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海外のバイラル動画広告事例レポート<自動車産業>フォルクスワーゲンとトヨタ

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今回は、海外のバイラル動画広告の事例レポートということで、自動車産業全体を取り上げてみたいと思う。自動車産業について調べてみたいと思った理由は、2011年度第1四半期の動画広告視聴回数のタイトル別(フォルクスワーゲンの「The Force」)と産業別の両方のランキングにおいて、自動車産業が1位だったからである。

※ 参考:
オンライン動画広告視聴レポート<2011年第1四半期> 前年同期比の約2倍となる7.7億ビューを記録。Visible Measures調査

自動車産業におけるバイラル動画広告の代名詞とも言えるブランド、フォルクスワーゲンがどのような経緯を辿りながら今のポジションを獲得したのか、またフォルクスワーゲン以外の自動車産業のブランドはどのような内容のバイラル動画広告を公開してきたのか、その二つの点について調べてみたくなった。

今回、自動車産業におけるバイラル動画広告の事例を調べてみてわかった事実が二つある。この記事の大きなテーマになっているものだが、先に紹介しておきたい。

① フォルクスワーゲンは、飲料業界におけるエビアンのような絶対的な存在ではなかった。

フォルクスワーゲンが、自動車産業のバイラル動画広告におけるトップであることは間違いない。ただ、飲料業界におけるエビアンのような、絶対的な存在ではなかったということがわかった。

② トヨタがフォルクスワーゲンの次に存在感を発揮している

フォルクスワーゲンの次に自動車産業で視聴回数を集めているブランドが、日本を代表するトヨタであったことは意外だった。今回の調査で始めて知った事実の一つである。


【1】 フォルクスワーゲンのバイラル動画広告は、あの「Piano stairs(ピアノの階段)」から始まった

今でこそフォルクスワーゲンのバイラル動画広告と言えば、「The Force」ということになっているが、「The Force」が公開されたのは2011年の2月、スーパーボウルの時期である。フォルクスワーゲンは、それ以前にも優れたバイラル動画広告をいくつか発表している。そこで、フォルクスワーゲンのバイラル動画広告の歴史から振り返ってみたい。

■  Piano stairs(ピアノの階段)



「Piano stairs(ピアノの階段)」は、2009年10月7日に公開され、フォルクスワーゲンの名を一躍バイラル動画広告業界に轟かせることになった記念すべき作品である。いろんなブログやウェブサイトで紹介されている、説明の必要もないくらい有名なバイラル動画広告である。

2009年11月の第1週に150万ビューを記録してから、6ケ月以上にも渡って自動車産業部門のTOP3以内にランキングされ続け、今でもフォルクスワーゲンの代表作として、「The Force」よりも「Piano stairs(ピアノの階段)」をあげる人がいるくらい人気が高いバイラル動画広告である。Visible Measuresの直近の週間ランキング(2011年6月第4週)でも、18万ビューを記録して32位(自動車産業部門では3位)にランキングされている、本当に息の長いバイラル動画広告である。

「Piano stairs(ピアノの階段)」は、フォルクスワーゲンが提唱する「The Fun Theory(=楽しい理論)」の一環を成すバイラル動画広告であることも広く知られている。
The Fun Theory(=楽しい理論)」というのは、フォルクスワーゲンが2009年に始めた、「楽しいことが人々の行動を改善するためのもっとも簡単な方法なんだよ」というメッセージがテーマになっているキャンペーンで、キャンペーンサイトとフェイスブックページも用意されている。

「The Fun Theory(=楽しい理論)」のキャンペーンサイトは是非アクセスしてみてほしい。「Piano stairs(ピアノの階段)」以外の”楽しい理論”を実践したバイラル動画広告がたくさん用意されていて、どれも必見である。中でも、2010年6月11日公開された「Fast Lane - The Slide」は、「Piano stairs(ピアノの階段)」に代わる作品として人気が高かった。

※ キャンペーンサイト ⇒ http://www.thefuntheory.com/

※ フェイスブックページ ⇒ http://www.facebook.com/thefuntheory

■ Fast Lane - The Slide



下の図は、自動車産業部門における、2009年11月第1週から「The Force」が登場する前にあたる2011年1月第4週までの、視聴回数週間ランキング1位をリスト化したものである。順位と視聴回数は、フォルクスワーゲンのデータを表している。2010年6月第3週に「Fast Lane - The Slide」が初登場で1位になったのを最後に、5カ月間ほど1位から遠ざかっているのがわかると思う。。

フォルクスワーゲンは、確かに自動車産業部門のバイラル動画広告の分野におけるNO1ブランドであることに変わりはない。しかし、以前紹介した清涼飲料におけるエビアンのような、絶対的な存在ではないということが下のリストを見ればわかる。参考までに、フォルクスワーゲンが1位にランキングされた週は、全65週中25回だ。

Top1


【2】 15週1位にランキングされたトヨタ

次に、フォルクスワーゲン以外の自動車産業を代表するバイラル動画広告を見てみたい。

■ キアソウル:New 2010 Kia Soul Hamster Commercial


韓国のキアソウルが2009年2月26日に公開した「New 2010 Kia Soul Hamster Commercial」は、ハムスターと軽快なヒップホップを使ったバイラル動画広告で、当時かなり話題を呼んだ。フォルクスワーゲンの「Piano stairs(ピアノの階段)」が公開されるまでは、自動車産業界を代表するバイラル動画広告として視聴回数を集めていた。トータルの視聴回数も550万ビューを超えている。

キアソウルと言えば、「New 2010 Kia Soul Hamster Commercial」以外にも、2010年7月26日に公開され、1位に3回ランキングされた「Kia Soul Who's Next? Competition - Episode #1」も、話題になったバイラル動画として是非見ておきたい。トータルの視聴回数は570万ビュー。

■ キアソウル:Kia Soul Who's Next? Competition - Episode #1


米国のバッテリーメーカー、ダイハードのバイラル動画広告も面白い。2009年11月26日に公開された「DieHard Battery vs. Reggie Watts 」は、タイトルの通りコミカルな内容の作品だ。トータルの視聴回数は150万ビュー。

■ ダイハード:DieHard Battery vs. Reggie Watts


2010年3月の第2週から4週間にかけて1位にランキングされたBMWの「Welcome to Planet Power 」は、2010年3月5日に公開され、いきなり150万ビューを記録したバイラル動画広告だ。グラスや食器などがたくさん乗せられた長いテーブルクロスを、オートバイで引っ張るという面白い内容の作品だ。トータルで500万近いビューを集めている。

■ BMW:Welcome to Planet Power


今回自動車産業を調査してみて驚いたことの一つが、トヨタの健闘ぶりである。1位にランキングされた回数は、フォルクスワーゲンに次ぐ15回もある。2010年5月の第3週から10月の第4週にかけては、完全にトヨタが自動車産業界を引っ張っていたと言っても過言ではない。2010年2月8日に公開された「Meet The Parents 」は、トータルの視聴回数も2,000ビューを超えており、自動車産業部門全体でも第3位にランキングされている。

■ トヨタ:Meet The Parents


下の表は、自動車産業におけるバイラル動画広告ト―タル視聴回数のランキングTOP20をまとめたものである。フォルクスワーゲンが、1位、2位、6位、16位と4つランキング入りしているのがやはり目立つ。次に多いのがキアソウルの3つ。キアソウルは、1,000万ビューを記録している作品はないものの、500万ビュー以上の作品を3つもランキング入りさせている点が光る。その点、トヨタが「Meet The Parents 」の1つしかランキング入りしていないのが寂しい。日本勢では、18位と20位の下位にスバルが二つランキングされている点も見逃せない。

Top20


【3】 まとめ

今回のレポートでは、2011年2月のスーパーボウル開催に合わせて公開された作品はあえて紹介していない。興味のある方は、6月23日の記事「オンライン動画広告視聴レポート<2011年第1四半期> 前年同期比の約2倍となる7.7億ビューを記録。Visible Measures調査」を是非お読みいただきたい。

今回、自動車産業界におけるバイラル動画広告を2009年まで遡って調査してみたわけだが、改めてフォルクスワーゲンのユニークさを再認識させられる結果となった。では、フォルクスワーゲンのどこかユニークなのか。一般的に、自動車産業のブランドが発表するバイラル動画広告は、自社の車の走りをアピールするものが多い。ほとんどの場合、スピード、高性能、安全といったところが演出のキーワードになっている。

ところが、フォルクスワーゲンのバイラル動画広告は、他の自動車メーカーが使いたがるスピード、高性能、安全といったキーワードでは訴求してこない。根底にあるのは、「The Fun Theory(=楽しい理論)だ。この点が、他の自動車メーカーと全く違うところだ。フォルクスワーゲンは、スピード、高性能、安全よりも”楽しい”ということが一番重要だと考えており、それをバイラル動画広告でも実践している。

最初に紹介した、「Piano stairs(ピアノの階段)」をもう一度見てもらいたい。自動車メーカーのバイラル動画広告でありながら、自動車が出てこない。あくまでも徹底的に”楽しい”を訴求している。そこが、他の自動車メーカーとは全く違っている点だ。そういう意味では、全く違う産業ではあるが、フォルクスワーゲンの「Piano stairs(ピアノの階段)」とエビアンの「ローラー・ベイビーズ」は、根底にあるものが似ているように思える。

フォルクスワーゲンが6月27日公開したばかりの「Volkswagen: le côté obscur」も、「The Force」の続編とも言えるような内容の、”楽しい”を追求したバイラル動画広告である。


 

■ フォルクスワーゲン:Volkswagen: le côté obscur


 

最後は、ポルカ・プレイボーイズという4人組が6月4日に公開した動画を紹介する。フォルクスワーゲンの作品ではないのだが、よく見てもらえればわかる通り、4人が乗っている車がフォルクスワーゲンのポロときている。それも呆れくらいのポンコツ。この動画を見て、フォルクスワーゲンは喜んでいるはずだ。なぜなら、”楽しい”を徹底的に追求している作品だから。

■ Bohemian Rhapsody by Porkka Playboys



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