ブルマンを再生した日本の匠:世界最高のコーヒーを味わった
昔、最高級のコーヒーを注文する大人たちは「ブルマン」と店で言ったもの。ブルーマウンテンは特別のコーヒーだった。しかし、いまでは若者はブルーマウンテンといってもなんとも思わない。なんでもかんでもブルーマウンテンと呼び、生産量かつての10倍に。かつ高品質のコーヒー栽培・提供のオペレーションが霧消してしまったからだ。
日本の匠は時として、あきれるほどに道を究める。それがコーヒーについても一人いる。コーヒーハンターの異名を持つ川島良彰さん(http://www.mi-cafeto.com/)。
世界最高のコーヒーを提供する川島さんのGrand Cru Cafeだが、やっとブルーマウンテンがラインナップに加わった。
先日、そのお披露目に顔を出したが、数多くの専門家が「他のコーヒーと全く違う」とうなっていた。都内で一番高いブールーマウンテンと比べてみたが、ワインに例えるならGrand Cru Cafeは状態がよく若々しく上品な印象だが、Grand Cruでない方はやや酸化した雑味のある感じ。
・外皮は機械でなく水に浸してやわらかくしてとる
・乾燥は機械を使わず天日干し
・豆のサイズを19番で統一(それ以外の豆は使わない)
・熟練おばさんの手作業での選別
などなど、手間ひまかけて、最高の品質にこだわった生産プロセス。もちろんロジスティクスも熱を避けてベストの方法を。
テレビカメラも入っていたが、Wow Wowでドキュメンタリーが放送されるとか。
このブルマンが実現した背景は、こうしたノウハウもさることながら、「人」が鍵となった。コンベンションなどで顔を合わせたことはあったシャープ兄弟。品質へのこだわりでは意気投合したが、そのままになっていたとか。それが、飛行機内で川島さんのテレビを見て、シャープ兄弟が連絡を入れた。そこから話は具体化し、シャープ兄弟は日本へ、そして川島さんはジャマイカへ。
もともとオレンジで成功したシャープ・ファミリーだったが、1990年代にコーヒーをはじめた。他の農園は品質へのこだわりが薄い中、高い志しで取り組んだという。そのJuniper Peak農園は位置も状態も最高。それ以上に、川島さんのある種クレージーな要求に全て応えて、最高のコーヒーをつくろうとタッグを組んだのは感動もの。
食品かぎらず新事業で一般的によくあるのは、その業界に長く染まっていない新規参入者がフレッシュな考え・姿勢で頑張ると、ブレークスルーを起こすことだ。
やはり鍵は人と縁(えにし)だ。
試飲の模様。後ろにあるのはワイン・セラーならぬコーヒー・セラー。著名人もマイ・コーヒーを保管してます。
豆はガスとアロマを放出するため、シャンパン・ボトルに封じて販売