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カスタマーサービスビデオ成功事例:デルのビデオサポートセンターとGoogle+Hangoutsを活用したソーシャルビデオチャット

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日本でもファンの多いデルは、米国ではカスタマーサービスビデオを活用している企業として知られており、メディアでも度々取り上げられるほどの存在だ。デルが展開しているカスタマーサービスビデオは、大きくオンラインビデオを活用したビデオサポートセンターと、ライブビデオを活用したビデオチャットの2つに分けられる。今回は、デルが展開しているビデオサポートセンターとビデオチャットについて詳しく解説し、オンラインビデオとビデオチャットを活用したカスタマーサービスビデオの今後について考えてみたい。


【1】 オンラインビデオを活用したデルのビデオサポートセンター

デルが自社のウェブサイト上で展開しているオンラインビデオを活用した「Video Support Center(ビデオサポートセンター)」と名付けられたカスタマーサービスビデオは、ビデオの本数と内容が充実していることで評価が高いオンラインビデオ配信サービスだ。

※ デルの「Video Support Center

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● 5つのカテゴリに分けて展開

ウェブサイトにアクセスしてもらえればおわかりの通り、以下の5つのカテゴリに分類されており、目的のカスタマーサービスビデオをすぐに見つけることができる。

①ハードウェア
②モニター、プリンター、ネットワーキング
③ポイント・オブ・セール・システム
④サーバ・アンド・ストレージ
⑤ソフトウェア

この5つのカテゴリが、さらに複数のサブカテゴリに分類されており、全部で583(2011年12月13日現在)本のカスタマーサービスビデオが視聴できるようになっている。

● ハウツーからチップスまで種類が豊富

内容も非常に多岐に渡っていて、ハードウェアの組み立て方法やトラブルシューティングなどの単純なものから、知っておくと便利なチップスのようなものまで揃っている。特に目をひくのが、パソコンやサーバなどのハードウェアだけではなく、マイクロソフトオフィスなどのソフトウェアのインストール方法や使い方に関するビデオまで揃っていることだ。

ほとんどのビデオをチェックしてみたのだが、初心者はもちろんのこと、パソコンを使い慣れているユーザでも結構楽しめる内容になっている。また、ビデオがフルスクリーンサイズで視聴できることはもちろん、ビデオを最後まで視聴すると、視聴し終わったビデオに関連した動画をリコメンデ―ションしてくれる機能も実装されていてとても便利だ。

● 便利なお気に入り登録とプレイリスト作成機能

便利なのは、リコメンデ―ション機能だけではない。なんと企業のオンラインビデオ配信サイトでありながら、お気に入り登録機能とプレイリスト作成機能まで実装している。どちらの機能も、後でもう一度同じビデオを見たい時に、探す手間が省けるのでとても便利だ。尚、プレイリスト作成機能は、自分の属性情報をデルにメールで送り、デルの承認を受ける必要がある。すぐに使ってみたいユーザにしてみれば、この手続きはちょっと面倒に感じるだろう。できれば、承認の手続きがなくすぐに利用できるようにしてほしい。

● 改善してほしいポイント

① 画質の向上

一方、改善されるともっと使いやすくなると感じたポイントもいくつかあった。まず、画質をもう少し良くしてほいい。特にソフトウェアの場合は、画質が悪いためフルスクリーンサイズにしても文字がほとんど読めない。見たままを真似てみるのがオンラインビデオの基本である。そういう意味では、文字が読めないというのはいただけない。画質の部分については早急な改善が望まれると感じた。

② キャプチャーの挿入

次に、スタッフの説明をキャプチャーでも表示してもらえるともっと便利だと感じた。操作方法のシーンでは、グラフィックテキストがちゃんと挿入されており非常にわかりやすいのだが、スタッフが説明するシーンではキャプチャーがほとんど入っていない。やはり、カスタマーサービスビデオを名乗る以上は、音声だけでは不十分だ。早急に音声に対応したキャプチャーを入れてほしい。

③ ビデオ再生プレイヤーのインタフェース向上

最後に、インタフェースの部分でも1つだけ気になる点があった。サムネイルをクリックすると、ビデオプレイヤーが前面に立ち上る実装になっているのだが、もう一度プレイヤーの再生ボタンをクリックしないとビデオが再生できない仕様になっている。このようなインタフェースにするのであれば、サムネイルをクリックして再生プレイヤーが立ち上がった時点でビデオを自動再生させるべきである。ビデオを視聴するために、サムネイルと再生ボタンを2回もクリックしなければならないのはかなり不便だ。ビデオ再生プレイヤーのインタフェースを改善すればもっと使いやすくなるだろう。

● 総括

改善してほしいポイントはいくつかあるものの、ユーザが知りたい・聞きたいと思うような内容のカスタマーサービスビデオがほとんど揃っているため、企業が提供するカスタマーサービスビデオとしては十分だと感じた。テキストや写真だけのFAQよりも、スタッフが直接語りかけてくれるカスタマーサービスビデオは、ユーザの立場から見るとやはり安心感を覚える。デルのビデオサポートセンターは、カスタマーサービスビデオの導入を検討している企業の良いお手本となるに違いない。


【2】 Google+Hangoutsを活用したビデオチャット

デルがカスタマーサービスの一環としてビデオチャットを始めたのは、実は意外に古く2008年の6月のことだ。当時はまだ珍しいこともあって、メディアでもかなり話題になったことを記憶している。アカウント申請をして自分のアカウントが登録されれば、パソコンについてあるウェブカメラを使って、デルのスタッフと顔を見ながら会話ができるようになっている。

※ デルのビデオチャットサービス

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Photo

今回紹介したいのは、デルがGoogle+Hangoutsを利用して始めた新しいビデオチャットサービス。実は、デルがGoogle+Hangoutsを利用して始めた新しいビデオチャットサービスには面白いエピソードが残されている。というのも、この新しいビデオチャットは、以前からGoogle+の可能性について注目していた、デルのCEOであるマイケル・デルのアイディアによるものだというのだ。

Google+Hangoutsを活用して新しいビデオチャットサービスをはじてみたいと思ったマイケル・デルは、7月のある日曜日に以下のようなメッセージをGoogle+内に残した。

「僕はビジネスにGoogle+Hangoutsを活用することについて考えているんだ。皆はデルのウェブサイトから直接ビデオ使って、デルのカスタマーサービスチームやセールスチームにコンタクトを取りたくないかい?」

すると、このメッセージに対する前向きなコメントがたくさん寄せられるようになり、Google+Hangoutsを活用した新しいビデオチャットは実現することになる。この新しいGoogle+Hangoutsを活用したビデオチャットのユニークな点は、同じ疑問・悩みを抱えているユーザ同士が情報交換することで、ユーザが自分で問題を解決できる点にある。

従来までのカスタマーサービスのように、専門のスタッフとユーザーが1対1で顔を突き合わせながら問題を解決するのではなく、ユーザ同士がお互いに助けないながら問題を解決して行くスタイルが非常に面白い。ソーシャルメディアとオンラインビデオを活用した新しいカスタマーサービスのモデルとして、今後注目を集めるサービスになりそうな予感がする。

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※ デルのGoogle+Hangoutsを伝えるGIGAOMの記事


【3】 今回のまとめ

デルのビデオサポートセンター導入の効果が公表されている。その記事によれば、カスタマーサービスビデオを導入してから、問い合わせ件数が5%削減されたということだ。この5%という数字をどう捉えるかは、企業によって評価が分かれるところだろう。「たった5%しか改善されなかったのか」という否定的な意見もあれば、「凄い、5%も改善されたのか」という肯定的な意見もあるはずだ。

カスタマーサービスビデオについて1つ理解しておいてほしいことがある。カスタマーサービスビデオは、ユーザからの問い合わせ件数を削減するという目に見える効果だけではなく、ユーザと長期的な信頼関係を構築するという、数字には現れない究極的とも言える効果を生む。カスタマーサービスビデオを導入する目的も、むしろここにあると言ってもいいくらいだ。

技術の進歩とソーシャルメディアの普及もカスタマーサービスビデオの導入を加速させている。今はまだVOD形式のオンラインビデオを使ったカスタマーサービスビデオが終了だが、今後はビデオチャットを使ったカスタマーサービスビデオが増えてくるだろう。特に、デルが始めたGoogle+Hangoutsを活用したビデオチャットは、企業のカスタマーサポート担当者がマンツーマンで対応するといった今までのスタイルを大きく変えてしまうほどのインパクトを与える可能性を秘めている。

ユーザの中には、ある特定の分野に関してだけ言えば、企業のカスタマーサポート担当者以上にノウハウを持っているオタク(いい意味で)のようなユーザが存在する。こうした特別なノウハウを持ったユーザの力を借りることで、企業のカスタマーサポートのあり方も大きく変わるだろう。

Google+Hangoutsを始めとしたソーシャルビデオチャットは、将来的にはソーシャルビデオラーニングまで発展しそうな、そんな可能性を秘めたサービスだ。今後どんな企業が導入してくるか注目したい。


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