「伝える」とはどういうことか? 改めて自分に問いかけてみた
NHKの「プロフェッショナル・仕事の流儀」の中で、ガーデン・デザイナー ポール・スミザー氏が、プロフェッショナルとは何かという質問に次のように答えていた。
「 一生懸命やる事は当たり前な話だと思うし、いい仕事をするのも当たり前の話だと思うよね。だから新しいことをやってみるとか、挑戦してみるとか、その結果を人に伝えることがプロフェッショナルのやることだと思う。」
「伝える」ということの大切さと難しさは、私にとっても日々のチャレンジだ。ブログを書くこと、講演や講義で話すこと、会議で自分の考えを述べること、本を書くことなど、どのような言葉やチャートを使えばうまく相手に「伝える」ことができるかを考えていた。しかし、この番組を見ながら、「伝える」ということが、そんな一過性の行為だけではないことに気付かされた。
彼は地方の緑化時事業に関わるとき、地元の人たちと一緒に、その地に自生している植物を使って作業をしていた。
「自分はずっとここに係わり続けることもできないし、いつかは死んでしまう。しかし、地元の人が自分達の周りに生えている植物の価値を理解し、自ら植え、育てるならば、ここの緑は守られる」
私は、「伝える」ことの本質を見たような気がした。
「伝える」とは、根付かせること。それができて、「伝える」は、結果を生む。言葉を駆使し、わかりやすいチャートで説明しても、所詮はその場の満足を与えるに過ぎず、自分自身もそれに満足してしまう。それは、「伝える」ということなのだろうか。
「伝える」ことによって、そこにいる人たちが深く考え、自分に問いかける。あるいは、それをきっかけに行動を起こす。そこまで考えて、自分は伝えてきただろうかと考えてしまった。
「伝えたことに自分で満足するのではなく、相手に伝わった事実が大切だ」
私は、この言葉を大切にしている。しかし、「伝わった事実」が、相手に知識を与えただけなら、「伝える」という行為は、自分の脳から相手の脳に知識を受け渡す土管にすぎない。それもまた大切なことであるとは思うが、それで「伝える」を完遂できたわけではない。さらにその先を実現しなければ、自らの役割を果たしたとは言えない。
さて、ではどうすれば良いのだろう。残念ながら、これだと言える答えがすぐにあるわけではない。しかし、「伝える」ことを生業にしている以上、この問いに答えを出さなくてはならないだろう。
もちろん、講義や講演でも、この問いにどう答えるかを考えなければならないが、どうしても限界がある。改めて、「伝える」ことと「育成する」ことに真剣に向き合い、新しい取り組みを始めなくてはならないだろう。
「だから新しいことをやってみるとか、挑戦してみる」
そのとおりだ。そしてそれをまた伝え、相手がまたそこから行動を起こす。そんな連鎖を生みだすことが、「伝える」ということなのかもしれない。
図らずも今年の目標のようなものが見えてきた気がする。
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