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ビデオをコンテンツの中心に据えたアパレル専門のビデオコマースサイトjoyus.com

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今までもビデオを活用したイーコマースサイトの事例を数多く紹介してきたが、イーコマースサイトを構成するコンテンツの中にあって、ビデオの優先順位はあくまでもテキストと写真に次ぐ3番目の存在に過ぎない。それは、5万本以上のプロダクトビデオをイーコマースサイト上に配備している、あのザッポスのイーコマースサイトについても同じことが言える。ビデオを活用していても、決してビデオがコンテンツの主役ではないということだ。

ところが、つい最近(ほんの数日前)、米国のベンチャー企業であるjoyus.comが、ビデオをコンテンツの中心に据えた完全なビデオコマースサイトと呼ぶに値する新しいタイプのイーコマースサイトをローンチさせて話題になっている。今回は、そのjoyus.comを例に、今後同じような事例が増えてくることが予想される、ビデオコマースサイトとは一体どんな特長を持っているのか、そしてどんな可能性を秘めているのかについて考えてみたいと思う。

【1】 zappos.comがビデオコマースサイトではなくイーコマースサイトである理由

※ zappos.com

本題のjoyus.comを紹介する前に、ザッポスのイーコマースサイトzappos.comが、ビデオコマースサイトではなくイーコマースサイトである理由を明らかにすることから始めたい。なぜなら、zappos.comが、ビデオコマースサイトではなくイーコマースサイトであることを明らかにすることで、イーコマースサイトとビデオコマースサイトの違いが自然と理解できるようになるからだ。

ザッポスのイーコマースサイトは、ほとんどの商品にプロダクトビデオをセットしている上に、100本以上のカスタマサービスビデオやハウツービデオまで各ウェブページに配備している、世界中で一番ビデオを活用しているイーコマースサイトだと言っていいだろう。しかし、そのザッポスでさえ、ビデオコマースサイトと呼ぶレベルに達しているとは言えない。あくまでも、ビデオを活用したイーコマースサイトとして成功したレベルにあると考えるのが正しい。

ザッポスのイーコマースサイトzappos.comをビデオコマースサイトと呼ぶことができないのは、簡単に言えばビデオの使い方にある。まず、ほとんどの商品にプロダクトビデオが配備されているとはいえ、あくまでもコンテンツの主役はテキストと写真だ。プロダクトビデオは、あくまでもテキストと写真を補完するサブコンテンツという立場にある。

よって、ザッポスのイーコマースサイトを使い慣れているユーザであれば問題にはならないのだろうが、始めて訪問したユーザは、サイト全体からプロダクトビデオを見つける作業が必要になる。なぜなら、プロダクトビデオであることを示すデザインが小さくて目立たないからだ。テキストや写真の存在感と比較した場合、このビデオの目立たないデザインは、どう見ても脇役としか思えない扱いだ。この事実は、ザッポスのイーコマースサイトに配備されているプロダクトビデオが、確かにほとんどの商品に配備されているものの、何よりも真っ先に見てほしいコンテンツとしては考えられていないということを意味している。

また、もう一つ気になるのがプロダクトビデオの機能的な部分だ。ザッポスのイーコマースサイトに配備されているブロダクトビデオは、商品購入ページに直接リンクできるような実装になっていない。ビデオコマースの場合、ビデオから直接商品購入ページにリンクされる機能が必須である。ビデオ見て喚起された商品に対するエモーションをそのまま持ったままショッピングを続けるためには、ビデオから直接商品購入ページにリンクすることが必要になるからだ。

この点においても、zappos.comはイーコマースサイトの領域を超えることができないでいる。zappos.comのビデオの活用方法では、プロダクトビデオから直接商品が購入できるという、ビデオが提供する最も重要なショッピング経験が損なわれてしまっているからだ。プロダクトビデオを見終わったあと、もう一度商品説明ページに戻らなければその商品を購入することができない仕様は、ビデオコマースにとっては致命的である。

誤解のないように断っておくが、ザッポスのイーコマースサイトのビデオの活用方法に問題があると言っているのではない。このブログでも何度も取り上げてきたように、ザッポスのイーコマースサイトzappos.comは、現時点においても、最もビデオを活用して成功したイーコマースサイトと言って間違いない。ただ、ここで注意しておかなければならないのは、あくまでもその成功はイーコマースサイトとしてのものであり、ビデオコマースサイトとしてのもではないということだ。

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【2】 ビデオをコンテンツの中心に据えたビデオコマースサイトjoyus.com

※ joyus.com

では、joyus.comは今までのイーコマースサイトとどこが違うのだろうか。joyus.comにアクセスしてみてもらえればすぐに気がつくと思うが、トップページの一番目立つ上部のエリア部分に堂々とビデオが配備されている。しかも、かなり大きなサイズで配備されているため、すぐにそれがビデオであるということがわかる。そして、サムネイルの右下にある再生ボタンをクリックすると、すぐにそのビデオの再生プレイヤーが表示され、ビデオを見ることができるようになっている。

ビデオコマースサイトであるためには、このようなビデオであることがすぐにわかるデザインが必要だ。しかも、トップページの一番目立つ場所に、大きなサイズで配備されていなければならない。何をさておき、まずビデオから見てみようかと思わせるような、ビデオ中心のデザインがビデオコマースサイトには求められる。

joyus.comの上部エリアは、8つのセクションから構成されており、その全てにビデオが配備されている。また、上部メニューにある「NEW SALES」「BESTSALLERS」をクリックしても、表示されるコンテンツはビデオだけである。通常のイーコマースサイトであれば、テキストと写真からなる商品紹介ページが配備されている部分にも、ちゃんとビデオが配備されているのがビデオコマースサイトの特長である。

また、ビデオの再生途中に「SHOP NOW」のボタンが表示され、クリックと同時に商品購入ページにリンクされる。この、ビデオから直接商品購入ページにリンクされ、そのまま商品を購入できるのも、joyus.comの特長である。ビデオを見て喚起されたエモーションを、そのまま途切れることなく一連の流れの中で商品購入まで辿り着くことができるのが、ビデオコマースサイトが実現しなければならないもう一つの機能だ。

joyus.comのビデオコマースサイトとしての特長を以下の通り整理してみた。

① ビデオがコンテンツの中心にある

トップページの上部エリアに、すぐにわかるようにビデオが配備されている。上部メニューからアクセスできるコンテンツも全てビデオとなっており、ビデオがコンテンツのメインとして構成されている。反対に写真とテキストによるカタログページは、ビデオの下にサブコンテンツとして配備されている。

② ビデオから直接商品の購入が可能

ビデオから直接商品購入ページにリンクされ、そのまま商品を購入することができる。ビデオを見てから、そのまま流れが途切れることなくショッピングを楽しむことができる。

③ ビデオの再生時間は2分から3分30秒くらい

ビデオの再生時間は、だいたい2分から3分30秒くらいのものが多い。ザッポスを始めとしたイーコマースサイトに多く見られる、再生時間の60秒ルールは適用していない。これは、取り扱う商品が、洋服やバックなど比較的高価なものが多いこともあり、丁寧な説明を実行しているためだと思われる。

④ ビデオのプレゼンテーションには自社のスタッフとモデルを起用

ビデオのプレゼンテーションには、自社のスタッフ、デザイナー、モデルを起用して役割によって使い分けている。商品の説明は自社のスタッフとデザイナーが担当し、実際に商品を着用するのはモデルが担当している。ザッポスを始めとした他のイーコマースサイトのように、すべてのプレゼンテーションを自社のスタッフで行うことはしていない。

⑤ 多彩な内容のビデオを用意している

サイト自体がローンチしたばかりということもあって、まだビデオの本数自体は多くないが、内容は非常に多彩である。商品を説明するプロダクトビデオ、デザイナーが商品の魅力を語るブランディングビデオ、スタッフがサービスや自社の商品対する考え方を説明するカスタマサービスビデオなどが用意されている。

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【3】 ビデオコマースの可能性

ビデオコマースの形態としては、今回紹介したjoyus.comのようなモデルと、前回取り上げたショッパブルビデオのようなモデルの2種類が考えられる。では、このようなビデオコマースに取り組んでくるブランドは、今後も現れてくるのだろうか。私は、アパレル業界を中心に、確実に増えてくると予想している。

その理由は、ビデオが中心にあるビデオコマースが消費者に提供するショッピング体験が、今までのイーコマースサイトにはないものであり、このようなショッピング体験を消費者自身が要求してくる可能性があるからだ。アマゾンが築いたイーコマースサイトのモデルを大きく変えることができるのは、ビデオとソーシャルではないかと考えているのだが、読者の皆さんはこの点についてどう思われるだろうか。よろしければ、是非意見を聞かせてほしい。

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