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ソーシャルビデオ広告視聴レポート<2011年度第2Q>1位はT-モバイルの「ロイヤルウェディング」(情報入手先:Visible Measures)

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今回は、2011年度第2Qにおける、ソーシャルビデオ広告視聴ランキングの結果をレポートする。1Qのレポートは以下の記事から参照できるため、是非比較しながら読み進めて行ってほしい。

⇒ 2011年度第1Qソーシャルビデオ広告視聴ランキングレポート

【1】 オンラインビデオ広告全体では対前年同期比15%増の6億ビュー

Visible Measuresから、2011年度第2Q(4~6月)におけるオンラインビデオ広告の視聴レポートが発表された。このレポートは、オンラインビデオ広告全体のビューと、Visible Measuresが選んだソーシャルビデオ広告キャンペーンのビューが、タイトル別、ブランド別、産業別にレポートされている。今回もこのVisible Measuresから発表されたデータに私が独自に調査したデータを加え、より多角的に2011年度第2Qにおけるソーシャルビデオ広告キャンペーンの動きを分析してみたいと思う。

まず下のグラフを見てほしい。オンラインビデオ広告全体のビューは、対前年同期比15%増の6億ビュー。第1Qの7.7億ビューに比べると、1.7億ビューも数字を落としたことになる。ただ、第1Qは2月のスーパーボウル開催期間中に、1週間だけで1.4憶ビューという驚異的なビューがあったことを思い出してほしい。それを考えれば、オンラインビデオ広告全体のビューは着実に伸びていると考えていいだろう。

2Qは、1Qのスーパーボウルのような特別なイベントがなかった分、コンシューマーに本当に支持されたソーシャルビデオ広告が何だったのかを知るには、1Qよりも適していると考えることができる。それにしても、オンラインビデオ広告が3ヶ月間で6億ビューということは、毎月平均2億回見られているという計算になる。企業がテレビCMの予算をオンラインビデオにシフトしようと考えるのもわかるような気がする。

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次に、ソーシャルビデオ広告キャンぺーン全体のビューを見てみたい。こちらの方は、全13週で3.22億ビューと、1Qの4.24億ビューと比較すると約1億ビューほど落ちている。これも、2月に開催されたスーパーボウルの影響だ。下のグラフは、1Qと2Qのキャンペーン全体のビューを整理したものである。1Qの6週(2月第2週)のみ、1.4億ビューと突出していることがわかる。このスーパーボウル期間中を除けば、他の週はほぼ同じような数字で推移している。改めて、スーパーボウルが与える影響力の大きさに驚かされる結果となった。

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【2】 タイトル別ランキングの1位はT-モバイルの「ロイヤルウェディング」

まずは、2011年第2Qの視聴ランキングTOP5を表にまとめてみた。ランクの左側が2Q、右側が1Qのランクを表している。

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1位は、4月15日に公開されたT-モバイルの「ロイヤルウェディング」。2Q全体でで2,620万ビューを集め、2位に1,100万ビュー近い大差をつけての1位だった。Visible Measuresのレポートによれば、やはり本国である英国からのアクセスが多かったということで、35%が英国から、20%が米国からだっとという結果が出ている。

この「ロイヤルウェディング」、4月15日に公開されるやいなや、初登場の週にいきなり850万ビューを記録する。まさにセンセーショナルな登場を飾った、2011年第2Qを代表するソーシャルビデオ広告キャンぺーンだと言っていいだろう。また、2週続けて800万台のビューを記録した上に3週目も300万ビューを記録し、3週間で2Q全体のビューの80%近くを稼いだことになる。

ただ、下のグラフを見ていただければわかる通り、その後の落ち込み方も急激だった。2Q最後の週は、約14万ビューまで数字を下げてしまっており、エビアン「Live Young」の再来とはいかなかった。

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2位は、1,570万ビューでエビアンの「Live Young」。1Qの5位から3つランクを上げての2位は見事と言うしかない。しかも、1Qの1,288万ビューからさらに数字が増えているのが凄い。3位は、フォルクスワーゲンの「The Force」。1Qの4,480万ビューから3,600万ビューも下げているが、TOP5にちゃんとランキング入りしてきた。4位は、4月29日に公開されたダートデビルの「You Know When It's the Devil(ザ・エクソシスト)」。最近何度も紹介しているので詳細については省略するが、実質2ヶ月でTOP5入りを果たしたことになる。そして、5位がブレンドテックの「Will It Blend?」。TOP5の中で最も古い、2006年12月30日に公開されたソーシャルビデオ広告キャンぺーンが、確実にビューを重ねて見事ランキング入りを果たした。

下のグラフは、2QにおけるTOP5の週間ビューの推移を表したものである。ごのグラフを見ると、2QのランキングTOP5の傾向がわかる。「Live Young」、「The Force」、「Will It Blend?」の3つは比較的動きが少なく、「ロイヤルウェディング」、「You Know When It's the Devil(ザ・エクソシスト)」の2つは動きが大きい。2Qに関して言えば、前半が「ロイヤルウェディング」、後半が「You Know When It's the Devil(ザ・エクソシスト)」と、はっきり主役が分かれてしまっているのが特長だ。

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下の表は、2Qにおいて週間ランキング1位を獲得したソーシャルビデオ広告をリスト化したものである。T-モバイルの「ロイヤルウエディング」とダートデビルの「You Know When It's the Devil(ザ・エクソシスト)」がそれぞれ最多の3回を記録している。一方、フォルクスワーゲンの「The Force」とブレンドテックの「Will It Blend?」は、週間ランキングの1位に一度も顔を出していないにもかかわらず、四半期のランキングではTOP5にちゃんと入ってきている。

四半期のランキングで上位に顔を出すには、1度くらい1位になっただけでは無理だということだ。四半期のランキングで上位を狙うのであれば、毎週安定したビューを記録する必要がある。そういう意味では、四半期のランキングでTOP5に名を連ねることができるソーシャルビデオ広告は、本当にコンシューマに支持されているソーシャルビデオ広告だと言っていいだろう。

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【3】 ブランド別ランキングの1位はT-モバイルで、2位はなぜかグーグル。

2011年度第2Qのブランド別ランキングの1位は、タイトル別で「ロイヤルウエディング」が1位になったT-モバイル。T-モバイルは、「ロイヤルウエディング」以外にも、「アングリーバード」、「ダンス」など5タイトルで3,920万ビューを記録し、2位に1,500万の差をつけての1位だった。

2Qの結果を見て意外だったのが、2位にランキングされてるグーグルだ。週間の1位に一度もランキングされたことなく、2Q全体では2,420万ビューで2位にランキングされている。原因は、下の表のタイトル数を見てもらえればわかる通り、この2Q中にグーグルは13ものソーシャルビデオ広告を公開していたことにある。

このタイトルの数を見れば、グーグルが一つのソーシャルビデオ広告を大ヒットさせるのではなく、小・中ヒットのソーシャルビデオ広告をたくさん公開することで、ブランド全体のビューを増やすという戦略を取っていることがわかる。そして、この戦略が成功したことを、2Qの結果が証明していると言えるだろう。5位のオールドスパイスも7タイトルを公開しており、グーグルと同じ戦略を取っていると考えられる。

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【4】 産業別ランキングの1位は清涼飲料

産業別のランキングTOP5は、僅差での争いとなった。1位の清涼飲料と2位のアパレルの差は僅か50万ビュー。どっちに転んでもおかしくない、本当に僅差の争いだったことがわかる。産業別のTOP5も、ブランド別のTOP5に似たような現象が見られる。2位のアパレルは、タイトル別でもブランド別でも、一つとしてランキングされたいない。それでも、あわや1位になろうかというくらいのビューを全体では記録している。

原因は、ブランド別ランキングで2位になったグーグル同様、タイトルの数にある。TOP5最多となる39タイトルを2Q中に公開していることが、今回のこの結果につながっていると言える。このアパレルは、代表するブランドを見てもらえればわかる通り、元々ナイキ、アディダス、リーバイスなど、錚々たるブランドが名を連ねている。これらのブランドが、週間で100万ビューには届かなくても、着実に50~60万ビューは計算できるタイトルを数多く公開していることが、今回の2位というランキングにつながっていると考えることができる。

産業別ランキングで意外だったのが、自動車が3位に踏みとどまっていることだ。1Q、スーパーボウルの恩恵を最も受けた産業だっただけに、TOP5に入ってくるのは難しいだろうと予想していたのだが、5,780万ビューでちゃんと3位に入ってくるあたりはさすがである。フォルクスワーゲンの「The Force」に代わるような強力なタイトルは現れなかったものの、アパレルと健康・美容に次ぐ30タイトルが平均してビューを積み重ねた結果が、今回のランキングにつながったものと考えられる。

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【5】 2011年度第2Qのまとめ

2011年度第2Qは、1Qの2月に開催されたスーパーボウルのようなビックイベントがなかった分、本当にコンシューマに支持されたソーシャルビデオ広告が、確実にビューを集める結果となった。その中にあって、前半のT-モバイル「ロイヤルウェディング」、後半のダートデビル「You Know When It's the Devil(ザ・エクソシスト)」という、二つのソーシャルビデオ広告が存在感を示した四半期だったと言っていいだろう。

また、多くのソーシャルビデオ広告が1~2週間でTOP20から消えていってしまう中で、何年にも渡ってランキングの上位に顔を出している、エビアンの「Live Young(ローラーベイビーズ)」とブレンドテックの「Will It Blend?」がちゃんとTOP5にランキングされていることは、驚き以外の何物でもない。

ダートデビル「You Know When It's the Devil(ザ・エクソシスト)」は、もしかしたらエビアンの「Live Young(ローラーベイビーズ)」とブレンドテックの「Will It Blend?」に次ぐロングセラーになるのではという期待を久々に抱かせてくれるソーシャルビデオ広告だ。どこまで今の勢いを持続できるか、「You Know When It's the Devil(ザ・エクソシスト)」の7月以降のランキングに注目したい。

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