Web 2.0を捉える視点(1)
最近、顧客からWeb 2.0に対して聞かれる機会が増えてきました。皆さん、感心するほどよく勉強しています。ただ、「何となく言いたいことはわかるんだけど、ちゃんと理解することができない」、といった意見が大半です。
これは私が常々言っていることなんですが、Web 2.0について最初に書かれた論文、『What Is Web 2.0』が非常にわかりにくいことが原因の一つになっていると思います。『What Is Web 2.0』の中でティム・オライリー氏は、Web 2.0を複数の視点から捉えて説明しています。実は、これが読む側を混乱させているような気がしてなりません。
オライリー氏は、最初に「Web 2.0の原則」として7つ紹介しています。この「Web 2.0の原則」はページの大部分を占めている重要なものです。簡単に紹介すると、
① プラットフォームとしてのウェブ
② 集合知の利用
③ データは次世代の「インテル・インサイド」
④ ソフトウェア・リリースサイクルの終焉
⑤ 軽量なプログラミングモデル
⑥ 単一デバイスの枠を超えたソフトウェア
⑦ リッチなユーザー経験
となります。
そして、これら7つの原則を説明する中に、ロングテールやフォークソノミーといったWeb 2.0のキーワードが登場してきます。どちらかというと、この「Web 2.0の原則」は、Web 2.0をビジネスの視点から捉えたものです。そして、この「Web 2.0の原則」そのものが、話題が拡散していることもあって、ちょっとわかりにくい内容になっています。
その他にも、『What Is Web 2.0』には、「Web 1.0的企業とWeb 2.0的企業の対比」と「Web 2.0要素マップ」という二つの重要な図が登場します。そして、この二つの図は「Web 2.0の原則」を補完する内容になっています。
ところが、『What Is Web 2.0』にはもう一つ「Web 2.0のデザインパターン」というものが登場してきます。そして、これが今度はWeb 2.0を技術的な視点から捉えたものになっています。これはあくまでも私見ですが、このWeb 2.0を捉える視点の微妙なズレが、Web 2.0をわかりにくくしているような気がするのです。
≪つづく≫