ケンブリッジ語録#36 先出しすれば「リーダー」だが、後出しになれば「作業者」である
僕が勤めるコンサルティング会社、ケンブリッジには、厳しいプロジェクトの現場で生まれてきた「語録」がある。
今回はこれ。
先出しすれば「リーダー」だが、後出しになれば「作業者」である
僕は昔、プロジェクトマネージャーとこんなやりとりをしてよく怒られた。
【後出しのやりとり】
PM「これやったの?」
僕「やろうと思ってました」
PM「思ってたって言われてもね」
本来はこういうやり取りであって欲しい。
【先出しのやりとり】
僕「ちょっと気が早いんですが、xxが必要だと思っています」
PM「そうだね。まだ先だけど、xxが終わったくらいにやろう」
・・・
PM「これやってる?」
僕「いえ、前に話した通り、そろそろ始める予定です」
PM「ああ、そうだったね、よろしくね」
"まだやってねーよ"という状況はほとんど同じなのだけど、PMからすると安心感が全然違う。
同じことをやっていても、同じことを考えていても、最終的な成果物が同じでも、"先出せる"かどうかで印象が全然違う。
対クライアントでも、対社内でも同じ。
感覚的には「10歩先を考え、3歩先を提案し、1歩先を実行する」という感じだ。
先出しができなければ"作業者"になってしまう
これは安心感というだけでなく、自律主体性にも大きな影響を及ぼす。
常に先回りして、自分の頭で考え提案していかないと、自分でタスクをリードできない。
自分でタスクをリードできないなら、"仕事をしている"とは言わない。
指示された通り"作業をしている"という。
つまり、後出しに回った途端に、言われたことをやる「作業者」になってしまう。だから先出しが重要になる。
先出しするコツ~5秒立ち止まってみる~
先回りするコツはいつくかあるが、一つ紹介するとすると
何かしようと思った時に、5秒立ち止まって、
"今やろうとしている事以外に、プラスα何かをするとしたら?"と考えてみることだ。
例えば「xxさんと会議したいから、スケジュール押さえておいて」と頼まれた時
5秒立ち止まってプラスαを考えてみると・・・言われたことだけやると「Outlookでスケジュールを確保する」ことになる。
他にプラスαを考えると・・・
- 会議室も押さえた方がいいかな
- そもそもこの会議誰が仕切るのか確認しようかな
- 会議の目的とAgendaを確認して連絡しておこうかな
- プロジェクターやホワイトボードを用意した方が良いかな
- xxさんも含めて、1日前にリマインドメールを出そうかな
- ・・・
という具合だ。
例えば「xxの資料を来週までに作ってくれ」と頼まれた時
5秒立ち止まってプラスαを考えてみると・・・言われたことだけやると、黙々と資料を作り始めることになる
他にプラスαを考えてみると
・期限の前にレビューして貰ったほうがいいかな
・そもそも、レビューのタイミングと回数確認しておいた方が良いかな
・レビューの仕方はメールでみてもらうのか、対面でフィードバック貰うのかどっちがいいかな
・対面だとするなら、レビューの時間を決めて、スケジュール確保しておいたほうが良いかな
・印刷をする必要はあるだろうか
・・・・
といくつもプラスαが出て来る。お節介を焼くとしたら?と考えても良い。ここでいくつも出てこないのは、想像力が足りない証拠だ。たくさん出てくるなら先出しする素地はできている。
こうして発想したら、次は、"どこまで実行に移すか"を考えればいい。
"考える"ことと、"行動に移す"ことは切り分けて置くのがポイントだ。
行動しなきゃ、が先に立つと思考が狭まってしまう。
行動するかどうかは別だけど、考え得るプラスα≒お節介を想像しておくのである。
考えたことを全部実行に移すと、鬱陶しいヤツになってしまうし、時間がいくらあっても足りなくなるので注意。
まず考えて、選択肢をふくらませる。その上で本当にやった方が良いことだけを実行に移す。ということだ。
作業者から脱したいなら、まずは5秒考える習慣を身につけることから実践してみてはどうだろうか?