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ピクサーの新作はドルイド教ネタ?

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「トイ・ストーリー」などで日本でも人気のアニメ・スタジオ、ピクサーの新作「メリダとおそろしの森」が7/21日本公開。その日本版予告編が登場したが、これがいろんなことを連想させる。

「メリダとおそろしの森」予告編
http://www.disney.co.jp/movies/merida/

 プレスリリースによれば、舞台は「太古の魔法が息づくスコットランドの神秘の森」。予告編を見ると、ヒロインの少女メリダを初め、彼女の弟、父親の鮮やかな赤毛は、スコットランド仕様。そして音楽も、もろケルト民俗音楽ふう。城は簡素な石造りの塔で、時代は中世初期。風景はヨーロッパ北方で、海も近い。そしてなにより、メリダが森で"古い魔法"に出会う場所が、ストーンヘンジのような環状列石なのだ。そうか、今度のモチーフはケルトか! ってことは、ドルイド教が出てくるんだな、きっと。

 ドルイド教とは、ケルトの古代信仰のこと。ブリテン諸島は、西暦1世紀ローマ帝国に侵略されが、それ以前はここではケルト人たちが独自の文化を築き、彼らの自然崇拝の多神教は、ドルイドと呼ばれる神官が司っていたと言われている。このドルイドだったのではないかと言われているのが、アーサー王伝説の魔術師マーリン。そして、英国のストーンヘンジは魔術師マーリンが巨人を使って作らせたという伝説があり、環状列石にはドルイド教のイメージがある(現在の研究では、それ以前の文化の遺跡説が有力らしいにも関わらず)。

 ともあれケルトをモチーフにするとなれば、ピクサーにとって新たな挑戦だろう。ディズニーはこれまでも「ムーラン」の中国文化、「プリンセスと魔法のキス」のニューオリンズのクレオール文化など、さまざまな文化をモチーフにしてきたが、ピクサーはその逆の方向性で、「トイ・ストーリー」のオモチャの世界、「ファインディング・ニモ」の海の中や「ウォーリー」の宇宙を舞台にすることで、固有の文化の枠組みを取り払う方向に進んできたように思われるからだ。そして「歴史」ではなく「現在」か「未来」を描いてきた。そのピクサーがなぜ今、「ケルト」を描くのか。その答を映画で確かめたくなる。

 もうひとつ、この映画は「もののけ姫」のケルト版という見方も出来そうだ。どちらも"森"で"古代の魔法"に出会う物語。予告編でメリダが環状列石で出会う小さな青い炎たちは、どこか「もののけ姫」のコダマを連想させたりもする。どこが同じでどこが異なる物語になるのか。そんな見方もおもしろそうな気がしてくるのだ。



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