『なんでもできる』は、”なんにもできない”
今朝のITmediaの記事に、「携帯デバイスは多機能1台より複数を持ち歩く」というニュースが出ていました。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0611/09/news013.html
このニュースよると、”多くの携帯端末利用者は、現在使用している端末に新機能が追加されても、それは単なる「おまけ」のようなもので、ツールとしては役立たないと考えている。”なんだそうです。
確かに、例えば携帯端末に音楽プレーヤーの機能とスケジューラの機能と、メーラーの機能と、デジカメと、TVと、電話と・・・ぜんぶ揃っていれば、便利なような気がしますよね。
しかし、
この手の理想論は、いつも語られては実現していないのが事実。
(技術的に詰め込んだものはある/あったかもしれないですが、メインストリームになってない、という意味)
ここで肝心なのは、技術的には機能てんこ盛りは可能であったりすること。
技術者に限らず、製品を企画・開発するときに、「技術的に可能」・「一元化されることは善」という思いが入ってしまうことは、とてもありがちです。
でも、先の記事引用にあったように、多くのユーザは「付加機能=おまけ=あまり役に立たない」と捉える傾向があるわけです。例えそれがおまけのレベルではなかったとしても。
これはハードウエアに限らず当然ソフトウエアでも同様。
多くのITプロダクトベンチャーが、うっかり突き当たってしまう罠があります。
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自分たちの技術の粋を集めて、高機能多機能の製品を開発し、テストマーケティング的に先行ユーザを探す営業の旅に出ると、「ほほう、すばらしい製品ですね。興味深い。きっと大成功しますよ。今日はありがとう。」という言葉をかけられるわけです。「やった!、思ったとおり高く評価された。本格的に営業をはじめれば、売れまくるぞ。」
しばらくして、、、「なんでだろう?まだ売れない。」
だいぶ経って、、、「うむー、売れない、なんでだ?」
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「それを買う」という判断は、殊に企業ユーザの場合、なんらかの課題に対処するとか特定のニーズを満たすモノに対して行われます。
胃が痛い時に、「H2ブロッカーの胃薬」と、「胃痛はもちろん、頭痛にも歯痛にも筋肉痛にも腹痛にも効いて、しかも消化促進と解熱効果もある万能薬」のどっちを買うか?
な、わけです。
もちろん、ある程度機能が集約されているほうが便利だったり、手間が省けるということもありますが、むやみに「なんでもできる」は、「なんにもできない」になってしまうことが多いので、要注意。