クラウドは使えない!という都市伝説
昨日の「クラウドではガバナンスが担保できないという都市伝説」に続く、「クラウド都市伝説シリーズ」第2弾! (^^;;
ガバナンス以外で「クラウドは使えない!」と言われている3大理由(?)を挙げてみるとこんなことになるのではないか。
- セキュリティが心配なので使えない!
- ネットワーク・パフォーマンスが不安定なので使えない!
- 既存システムからの移行に手間がかかるので使えない!
本当にそうなのだろうか。先日、AWSの方に伺った話を参考に、他の事例も交えながら整理し直してみた。
セキュリティが心配なので使えない!
クラウド・サービス・プロバイダーにとって、セキュリティは基本だ。例えば、AWSでは次のような対応をしているそうだ。
- セキュリティ専門部隊が、データセンターやネットワークなど物理インフラを24時間365日対応
- SOC2、FIPS 140-2、ISO 27001、ITAR、PCIDSSなど第三者機関による認証を通し情報を開示
- 金融機関に於いて情報セキュリティ対策の指針となっている「FISC 安全対策基準」に準拠
自社の施設内にシステムを設置している企業も少なくはないが、金融機関などを除けば、これだけの対応ができているところはなかなかないだろう。もちろん、どこのプロバイダーも同様の対策がとられているわけではないが、ミッションクリティカルを標榜するプロバイダーの多くは、高度なセキュリティ水準を維持していることを売りにしている。もはや「クラウドだからセキュリティが不安」とは言えないだろう。
ネットワーク・パフォーマンスが不安定なので使えない!
クラウドはインターネットを介して使うものという常識はもはや通用しない。
- インターネットで接続する以外に、専用線で接続も可能。
- 自社のプライベート・ネットワークとL2接続
- 固定的な専用領域を提供しリソースを安定供給(バーチャル・プライベート・クラウド)
自社内ネットワークの延長にクラウドを置くようなもので、帯域保証も可能だ。当然、専用線であれば、セキュリティの安心感も高い。
既存システムからの移行に手間がかかるので使えない!
クラウドでもオンプレミスと同様の環境が使えるようになり始めている。以下は、AWSのケースだが、かなり移行しやすい環境が整い基幹業務移管の事例も増えつつある。
- 主要なOS、ミドルウェア、ビジネス・アプリケーションをクラウドに持ち込み可能
- VM Ware、Hyper-V、KVMなど複数の仮想化基盤サポート、自社内仮想化基盤をそのまま移行可能
- 基幹業務移管の事例も拡大
また、上記以外にも、クラウドのメリットはいろいろある。例えば、ミッションクリティカルを標榜するクラウド・サービスでは、次のような対策がとられている。
高度な災害強度を確保したデータセンターの利用
震度7でもラックが倒れることや建物が倒壊することがない免震/耐震構造の建物を地盤の強固な場所に建設している。また、72時間連続運転可能な自家発電設備と冷却水の確保。ネットワークの冗長化などの対策が施されている。
高いコストパフォーマンス
自然大気による冷却や温度センサーと連動した局所冷却などで、電力消費を抑える工夫によりコストパフォーマンスの向上に努めている。
グローバルでフラットなアーキテクチャー
AWSやSoftLayerなどは、世界に分散するデータセンターのアーキテクチャーを標準化している。そのため、災害対策や稼働率維持のための冗長化をグローバルに分散し配置することが容易だ。また、SoftLayerのようにデータセンター間を複数のTier1キャリアの専用WAN(10Gbps)で冗長化/高速接続し、高可用性を実現しているものもある。
クラウドに何の課題もないなどと短絡的なことを申し上げるつもりはない。ただ、このように見てゆくと、「クラウドは使えない!という都市伝説」は、使いたくない人の言い訳にしか聞こえない・・・というのは、言い過ぎだろうか?
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