オルタナティブ・ブログ > アー・ユー・エクスペリエンスト? >

人生と仕事に必要な様々なことについて考えるブログ

オンライン動画広告視聴レポート<2011年第1四半期> 前年同期比の約2倍となる7.7億ビューを記録。Visible Measures調査

»

 

Visible Measuresから、2011年第1四半期におけるオンライン動画広告の視聴レポートが発表された。このレポートでは、Visible Measuresが対象としているオンライン動画広告全体の視聴回数はもちろん、タイトル別、ブランド別、産業別にTOP5と視聴回数が公開されていて非常に興味深い。このVisible Measuresから発表されたデータに、私が独自に調査したデータを加え、より多角的に2011年第1四半期におけるオンライン動画広告の視聴結果について分析してみたいと思う。


【1】 全体の視聴回数は対前年同期比の約2倍となる、7.7億ビューを記録

Visible Measuresが対象としているオンライン動画広告全体の視聴可回数は、対前年同期比の約2倍となる7.7億ビュー。この7.7億ビューというのはかなり驚異的な数字だ。直前期の2010年第4四半期のみ一時的に前期を下回っているものの、それ以外は右肩上がりで数字が伸びている。オンライン動画広告が、コンシューマーにとって関心の高いコンテンツであることを、数字が証明している結果となった。

この視聴回数の伸びは、Interactive Advertising Bureau(IAB)が発表した、第1四半期におけるアメリカ国内のオンライン広告の売上金額と同期している。IABの発表によれば、2011年第1四半期のアメリカ国内におけるオンライン広告の売上金額は73億ドル。これは、第1四半期における過去最高の数字だ。2010年同期比では、23%も伸びたことになる。IABが発表した数字でもう一つ興味深いのは、ディスプレイ広告の伸び。ディスプレイ広告の成長率は、検索広告の12%に対して2倍となる24%になっている。動画広告はディスプレイ広告におけるキーコンテンツの一つだ。ディスプレイ広告の成長率とオンライン動画広告の視聴回数の成長率が密接に関係し合っていることが、この二つの数字からわかる。

20111

対前年同期比に比べて2倍近い視聴回数を記録したもう一つの要因として、2月7日に開催されたNFLスーパーボウル第45回大会と連動したキャンペーン広告の成果があげられる。下のグラフは、私がVisible Measuresから提供されている週間レポートを自分で集計したものだ。スーパーボウルが開催された2月7日の週だけ、数字が極端に突出していることがわかる。通常2千万ビューくらいで推移している視聴回数が、その週だけ1億4千万ビューまで跳ね上がっている。

全米最大のスポーツイベント、NFLスーパーボウル。その影響力がいかに大きいかということを、下のグラフは教えてくれている。2011年も、アメリカのテレビ業界で史上最高となる1億1,100万人が視聴したと言われている。視 聴率も20年連続で40%超で、2011年はなんと46%。視聴率がこれだけあるということは、料金も別格となる。30秒のCM枠で平均290万ドル(約 2億4000万円)。それでも毎年各企業から申し込みが殺到するというから恐れ入る。2011年のスーパーボウルで放映されたCMは全部で61作品。その 61作品をtwitterの反響をもとにランク付けしたサイト「Brand Bowl 2011」というのもある。是非チェックしてみてほしい。

 

20111_2


【2】 タイトル別ランキングTOP5。1位は「The Forcxe」

タイトル別のTOP5はお馴染みの作品ばかり。この際、もう一度振り返る意味でも全部紹介しておくことにする。

■ 第1位:The Force
  ・ブランド:フォルクスワーゲン
  ・公開日:2011年2月2日
  ・第1Qビュー:44,817,905

■ 第2位:House Sitting -- Crash the Super Bowl 2011 Finalist
  ・ブランド:ドリトス
  ・公開日:2010年12月22日
  ・第1Qビュー:31,085,302

■ 第3位:Chrysler Eminem Super Bowl Commercial - Imported From Detroit
  ・ブランド:クライスラー
  ・公開日:2011年2月5日
  ・第1Qビュー:15,519,905

■ 第4位:Ozzy / Bieber Superbowl Ad 
  ・ブランド:ベストバイ
  ・公開日:2011年2月6日
  ・第1Qビュー:13,975,202

■ 第5位:Evian Roller Babies international version
  ・ブランド:エビアン
  ・公開日:2009年7月1日
  ・第1Qビュー:12,882,218

TOP5の内4位までが、2011年のスーパーボウルで放映された作品だ。1位の「The Force」については、もはや説明の必要もないだろう。他の3作品がスーパーボウル以降急激に視聴回数を下げて行く中、唯一いまだにTOP10に時々顔を出してくる息の長い動画広告である。「Brand Bowl 2011」では第3位にランキングされており、「Most Loved」賞も受賞している。

2位の「House Sitting -- Crash the Super Bowl 2011 Finalist」は、スーパーボウルの常連ドリトスの作品。この作品、ユーザが投稿してきた動画広告だというから驚きである。「Brand Bowl 2011」では第2位にランキングされている。

3位の「Chrysler Eminem Super Bowl Commercial - Imported From Detroit 」は、映画「8 Mile」の主題歌「Lose Yourself」が印象的な作品。エミネムの起用も話題を呼んだ。「Brand Bowl 2011」では見事1位に輝いている。

4位の「Ozzy / Bieber Superbowl Ad」も、豪華なキャストが話題になった作品。ジャスティン・ビーバーとオジー・オズボーンという異色の組み合わせがいい。「Brand Bowl 2011」では第5位にランキングされている。

下のグラフは、スーパーボウル以降のTOP5の視聴回数を、私が集計しグラフ化したものである。1位の「The Force」と、スーパーボウルに関係のない「 Roller Babies 」の2つの作品だけ、毎週の視聴回数が50万~100万ビューの範囲で推移していることがわかる。

Photo

TOP5がいま現在どうなっているのかも非常に気になるところだ。そこで、6月12日現在の順位、1週間の視聴回数、累計の視聴回数を図にまとめてみた。いまも3位にランキングされているのが、結局スーパーボウルとは関係のない「Roller Babies」というのは少し皮肉な結果になったと言っていいだろう。ただ、「Imported From Detroit」と「The Force」が20位以内に食い込んでいるのは評価できる。

Top5


【3】 ブランド別ランキングTOP5。1位はフォルクスワーゲン

ブランド全体の視聴回数ランキングでも、1位と2位はスーパーボウル参加組が独占する結果となった。1位はフォルクスワーゲン、2位はドリトス。3位のオールドスパイスと4位のナイキは、スーパーボウル参加組ではないが、複数の作品が視聴回数を確実に増やしランキング入りしている。5位のシボレーもスーパーボウル参加組だ。ブランド別のTOP5に共通しているのは、第1四半期中に複数の動画広告を公開しているということ。タイトル別のTOP5にランキングされながら、ブランド別ではTOP5から外れてしまったクライスラー、ベストバイ、エビアンは、いずれも1つの作品しか公開していない。

ブランド別のTOP5を表にまとめてみた。1位のフォルクスワーゲンは、3つの作品で5千6百万ビューを記録しているが、「The Force」だけでも軽く1位になるほどの強さが目立つ。2位のドリトスは2作品、オールドスパイスは3作品、ナイキは2作品、シボレーは3作品を公開しており、それぞれが確実に視聴回数を稼いでいることがわかる。

■ NIKE BASKETBALL: LEBRON RISE

■ Misunderstanding | Chevy Cruze | Super Bowl Ads

Top5_2


【4】 産業別ランキングTOP5。1位は自動車

産業別のランキングは、当然のことながらブランド別ランキングにほぼ比例するカタチになっている。1位の自動車は、予想通りの結果だと言っていいだろう。フォルクスワーゲン、クライスラー、シボレーという顔ぶれを見ただけで、1位は約束されたようなものだ。視聴回数も断トツの1億6千7百万ビュー。数多い産業の中で、唯一1億台を記録している。

2位はアパレル。ブランド別TOP5にはナイキしかランキングされていなかったが、それ以外にもアディダス、DCシューズ、アルマーニ、リーバイスなど強力なブランドが多数揃っている産業だ。

3位は飲料。ブランド別TOP5には一つもランキングされていないが、タイトル別TOP5の5位にランキングされたエビアンを筆頭に、ペプシ、コカコーラなどやはり強力なブランドが揃っている。

4位は食品。タイトル別でもブランド別でも2位にランキングされている、ドリトスが視聴回数全体の50%以上を占めている産業。いま一つ上位に上がれなかったのは、ドリトス以外に強力なブランドがなかったせいだと言えるだろう。

5位は健康・美容。オールドスパイスの産業だと言っても過言ではない。食品と同じように、オールドスパイスが視聴回数全体の50%以上を占めてるいる。デュレックスやジレットなどもいるが、オールドスパイスほどの視聴回数を記録するまでにはいたっていない。。

Top5_3

各産業とスーパーボウルの関係についても調べてみた。スーパーボウルにCMを放映したフォルクスワーゲン、クライスラー、シボレーなどのブランドがひしめく自動車と、やはり同じようにスーパーボウルにCMを放映したドリトスがいる食品が、スーパーボウルで大部分の視聴回数を稼いでいることがわかる。スーパーボウルがなければ、順位もかなり変動していただろう。

ここでは飲料に注目したい。下のグラフを見てもらえればわかるのだが、飲料はスーパーボウルと3月7日の週に、視聴回数1千万ビュークラスの数字を出している。スーパーボウルはペプシ、3月7日の週は女優ジェニファー・アニストンの起用が話題になったスマートウォーターがそれぞれ高いレベルの視聴回数を記録している。特に、スーパーボウルに関係なく750万ビューを出したスマートウォーターの動画広告は注目に値する。

■ jennifer aniston goes viral - smartwater

そういう意味では、スーパーボウルと無縁でありながら、コンスタントに毎週視聴回数を重ねて2位にランキングされてるアパレルにも注目したい。2月21日の週に公開されたリーバイスの「Rear View Girls - Los Angeles」が340万ビュー、3月14日の週に公開されたアディダスの「KATY PERRY, D. ROSE, B.O.B., ERIC BERRY, DWIGHT HOWARD, NOTRE DAME」が310万ビューを記録している。

■ Rear View Girls - Los Angeles

■ KATY PERRY, D. ROSE, B.O.B., ERIC BERRY, DWIGHT HOWARD, NOTRE DAME

Top5_4


【5】 まとめ

①2011年第1四半期におけるオンライン動画広告の全体の視聴回数は、スーパーボウルの影響もあり、7.7億ビューという空前の数字を記録する結果となった。

②作品単体では、スーパーボウルでCMが放映された動画広告が上位4位を独占し、1位にはフォルクスワーゲンの「The Force」が輝いた。その中にあって、他のスーパーボウル関連の作品を抑え5位にランキングされているエビアン「 Roller Babies」の健闘が光る。

③ブランド別では、フォルクスワーゲン、ドリトス、シボレーなど、スーパーボウルでCMを放映したブランドが3つランキング入りしている。しかし、いずれも複数の動画広告を公開しており、1作品のみでTOP5にランキングされているブランドはない。

④産業別では、スーパーボウルにCMを放映したフォルクスワーゲン、クライスラー、シボレー、アウディなどがひしめく自動車が、唯一1億ビュー超えの1億6千7百万ビューを記録した。一方で、、自動車はスーパーボウル依存率が非常に高く、フォルクスワーゲンの「The Force」以外は、スーパーボウル以降急激に視聴回数が減っている。

これで、2011年第1四半期における、オンライン動画広告視聴回数に関するレポートを終わりにしたい。第2四半期も、話題になったオンライン動画広告がたくさん公開されていることもあって、どんなランキングになっているのか非常に楽しみだ。最後に、もう一つだけスーパーボウルに放映されたCMを紹介して終わりにしたい。

スーパーボウルのCM枠を現在のような価値に引き上げたのは、ある1本のCMだと言われてる。それは、6月14日の記事「アップルのバイラルビデオ広告戦略を分析してみた(全72作品のリスト付き)」の最後で紹介している、アップルコンピュータが1984年のスーパーボウルで放映した「1984 Apple's Macintosh Commercial」。「1984 Apple's Macintosh Commercial」の詳細については、6月14日の記事をお読みいただきたい。

実は今年のスーパーボウルで、この「1984 Apple's Macintosh Commercial」に対するオマージュともいうべきCMが公開され、一部ギークの間で話題になった。それがモトローラの「Empower the People 」。登場人物が着ている白装束の衣装と白いイヤホンはアップルを象徴しており、「1984 Apple's Macintosh Commercial」の中でアップルが当時の巨人IBMをビックブルーと称していたことに呼応しているものと思われる。是非比較してみてほしい。

■ 1984 Apple's Macintosh Commercial

■ Motorola - Empower the People



※ 参考情報

・ オンライン動画広告の視聴回数がわかります。 ⇒ Visible Measures
・ 2011スーパーボウルの61作品が全て視聴できます。 ⇒ YouTube Ad Blitz 2011

※ 気軽にお問合せ下さい

・ twitter https://twitter.com/#!/bemoove_ito
・ facebook http://www.facebook.com/yasushi.ito1






Comment(0)

コメント

コメントを投稿する