日本もいよいよパプリック・クラウドを本格的に活用する時代を迎えるのだろうか
『VMware vCloud® Hybrid Service™の提供を日本へ拡大』というニュースリリースあった(7月15日付)。日本もいよいよパプリック・クラウドを本格的に活用する時代を迎えるのだろうか。
米国の主要なパブリック・クラウド・プロバイダーがここ最近、日本拠点拡充の動きを加速している。これについては、この記事がわかりやすい。熾烈な価格競争とサービスの拡充、グローバルにフラットなアーキテクチャーを武器に日本市場でのビジネス拡大を狙っている。
開発や運用を外注に依存している日本のユーザー企業に、彼らのようなセルフサービス型のパブリック・クラウドが、すぐさま受け入れられるとは考えにくい。しかし、圧倒的なコストパフォーマンスを背景に、存在感を示しつつあり、ユーザー企業の関心が高まっていることも事実だろう。
そんな中で、セルフサービス型のAWSの導入や運用管理を受託し、ユーザーにはフルサービス型で提供するcloudpackのような「日本ならでは」の課題を埋めるサービスも注目を集めている。
また、先日、NECがAWSを利用したシステム構築事業に参入することを発表した。自らもクラウドサービスを提供し、サーバーやストレージの販売も手がけるNECが、このような発表をしたことからも、米国勢の勢いをうかがい知ることができる。
さて、セルフサービス型のパブリック・クラウド(IaaS)を利用することで何が変わるのか、すこし整理してみよう。
- まず大きく変わるところと言えば調達だ。これまでは、長期のリースを前提にサイジングをおこない、ベンダーとの交渉や稟議などのさまざまな手続きを経て、調達しなければならなかった。クラウドであれば、ウェブ画面から直ちに調達できるので、当面の需要を考慮したサイジングをおこない、セルフサービスポータルからすぐにディスクやCPU、メモリなどのリソースを調達でき、パフォーマンスを向上させる事ができる。その逆に必要なくなったリソースを解約することも簡単だ。需要の変化にも柔軟に即応できる。
- 費用は従量課金なので、予算についての常識を変えなくてはならない。
- 運用管理についても変わる。所有しなくなることで管理できる幅が狭くなるが、その分責任は軽減する。ハードウエアや設備に関わる管理は不要。このように所有しないことによる責任の分界点と管理できる幅のトレードオフが行われる。
- 多くのシステムを一元管理できるようになるので、運用管理に関わる要員は大幅に削減できる。
- 仕事の質が変わる。システムを維持管理する管理者(Administrator)から、クラウドシステムをモニターし必要な操作を行う要員(Monitoring Operator)へと変わってゆくだろう。
- 開発・テスト・本番以降のワークフローやライフサイクルも変わる。これまでは、既存のシステム資産を前提に構成や運用を設計しなければならなかったが、クラウドであれば、そういう前提をもうける必要はない。
- 本番環境と全く同じテスト環境を構築し、動いている本番システムと瞬時にそっくり入れ替えてしまうといった、これまでには考えられなかったような本番移行も可能になる。既存のシステム設定を引きずる必要はない。
- これ以外にも様々な面で常識が変わってしまうところがある。ただ、総じて言えば、調達・構築・運用の業務は大幅に削減され柔軟性が高まる。
このようになると、ユーザー企業の情報システム部門とSI事業者の役割分担は変わることは避けられない。
この点については、今後引き続き、このブログでも書いてゆこうと思う。
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