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ベトナムで考えた「ハイレベル」という仕事との向き合い方

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今、成田に到着した。今回のベトナム滞在を改めて振り返り、自分なりの気付きを整理しておく。

「ハイレベルの人たちと仕事をすること」

今更ながら、そのことを再確認した。

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今回会食を共にしたふたりのエンジニアは、工学系の最高峰、ベトナム国家大学ホーチミン市校工科大学の出身で、ひとりは高校の時、ドイツで行われた国際物理オリンピックで3位成績に輝いた経験を持たれているとのこと。また、もうお一人の方は、フリーのエンジニアとしてPOS関係の仕事をされているとのことだった。考えて見れば、当然とも言えるが、ベトナムも日本や欧米と同じように優秀なエンジニアであれば、フリーでも活躍できる場がるということに、なるほど感心した。

彼等の謙虚ではあるが、テクノロジーについての見識はすばらしい。私のような素人が云々するのもはばかれるが、最新の動向についてもしっかりとした見解をもって話をされていた。同席された地元で仕事をされている日本人の方に言わせると、彼等のエンジニア仲間のネットワークはすばらしく、必要とあれば最高スペックの人材をそろえることができるとのことだった。

彼等だけではない。昨日も紹介したサイボウズ・ベトナムの女性マネージャーも国費留学生として日本の大学と大学院を卒業されている。今は、地元の責任者として多くを任されているが、まさに任されるにふさわしい、知性と見識にあふれていた。

地元企業の方も又同様である。自分の仕事にプライドを持ち、自分達は何をすべきかを明確に語られていた。特に地元に住むフランス人が経営する企業では、彼らが取り組んでいるOSSやアジア、ヨーロッパなどでのビジネスの可能性についての話には、新たな気付きをいくつも頂くことができた。

「低賃金の労働力」程度にしかイメージを持っていなかった自分の不見識を恥ずかしく思っている。

どこの国にも最高水準の人材は一定数いるに違いない。平均的な給与水準が低いベトナムにおいて、日本と同等の金額でお願いすれば、そういう優れた人たちが応じてくれるだろう。そういう人と仕事をすれば、高品質なアウトプットを、確実に、効率よく短い期間で実現してくれるはずだ。

人月単価のビジネスでは、このスキームは成り立たない。なぜなら、そういう仕事を任せる彼等の単金は必ずしも安くないし、効率が良いので工数も減る。これでは工数を稼げない。

それよりも、高い品質と成果が求められるサービス・ビジネスで、開発や保守、あるいは、ラボのような技術開発の拠点として、彼等の才能を活かすことがふさわしい。サイボウズ・ベトナムの役割、まさにそのような位置付けなのかもしれない。

ただ、同時にITに関しては日本の存在感は必ずしも高いとは言えない。今回訪問した企業の方から、「日本は意志決定が遅い」と言う話を聞かされた。何をやるにもリスクヘッジに時間をかけ、誰も決めようとしない。そのスピード感にかれらはついて行けないのだろう。

ベトナムに限らないが、グローバルな人的リソースをうまく活かしてゆくためには、スピードという価値基準を改めて再認識する必要がありそうだ。

いずれにしろ、今回のベトナム滞在で学んだことは少なくない。また、新たなきっかけも生まれた。このつながりを今後に活かすための取り組みを始めてみようと思っている。

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