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ポストSIビジネス:「システムを使わせるビジネス」と「システムを使うビジネス」

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多くのシステム・ベンダーやSI事業者は、お客様の要望するシステムを構築し、それを使ってもらうビジネスを生業にしてきた。ハードウェアやソフトウエア・ライセンスの提供と導入、インフラの構築、アプリケーション開発、アプリケーションの保守と運用などが、その類だ。システムを使い業務をこなすのは、お客様自身であり、その環境を提供することがビジネスとなる。

しかし、これは、お客様のニーズを必ずしも満たしていない。なぜなら、お客様は、業務の課題を解決したり、負担を軽減したり、時間を短縮したりすることがニーズであって、それに必要な手段としてのシステムを作り提供しているに過ぎない。「システムを使わせる」ことを目的としたビジネスは、その後の使うことに対して責任を負うことはない。お客様にしてみれば、システムを使わせられてからが本番だ。ここに提供者と使用者との目的の不一致が生まれる。

ビジネス環境の変化はめまぐるしく、業務ニーズもまたそれに伴って変化する。それに追従するためには、両者の目的を一致させ、迅速に対応できる状況を作らなければならない。そのための手段のひとつが、先日も紹介した「システム内製化」だ。しかし、それだけが唯一の解決策ではない。

例えば、システム・ベンダーやSI事業者が、クラウド・サービスを自ら使い、お客様の業務のニーズに応えることもひとつの解決策になるだろう。

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例えば、ソニックガーデンが行っている「納品のない受託開発」では、顧問弁護士がそうであるように、自らの情報システムについての専門スキルを活かして、中小のお客様を対象にCIOおよび情報システム部門の代行といった役割を担っている。CIOとして、お客様の経営課題や業務ニーズを議論し、本当に必要なシステムは何かを絞り込み、必要最低限の機能や要件を決めて行く。さらに、クラウド・サービスを使い、迅速な開発と低コストでシステムを作り、業務要件の変更に即応すべくアジャイル開発で対応する。

システムを作り提供することで終わらせるのではなく、自らがシステムを使い、「お客様の経営や業務を支援する」ことを目的にしたビジネスを提供している。

こんなケースもある。新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は、NsxpressIIという文書管理サービスを提供している。このサービスは、クラウド・サービスとして、電子および紙媒体の文書を一元管理し、そのデータを自社のデータセンターで管理している。これだけでは、一般的なSaaSと大差はないが、彼らの特徴は、もともとの紙媒体の文書を入力し、必要であれば、印刷配送するための人手による「入出力センター」を持ち、さらにその文書、すなわち原本を保管する倉庫業務「トランクルーム」を併せて提供していることにある。つまり、情報システムとBPOを一体化し、お客様の「紙も含めた全ての文書を一元管理したい」という業務ニーズについて、最初から最後まで面倒を見ようというビジネスだ。

これまでなら、システム・ベンダーの仕事は、「文書管理システム」を使わせるビジネスだった。しかし、「文書を一元管理したい」ニーズは、そのシステムだけでは解決しない。それに付帯する業務があってこそ解決する。そんなフルサービス・ビジネスを手がけている。

「システムを構築しそれをお客様に提供するビジネス」。システム・ベンダーやSI事業者はこれを生業にしてきた。しかし、「構築+提供」ビジネスは、クラウドに置き換えられ、あるいは、オフショアとの価格競争で収益を確保することが難しくなっている。この状況を打開するには、システム・ベンダーやSI事業者が自ら「システムを使うビジネス」を展開するという選択もあるだろう

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最新ITトレンドとビジネス戦略【2014年12月版】を公開しました

今回は解説文を大量に追加しました。プレゼンテーションの参考にしてください。また、新しいトレンドを踏まえ、プレゼンテーションを13ページ追加しています。無料にてご覧いだけます。

【2014年12月版】(209ページ)の更新内容は次の通りです。

  • 「クラウド・コンピューティング」に解説文を追加しました
  • 「仮想化とSDI」を「ITインフラと仮想化」に変更し、プレゼンテーションを大幅に追加しましたました。
  • 「ITインフラと仮想化」に解説文を追加しました。
  • 「IoTとビッグデータ」に解説文を追加しました。
  • 「IoTとビッグデータ」に3Dプリンターの解説を追加しました。
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拙著「システムインテグレーション崩壊」が、「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞」にノミネーションされました。お読み頂きました皆さんに感謝致します。

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