ケンブリッジ語録#33 とにかく「姿勢」がすべて
僕が勤めるコンサルティング会社、ケンブリッジには、厳しいプロジェクトの現場で生まれてきた「語録」がある。
今回はこれ。
とにかく「姿勢」がすべて
ケンブリッジでは、「顧客メンバーの"育成"に主眼を置いたプロジェクト」を支援することも多い。
10~20人のプロジェクトメンバーとケンブリッジメンバー2~3人が協働しながら、ケンブリッジのノウハウやワークスタイルを伝えていく。新しいやり方や文化から学び、ビジネスパーソンとして一段成長してもらえるように。「生産性30%改善」といったプロジェクトのゴールを目指しつつ、育成も同時に狙うので、一粒で二度美味しい取り組みである。
こうしたプロジェクトをやると、「ケンブリッジがなんぼのもんじゃい」と斜に構えた人や、「こんなことやってもどうせ何も変わらない」と最初から腐っている人が一定数いる。そんな時に、毎回痛烈に感じるのが・・・
「学ぼうとする姿勢があれば、どんな事からも学べる。姿勢がなければ、どんなに良い環境でも学べない」
と言うことだ。斜に構えようと思ったらいくらでもできるけど、良いことは一つもない。
「姿勢」が学びの質を180度変えてしまう
例えば、全く同じ研修を受けても姿勢一つで感想が180度異なることがある。
例えば"後ろ向きな人"が「研修の内容は、ほとんど知ってることだった・・・」とつまらなそうにしている横で
全く同じ研修を受けた"前向きで学ぼうとする人"が「内容は知っていることだったが、ここまで体系立てて言語化できていなかった。言語化できていなかったから、自分が出来たとしても人に教えることはできなかった。これでしっかり教えられる」と目を輝かせていたり、「内容は知っていることだったが、全く実践できていなかった。今回"実践する"ためのヒントがいくつも得られた」とコメントしている光景を何度も見てきた。
さらに面白いのは、往々にして後者の人のほうが能力が高いことだ。
つまり、「全く同じ学ぶ機会」に触れた際に、
学ぶべきことが多い人(能力が低い)ほど学ばず、
学ぶべきことが少ない(能力が高い)ように見える人ほどより多く学ぶのである。
時間を使うからにはしゃぶり尽くす!という姿勢が、学びの質を一変させるのだと思う。
これは、"受動的"な学びか、"能動的"な学びかの違いでもある。
「より多く学ぶマインド」へ、価値観をシフトさせる
では、どうすれば能動的な学びができるのか?
僕自身は、元来、斜に構えるタイプの人間なのだが、「能動的な学び」「より多く学ぶマインド」に切り替わった瞬間があった。
6年前、とある社外トレーニングに参加してきた時のこと。
相当つまらないトレーニングだったので、社内に戻って来た僕は「いやー、クソつまらんトレーニングでした。時間の無駄でしたよ。学ぶことは何もありませんでした」と感想を撒き散らしていた。
その時、先輩コンサルタントにこんな事を言われたのだ。
「ふーん。でも、どうしようもないクソトレーニングだったとしても、学ぶことはあるでしょ?」
これにはちょっとした衝撃を受けた。(え?学ぶことはないと言ったじゃないか・・・。それでも学ぶことがある??そうなのかな?・・・でもつまらないのは事実だったし・・・。・・・学ぶとするなら何なのだろう・・・?)
これが、パラダイムシフトのきっかけだった。
改めてよく考えると、本当につまらないトレーニング(研修)だったとしても、
「どうしてツマラナイのか?」を考えることができる。
「どうしたら良くできるのか?」を考えることだってできる。
そして、こうして考えたこと、言語化したことは、自分が研修をやる側になった時に必ず使える。しかも"ダメな研修の実例サンプル"まで手に入る。そう考えると学ぶことだらけじゃないか!
しかも、「つまらなかった。学ぶべきことはなかった」と誰の得にもならないことを言うより、「つまらなかったけど、逆に××はしてはならないと痛感したよ」と言えた方がずっとカッコイイじゃないか!
だから最近は、トレーニング(研修)だけじゃなく、何が言いたいかわからないダメな資料や、眠くなるダメなプレゼンに巡り合った時には、なぜダメなのか?何が違うのか?を言語化する様に努めている。
「何が言いたいかわからん」で済ますのは簡単だが、それではあまりにもったいない。そしてダサい(死語)。
だから、前向きで、考えよう、やってみようというマインドを持った人材なら、ほんの少しの刺激でぐっと伸びる。逆だとどんなに手を掛けてもダメだ。
人の「姿勢」を作ることが、なにより大事
こうしたことから、極めて重要な示唆が得られる。
"どんな取り組みでも「人の姿勢」作りが肝になる"ということだ。
「人の姿勢」を整える事ができれば、それだけで8割型成功したと言ってもいいだろう。その次にコンテンツ、ファシリテーションって順番。
ケンブリッジの社内でも同じだ。
・自分の行動を変えよう、より高いパフォーマンスを出そう。と真剣に思っているか?
・フィードバックをしゃぶり尽くして自分の糧にしようと思っているか?
・トレーニングから一つでも多くの気付きを得ようと思っているか?
この辺がコンサルタントの成長におもいっきり影響している。
すべては心意気一つ。さて、あなたの姿勢はどうだろうか?
コンサルタント森下さんのコメント
語録を読んで、2つの経験を思い出しました。
①初歩的な会計の社外研修を梅澤さんと一緒に受講したときに、会計にあれだけ詳しい梅澤さんですら「学ぶことがあった(税理士が実務でどのようなことを考えて財務諸表を見ているか等)」
と言っていたこと②白川さんが「社外研修の大半はツマラナイものだが、ツマラナイ研修を受けたときにはどうしたら良くなるのか考えている」と話していたこと
本当に、姿勢次第なんでしょうね。
トレーニングから一つでも多くの気付きを得ようと思っていれば、
A)長時間に及ぶ初歩的な研修からでも、集中して受けていればコンテンツとして学ぶことがあるかもしれない(ツマラナイ、と腐ってしまったら確実に学びゼロになってしまいますが)
B)コンテンツとして学ぶことがなかったとしても、研修設計・ファシリテーションの観点で学ぶことがある社内トレにおいても同じですよね。
自分が十分理解している(と思っている)テーマの社内トレーニングでも、上記の姿勢で臨めば、どんなタイトル(役職)の人でも、学べることは少なからずあるんだろうな、と思います。