公聴広報課 考
先日、なにげなく市の広報誌を見ていて、ふと目に留まったのが「公聴広報課」の文字。そう、その広報誌の発行元の部署名なわけですが、「広報」だけじゃなくて「公聴広報」。
なるほど、言われてみればごもっとも。広く報せるだけでなく、聞く耳も持っているんですよ!という意味でしょうか。
公聴は、主に行政機関などが広く意見を求めること、とかなんかそういう意味で広聴と書く場合もあるそうです。調べて見ると、「広聴広報課」というところもずいぶんあります。「広報広聴課」というように順序が違っているところもたくさん。
いずれにしろ、発信するだけでなく広く声を集めるというのは、実に肝要なことだと思います。
これは、お役所に限った話ではなくて、当然企業でもそうあって然るべきではないでしょうか。
しかし、「広報広聴部門」とか、「広聴広報マネージャ」てのは、あまり聞かないですね。
通常、広報部門の主な使命は、報道機関向けのプレスリリースや記者発表会などの対応や広報誌の発行、一部危機管理などに主眼が置かれていることが多く、聴くというところはあまり意識されていないかもしれません。
情報を発信する、提供するという行為は、そもそも伝えたいという発信側の思いからですが、そもそもは受け手の側の知りたいがあってこそとも言えます。広報を英語で言うとPR(Public Reration)ですが、このほうが双方向的な雰囲気がありますね。
もっとも、企業の場合はマーケティング部門が市場調査やキャンペーンなどを通じて耳の役割を果たすともいえるので、お役所の考え方のほうがいいというほどではないかもしれませんが、この場合も広報がマーケティング部門の機能の一部であるかないしは緊密に連携することが重要です。
従来のマスプロモーション的な発想の広告宣伝が限界を迎え、それこそ2.0的なコミュニケーションが台頭しつつあるとされる中、広報・PRもこれまでとは違ったアプローチを考えていかねばなりません。
当然、PRのPはPublicでなくてPressじゃないか、というような媒体オンリーのターゲティングではなく、誰に何をどのようにして伝えていくのか、どうやって相互理解と情報共有をはかるのかなど、考えると面白いテーマがたくさんあると思います。
大きな会社では、広報といっても報道機関対応、投資家対応(IR)、社内広報、広報誌などのパブリックな対応、業界アナリスト対応(AR)、危機管理などというように機能が細分化されているケースもあるでしょう。
自社の広報機能としてどれを重視するのか、誰がどこまで担当するのかなど一度考えて見るものいいかもしれません。