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重要なのは招待制か登録制かではなくSNSビジョン

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ブログに比べれば、SNSの方が炎上率ははるかに低い。少なくとも、今までに関わってきたSNSで、炎上したという例は一つもない。ネット上の不特定多数のユーザーの目に晒されているブログと、何らかの共通する目的を持ったユーザーだけが使うSNS。当たり前と言ってしまえばそれまでかもしれないが。

このSNSの安全性が、ミクシィを引き合いに出して招待制によるものだとする考え方があるが、この考え方は間違っている。もちろん、多少の効果があることは認めるが、SNSの安全性と招待制には何の因果関係もない。

実際、ミクシィはまだ招待制を固持しているようだが、最近は登録制を採用しているSNSの方が一般的だ。今後も、コンシューマーを対象とするSNSは登録制が主流になるはず。

SNSが安全性を確保できているのは、SNSに暗黙の運営基本方針があるからだ。SNSビジョンと呼んでもいい。対象とするユーザー層、実現したい目的、提供する付加価値など、SNSビジョンを構成する内容はSNSの種類によってまちまちだ。

たとえばfaamは、「アーティストとファンのための音楽ポータルSNS」というビジョンを掲げている。ということは、faamには少なくとも音楽に関心のあるユーザーしか集まってこない。招待制か登録制かということが、SNSの方向性とは何の関係もないということを証明している。

会社を立ち上げる際に、経営者が会社のビジョンを示して社員を引っ張って行かなければならないように、SNSの運営者もまたSNSのビジョンを示してユーザーを引っ張って行かなければならない。そして、ビジョンに共感し合ったユーザー同士が動き始めた時に、SNSは活性化し出してくる。

立ち上げたSNSが上手く機能していないという相談を受ける度に、最近はこのSNSビジョンを明確にすることを真っ先にアドバイスしている。今までは機能を追加したり、会員獲得のための施策を考えることをアドバイスしていたのだが、それだけでは意味がないということがわかってきたからだ。

機能を追加したり、会員獲得のための施策を考えるのは、SNSビジョンが完成してからでも遅くない。自分が納得しないSNSビジョンに、ユーザーが納得してくれるはずがないのだから。

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