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消えた1000円の謎と、サービス業が厳しくなる本当の理由3ーコメントのお返事にかえて

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2012年10月頃に、消えた1000円の謎と、サービス業が厳しくなる本当の理由2という記事をご紹介していました。その後、この続きを書く間もないまま年が明け、今年に入ってから別のテーマで記事を書き始めてしまったので、気になりつつも放置しておりました。

そんな折、ランキン様から「まだですか・・・」とのコメントをいただきましたので、お返事にかえて再度まとめます。気になったことを放置せずに、まとめるきっかけを下さったランキン様に感謝申し上げます。また「1週間後に」とお約束しておりながら遅くなっておりましたこと、お詫び申し上げます。本当にごめんなさい。
そこで今回は、この記事を書こうと思い立ったきっかけも合わせてご紹介します。

記事を書こうと思ったきっかけ
記事にした出来事
・首都圏の一等地に展開するチェーンのラーメン屋さんの店員さんの接客レベルが著しく低かったこと
・ラーメンの具の不足について、発注ミスをあからさまに伝え、理解を求める姿勢に疑問を感じたこと
・会計時に1000円の釣銭の間違いがなかったか、確認の問い合わせをした際の、アルバイト店員の言葉遣いが不適切だったこと
・問い合わせに対するレスポンスが、先方から提示があった時間以降にもなかったこと
・こちらから再度問い合わせた後、ようやく店長が折り返してきたこと
・店長の申し出内容は「お店側にはミスがないと店員が言っている」と言うものの「釣銭を一緒に数える教育ができていなかったので、1000円返金する」という内容だったこと
など、たった1杯のラーメンを食べに行っただけで、小さなミスがこれほど積み重なっているケースは珍しかったので、一つの例として取り上げたのでした。

なお1000円は、お店側にも、私のお財布にも、未だ消えたままで「謎」なので、「消えた1000円の謎」という大げさなタイトルを付けた次第です。

さて、1つ1つの出来事は、一見大したことがないと思われるかもしれません。私も普通だったらやり過ごすレベルです。しかし、このような出来事の前から、「サービス業の質の低下は著しい」と感じ「利用者は、お金を使ってまでサービスを利用する価値が薄れている」と思っていました。

そのような背景があり、ラーメン店での出来事があったので、この要因となっていると私が考えたことについて、書いてみようと思った次第です。

「店長」がお店の業績を左右する理由
仕事柄、サービス業の「店長」に位置づけられる「現場の責任者」の研修を担当する機会があります。責任者には、本社との連携や自店舗(及び組織)の運営責任、業績責任、人材育成責任があり、日々多くのことが課せられています。

このことは、店長(責任者)であれば、共通条件であり、あまり大きな違いはないでしょう。しかし、条件は一緒でも一定期間を経て得られる結果は大きく異なっていることが多々あります。一定以上の業績を維持できる店長(責任者)と、業績が不安定な店長(責任者)、トラブルが少ない店長(責任者)と、トラブルが絶えない店長(責任者)のようにです。

ある時、全国チェーンのファストフードサービスの店長研修を担当したことがありました。その際、「業績不振店を立て直すプロ」という人にお目にかかる機会がありました。その方が業績不振店に行くと、必ずその店舗は回復するというのです。

さて、その方は一体何に取り組んでいたと思いますか?

その方は、短い時間で次のようなことをおっしゃっていました。
「知識や技術を教えようとする人は多いんだけど、もう少し手前のところをやるともっといいんだよね。もう少し手前のことを教えておけば、みんなイキイキしてくるから。そうすれば、知識や技術は後からついてくる。手前が大事なんだよ」

このお話を、私は下記の図のようなイメージで捉えました。

誠ブログ用(見える部分).GIFのサムネール画像この図を少し詳しく紹介しますと、「想い」とは、「お客様に喜んでもらいたい」、「美味しかったと言われるようにしたい」というような、自分の内面から沸き起こる気持ちの面を指しています。
「姿勢」は、お客様に喜んでいただくために、安心・安全なものを仕入れること、衛生を保つこと、一定以上の品質を維持すること、無駄を省きコストを抑えること、お客様に居心地の良い環境を提供することなど商売全般にわたるあり方です。

その上に、商品や接客などの知識や技術、店舗を効果的、効率的に運営するための「工夫」を考え方・行動と捉えています。

「想い・姿勢」をベースに、「考え方・行動・知識・技術」が「見えない部分」として存在し、その上の「見える部分」というのが、私たちが受ける接客や提供される食事などに現れているというイメージです。

上記をふまえ「業績不振店を立て直すプロ」がおっしゃるところの「手前」とは、仕事に対する「想い」や「姿勢」を指しています。

そして、その大事さをわかっている「店長(責任者)」がとても減っていると、私は常々感じており、その顕著な例として、「ラーメン店」を取り上げたのです。

その一方で「想い」、「姿勢」はあっても、その伝え方が上手くなく、埋もれている名店もたくさんあることでしょう。そのような名店は、もっと知識や技術を身に付けていけば良いと思います。

本記事が、何かのヒントになれば幸いです。

ランキン様、本記事は、ランキン様のご期待に適っておりましたでしょうか?また、ご感想など下さいませ。
引き続き、最近書いている記事もよろしくお願いします。

原田 由美子

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