ソーシャルメディアは有料制にするべきだと思う
ソーシャルメディアは有料制にするべきだと思っている。ここでいうソーシャルメディアとは、SNSの究極のカタチともいえる、人間の集合知からなる新しいタイプのメディアのことを指している。
たとえば、何か知りたいことがある時、私達は真っ先にグーグルの検索エンジンを使って調べるのが習慣になってしまっている。ところが、グーグルは本当に必要としていた情報を毎回私達に届けてくれるだろうか。
答えは”NO”だ。必要としている情報の内容が深ければ深いほど、グーグルの検索結果は意味をなさなくなってしまう。極端に言ってしまえば、グーグルが私達に提供してくれる検索結果は、テキストに整理することができる情報を見せてくれることと、必要な情報を知っていると思われる人間(あるいは組織・企業)を教えてくれることだけである。
テキストなどに形式化されたデジタルな情報だけで用が足りるのであれば、グーグルでも十分機能するのだろうが、私達が本当に知りたいのは、ほとんどは人間が持っている暗黙知と呼ばれている情報だ。そして、この暗黙知を得るためには、その暗黙知を持っている人間に直接聞くのが一番の近道である。
それを唯一実現できる可能性を持っているのが、デジタル(テキスト:形式知)とアナログ(人間:暗黙知)の両方をカバーしているSNSだ。SNSは、間違いなくソーシャルメディアのフレームワークになれる可能性を秘めている。
※ソーシャルメディアについては、去年執筆した、拙著「SNSビジネス・ガイド」(インプレスジャパン)の最後方で詳しく触れているので、興味のある方は是非お読み下さい。
では、ソーシャルメディアは本当に実現するのか。私は、実現すると思っている。それも、近い将来必ず実現するはずだ。ただ、そのためには、クリアしておかなければならないポイントもいくつかある。中でも重要だと思っているのが、料金の問題だ。
個人的には、ソーシャルメディアは有料制にするべきだと思っている。有料制にすることで、知りたい側と教えたい側に適度な緊張感が生まれ、無料のサービスでは実現が困難な、本当に有意義な情報がやり取りされることになると考えている。
以前、ミクシィの自分が立ち上げたコミュニティ内で、学生相手からの問合せに積極的に答えていた時期があったのだが、続けているうちに何人かの学生から、レスポンスが遅いというクレームが入ってくるようになった。
こっちは、本業の合間をみつけて対応しているわけで、文句を言われる筋合いはない。結局、続けることは無理だと判断して、そのコミュニティでの活動をやめてしまったという苦い経験を持っている。
情報を提供する側はボランティアだと思っていても、情報をもらう側はそうは思っていないケースは多々ある。こうしたバランスを欠いた関係は、結局は何ももたらしはしない。
ソーシャルメディアは、絶対に有料制にするべきである。