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G1サミット2012@青森屋 その3 コンプライアンス+三宅氏著「Googleの脳みそ」

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2/10-12 青森屋で開かれたG1サミットに参加した。そのエントリーのつづきに加えて、2/17に開かれた三宅伸吾著「Googleの脳みそ」出版を祝う会について。

G1サミットで印象的だったセッションの一つが、「コンプライアンスと企業成長〜日本からGoogleは生まれるか〜」。パネリストは、名城大学の郷原信郎氏、衆議院議員の柴山昌彦氏、日経新聞の三宅伸吾氏。モデレータは弁護士の永沢徹氏。

左から、永沢氏、郷原氏、柴山氏、三宅氏

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News2Uの神原さん @minako のツイートから一部を拝借して以下に:

三宅「“Googleの脳みそ“とは、法令遵守はどういう事を実現するために会社を作ったかという使命感が上位の価値観として、経営者の能みその中にあるということ。社会に役立つ事がまずあって、法令はブレーキ役。この順番を間違えている会社が日本に多い。」
三宅「グーグルもいろんなところで訴訟があるが、“許可をもらうより、謝る方が楽だ”といいきっている。また、グーグルの法務担当は、ユーザーの利便性とリスクを天秤にかける、とも」
三宅「日本の会社では正義の最大化でやりたいことを追求するよりも、不祥事の最小化を追求している雰囲気がある。コンプライアンス研修は、経費を使って社員の活力を下げている。これは株主に対して背任」
郷原「コンプライアンスとは組織に向けられた社会的要素にしなやかに鋭敏に反応し、目的を実現していく事」
柴山「日本にもっと訴訟が起こしやすくなる土壌を作るべき。何かやっていいかと相談されたら、既存の法律ではなく、訴訟になったらどうなるかを基準に判断してきた」
柴山「訴訟というのは利害関係を考慮して妥当な結論を出す。会社としてやったほうがいいことはやるべき。また、いろんなヒアリングをして規制を決めていくが、時代に合わなければ規制を緩和していく。国会議員も勉強をしていくべき」
柴山「ガバナンスの問題については、合理的な判断を経てチャレンジすることについては寛容であれ。嘘や隠蔽には厳しくあれ、というのがグローバルな考え方」
三宅「郷原氏のいう組織に向けられた社会的要請とはパッシブなもの。私の考えとは違う。社会の要請に応えるという受け身ではグーグルは生まれない。パッションのある人間がやることが、ベンチャーが成功する要因だと思う」
郷原「私の考えている社会の要請は自分で感じ取るものを含めているので三宅さんの指摘とは違う。自分がやりたいことを考えるにおいても、社会があって、誰かが価値を認めてくれるということを考えながらやっているから大きな成功になっていく」
郷原「伝統的企業は社員の匿名性を重視している。一方でベンチャーは個人が自由で二極化している。大企業は中の居心地がいいので自分の行動が突出しないようにしている。そういう企業は生き残っていけないのではないか」

日本にGoogleが生まれるに必要なのは起業家のマインドとそれを後押しする空気という三宅さんの指摘はその通りだと思うし、“許可をもらうより、謝る方が楽だ”というGoogleトップの言葉はイノベーションのために避け得ないポイントを表している。なお、このほか、オリンパスの第三者委員会や上場維持の件について、興味深い意見が交わされた。
また、コンプライアンスとは組織に向けられた社会的要素にしなやかに鋭敏に反応し、目的を実現していく事という郷原氏の論には、うなってしまった。言われてみれば正にそうだが、日本の大企業でこうした認識の経営者がどれだけいるか?まさに環境変化への不適応が大きな本質的課題として横たわっている。

2/17の出版パーティには、神田瀧夢さんも応援に駆けつけ…お話ししたところ、若者の起業家精神の鼓舞にご協力いただけそうで、後日企画したいと考えています。

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東証上場承認されたライフネット生命の岩瀬さん。「ザッポス伝説」をお褒めいただいた出口社長ともお会いできました。

参考:小生ブログ「Googleの脳みそ―変革者たちの思考回路」を読んだ

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