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Apple WWDC2014から学ぶこれからのビジネス・シナリオ

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6月2日(現地時間)、Appleが開催した開発者会議「WWDC 2014」の発表は、「ITをビジネスとする」のではなく、「ITを使ったサービスをビジネスとする」という明確な戦略意図に裏打ちされていた。なんとしたたかで、そして、なんと見事なビジネス・デザインであろうか。

Appleと同じことなど、そう簡単にできるはずはない。しかし、彼等の戦略から学ぶべきことは多い。

これまでのITビジネスの多くは、丸裸にされたテクノロジーをシステムとしてくみ上げ販売することで成り立ってきた。インフラ構築、システムインテグレーション、運用サービスなどは、どれもそういう類のビジネスだ。

しかし、テクノロジーの進化は、テクノロジーの難しさを隠蔽し、より高度な機能を、より簡単に、そして、より高いコストパフォーマンスで、誰もが使えるようにしてゆく。魅力的なテクノロジーであればあるほど参入者は多く、熾烈な競争へと発展し、行き着くところは、コモディティ化と価格競争である。そうなってから、参入してもビジネスとしてのうまみはない。この進化を担うビジネスもあるが、これはなかなか容易なことではプレーヤーになれないだろう。

むしろ、そういう進化したテクノロジーをうまく利用して、新たな顧客価値を創造できるビジネスを創造することのほうが、遥かにチャンスはある。つまり、「お客様にITを使わせる」ビジネスのではなく、「自らがITを使う」ビジネスへと軸足を移し替えてゆくべきなのだ。

Appleのように自らがテクノロジーを創造できなくても、いち早く新しいテクノロジーを評価し、積極的に活用することはできる。それらを利用して、自らの独自性を生みだすべく、新しいビジネス・モデルを試し、競合の先を行くことは決してできない話しではない。

こういうやり方は、これまでの収益モデルやスキルの常識を転換することが求められるだろう。というより、かつての世の中の常識が非常識になりつつある今、それをよりどころにしてきたビジネスもまた、非常識になりつつあることに、改めて真摯に向き合うべきなのではないだろうか。

AppleのWWDC2014は、そんな近い未来の現実を私たちに示してくれているようにも見える。

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