抵抗勢力との正しい付き合い方
「おっしゃることはわかりますよ。でも、それは無理ですよ。」
なにか新しいことを始めようとすると、こういうことを言う人が必ずでてくる。「抵抗勢力」と言われる人たちだ。
これまで自分なりのやり方で実績を積み重ねてきた。これを正しいと信じ貫いてきた信念や価値観。言うなれば積み上げてきた過去の栄光という土台の上にある自分の存在意義を失うかもしれないという恐怖。たぶんそんな思いが彼を抵抗勢力にするのだろう。
「なるほど、とてもよくわかります。私もね・・・」
こんな風に話題を横取りし、自分の成功体験の自慢話を始める人もいる。
「あなたの言うことはわかっていますよ。でも、それは現実的じゃなてなぁ。」
こんな抵抗勢力にお会いすることもある。
「確かに取り組まなければならないことですね。でも、現状をなんとかすることを優先しなければなりません。新しいことを始める余裕はないんです。」
という抵抗勢力もいる。
自分に経験もなければ勘も働かない。つまり、自分の出番がなくなってしまう。そんな寂しさと不安から、こんな発言をされているのかもしれない。
そんな抵抗勢力に「あのひとのやりかたはもう古いんですよ。もはや通用しませんよ。」と愚痴をこぼす若手。これもまた、いかがなものかと思う。抵抗勢力もまた、過去の成功者であり功労者だった。それをも無視するなど失礼な話だ。ましてや人格にまで踏み込んで批判するというのは、大人げない。過去の栄光には敬意を表すべきだろう。ただ、どんなにすばらしく輝いていた太陽も、時間という流れの中で遠い彼方での輝きになれば、夜空の小さな一点になってしまう。これもまた現実だ。
「どうやるかではなく、どうあるべきか」
こんな議論から始めて見ては如何だろうか。「あるべき姿」について合意すること。つまり最終的にどうなっていたいかを具体的なイメージで共有する。つまりまずゴールを決めることから始めてみてはどうだろう。その上で、このゴールに行き着くための方法を考える。
注意すべきは、自分たちにできることを前提にしないこと。できる/できないにかかわらず理想的なゴールを描いてみる。自分に「できること」という思考の枠を外してみる。そうやって、自分という枠組みにこだわらない発想の場を作ってみる。その次に、手段を議論する。
俺の気持、あいつの面子などの情が出てくることにも注意が必要。そんなときは、「あるべき姿」を再び確認する。「あるべき姿」に立ち帰り、これを実現する上でもっとも合理的な選択肢を考える。
「言っても無駄」と思われがちな対抗勢力も、本心は何とかしなければと思っているもの。そんな人と議論するためには、「どうやるか」という方法論ではなく、「あるべき姿」の確認と共有を起点に議論を初めてはどうだろう。
この合意がないままに「方法論」に終始して、結局は「あいつは何もわかっていない」、「考えが古い」といらいらしてみても、血圧が上がるだけで、業績は上がらない。
残念ながら、こういう議論さえも拒絶する抵抗勢力は存在する。そういうときは、仕方がない。自分が同じ立場に立ったら絶対にこんなことはしないと決心し、その思いを神棚に上げて毎日拝み、忘れないようにすることしかない。そんなことに腐ってみても、不健康になるだけだ。そういう割り切りもまた抵抗勢力との健全なつきあい方かもしれない。
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- 自分の担当する専門分野は分かっているが、世間の動向と自分の専門との関係が見えていない。
- 就職活動中だが、面接でも役立つITの常識を知識として身につけておきたい。
目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン
最新ITトレンドとビジネス戦略【2015年1月版】を公開しました
ITのトレンドとビジネス戦略について、集大成したプレゼンテーションです。毎月1回、「テクノロジー編」と「戦略編」に分けて更新・掲載しています。
【2015年1月版】より「テクノロジー編」と「戦略編」の2つのプレゼンテーションに分けて掲載致します。
「テクノロジー編」(182ページ)
- ストーリー展開を一部変更しました。
- 「クラウド・コンピューティング」の追加修正
- Webスケールとクラウドコンピューティングについて追加しました。
- パブリック・クラウドとマルチクラウドの関係について追加しました。
- 「IoTとビッグデータ」の追加修正。
- M2MとIoTの歴史的発展系と両者の違いについて追加しました。
- ドイツのIndustry 4.0について追加しました。
「ビジネス戦略編」(49ページ)
- ストーリー展開を一部変更しました。
- 2015年問題の本質というテーマでプレゼンテーションを掲載致しました。
- 人材育成について
- 生き残れない営業を追加しました。
- エンジニアの人材育成について新たなプレゼンテーションを追加しました。
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「システムインテグレーション崩壊」
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