クラブ・ジャズがお薦めです。特にSleep Walkerなんか
最近クラブ・ジャズと呼ばれるジャンルのCDを買って聴いているのですが、これが結構いいいんです。クラブ・ジャズという言葉の響きからして、ダンサンブルでリズムが強調された音を想像されるかもしれませんが、実は意外にもちゃんとオーソドックスなジャズの音をしているんです。なんというか、普通のジャズと何ら変わらないわけです。
米国やヨーロッパにももちろん良いアーティストがたくさんいるのですが、ここではあえて日本を代表するクラブ・ジャズのバンド、Sleep Walkerをお薦めすることにします。
クラブ・ジャズにはいくつかの流れがあって、大きくはフュージョンやジャズ・ロック系の流れと、スピリチュアル・ジャズ系の流れに分かれます。今日紹介するSleep Walkerは、完全にスピリチュアル・ジャズ系の流れからくるバンドで、普通のジャズ・ファンが聴いても十分楽しめる音をしています。
6月に発売されたばかりの新作「Works」ももちろん良いアルバムなんですが、はじめての方には前作「Voyage」の方をお薦めします。私も、この「Voyage」を聴いて彼らのファンになってしまったほど大好きなアルバムです。特に、スピリチュアル・ジャズの大御所ファラオ・サンダースをフューチャーした最後の曲が圧巻です。この一曲を聴くためにだけでもお金を払う価値があります。
ちなみにスピリチュアル・ジャズというのは、インパルス時代のジョン・コルトレーン、アーチー・シェップ、ファラオ・サンダース、ビリー・ハーパー、ドン・チェリーあたりの演奏をいいます。実は密かにブームになっていて、もっと詳しく勉強したいという方には、去年発売された「スピリチュアル・ジャズ―Jazz Next Standard」(リットーミュージック)という本をお薦めします。これを読めば、スピリチュアル・ジャズのすべてがわかります。
私の場合は、元々スピリチュアル・ジャズが好きなせいもあって、自然とクラブ・ジャズを聴くようになったわけですが、最近の若いリスナーは、反対にクラブ・ジャズからスピリチュアル・ジャズに流れていくそうです。
Sleep Walkerを聴いてクラブ・ジャズのファンになった若いリスナーが、彼らのルーツを辿った結果としてスピリチュアル・ジャズに行き着くというのは、ちょっと不思議な気がします。ただ、Sleep Walkerの演奏には、スピリチュアル・ジャズと呼んでもいいほどの迫力があります。
中でも中村雅人のサックスが素晴らしい。ウォームなサウンドが個性的で、耳に必ず残ります。そこでちょっと調べてみたんですが、中村雅人は「Bamboo」という竹製のマウスピースを使っていました。なんとなく彼のウォームなサウンドの理由がわかったような気がします。
実はこの竹製のマウスピース、マルタをはじめ使っているサックス奏者が増えているらしく要注目です!ちょっと欲しくなってきました。。。