITビジネスという言葉が、時代にそぐわないという訳ではありません。ただ、これまでITビジネスは、「システムを作り、それを使わせる」ビジネスとしての歴史を歩んできました。その既成概念を取り払い、「デジタルの価値を活かす」ビジネスへと、自らの役割を再定義してみてはいかがでしょうか。そのような意味から、デジタル・ビジネスという言葉がふさわしいかもしれません。
ビジネスを牽引する3つのドライビング・フォース
デジタル・テクノロジーに支えられたこれからのビジネスは、「オープン化」、「スマート化」、「サービス化」といった3つのドライビング・フォースに牽引されてゆきます。
オープン化
OSS(Open Source Software)に牽引され、ソフトウェアに留まらず、データやハードウェアのオープン化を加速します。さらには、モバイルやウェアラブルのさらなる普及、IoTの登場、ソーシャルメディアの一層の活用は、人のつながりや世の中のできごとをこれまでにも増してデジタル・データ化し、さらにはオープン化してゆくことになるでしょう。そして、デジタルに支えられた社会インフラは、ますますオープンになり、私たちの日常や社会に深く関わってゆきます。
スマート化
人工知能(AI: Artificial Intelligence)に牽引され、ロボットやスマート・アシスタントなど、新しい人と機械との関係が生まれます。また、こちらの意向や行動を先読みして仕事をしてくれるコンテキスト・テクノロジーの進化は、利便性や生産性だけではない、新しい機械の活用のあり方を産み出す力となります。
サービス化
クラウド・コンピューティングに牽引され、インフラ、プラットフォーム、アプリケーションの全てのレイヤーでサービス化が促進されます。ビジネスもまたモノを扱うことからサービスを扱うことへと重心を移してゆきます。例えば、センサーやカメラが組み込まれた冷蔵庫がネットにつながり、人工知能が、入っているものを常時把握できるしくみが実現すれば、冷蔵庫という「モノ」は無料で提供され、食品の自動配達や食材・レシピの提供という「サービス」で儲けるビジネスが登場するかもしれません。このように、モノはサービスを構成する一部となり、サービスがビジネスの主体となる時代がますます拡がってゆきます。
次回は、これからのビジネス・トレンドを支えるキーワードについて、ひとつひとつ見てゆくことにしましょう。
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テクノロジー編【2015年7月版】(292ページ)
*新規ページを18ページを追加し、全292ページとなりました。
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目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン