"ネーミング"は成果の近道ー『B1グランプリ』から学ぶ仕事術
仕事でなかなか思った通りの成果が上がらない時によくありがちなのが、"仕事の目的を見失い、当初イメージしていたものから目的がブレている"、"メンバーと一体感が生まれない"、"自分が伝えたいことが上手く浸透しない"など。目的を見失って、迷走したり、暴走したりすること、よくありますよね。今日は、そうした迷走や暴走を防止し、成果につなげるヒントを。
"サブタイトル"効果
サブリミナル効果ではないですよ(笑)。私の仕事である"研修"には、よく次のようなタイトルがついています。「リーダー研修」「昇格者研修」「営業研修」「5年目研修」など、こうしたタイトルは、研修対象と研修のタイミングを整理するのに向いています。恐らく、研修を企画する側から見ると、便利なネーミングと言えるでしょう。一方、受講対象者から見たらどうか?何をやるのか、さっぱりわかりません。リーダー研修だったら、"リーダーになったら受けるもの"という印象だけ持つことでしょう。
Six Starsの研修のコンセプトは、"期待を超える"です。何をやるのかさっぱりわからない研修では、期待のしようもありません。そこで、研修の参加対象者にとって"期待が持てる"研修にするための一工夫をしています。それは、研修の案内の際に、研修に興味を持てるようなサブタイトルを付けることです。
サブタイトルは多くの場合、研修を企画する人材育成のご担当者様の想いをお聞きして作ります。その際に大切なことは、"参加者側から見て興味が持てるかどうか"です。最近付けたサブタイトルには、次のようなものがあります。
リーダー研修~メンバーに、やりがいと手応えを感じさせ、成果をあげるために~
営業研修~取引拡大に向けた、インタビュー力強化講座~
「リーダー研修」、「営業研修」というタイトルだけよりも、目的や内容がイメージしやすくなりませんか?
「人はインパクトのあるもの、そして自分が幸せと感じられるものに引き寄せられる」
でも、この方に言わせれば、上記のサブタイトルでは「物足りない」と言われるかもしれません。B-1グランプリの仕掛け人のお一人、富士宮やきそば学会 会長 渡辺英彦氏です。先般終了した、第5回Bー1グランプリ。今年は過去最多の46チームの参加。来場者数も43万人というから、物凄いイベントに成長しています。第1回を青森県八戸市で開催した時は、10チームの参加、1.7万人の来場。(ちなみに第2回の富士宮開催では、21チーム、25万人来場)年々その規模が拡大している、B-1グランプリを牽引した渡辺会長は、次のようにおっしゃっています。
我々は、富士宮やきそばを言葉の力で付加価値を高めました。対マスコミにはまず富士宮やきそば学会と名付けました。よくこういった団体を作ると焼きそば振興協議会というネーミングになりますが、これではダメなんです。つまんないでしょ?学会だから意味がある、焼きそば学会の方が取材が増えますよ。名前にインパクトがあるから。あやしいですよ。いろいろと発信の仕方を考えるんです。あやしい情報が大事なんですよ。やきそば調査活動を行いましたが調査員ではダメです。調査員は「焼きそばG麺」と名付けました。なんだそりゃって感じになるんです。やきそばG麺がドラマのGメン75の格好をして取材されました。やきそば振興協議会ではそうはなりません。
(中略)
例えば富士宮焼きそば学会では出張サービスのことを伝導と呼んでいます。伝導はキリスト教の布教と一緒ということで「ミッション」という言葉からミッション麺ポッシブルと言っていたら、同名前の映画に主演のトムクルーズに会えるというようなことができるようになったりしました。同じ出張サービスでは話題にならない。言葉の力がいかに大きいのか是非気付いて欲しいと思います。
(引用了)
ネーミングのコツ
対マスコミを意識した仕事でなくても、仕事にネーミングをする手法は、自分の仕事を楽しくするためや、チームで取り組む仕事を盛り上げるために有効です。
その上で大事なことは、自分の仕事のテーマを明確にすること。富士宮焼きそばは、"麺"を核にして、派生させています。
・富士宮焼きそばアカデミー修了生に渡す修了書⇒「麺許皆伝」
・バスツアー⇒「ヤキソバスツアー」、参加者に配られた食事券⇒「麺財符」、「麺財符」使用可能店⇒「麺税店」
など。
私も自分の仕事にネーミングしようとしてみましたが、これが・・・なかなか思いつかない。しかし、今日をきっかけに、アイデアを練ってみたくなりました。ちなみに、よいネーミングと言うのは、最初は仕掛ける側の仲間同士で盛り上がれ、一体感が生まれます。次の段階として、"それは面白そう"と感じた人が参加意欲を表明し、協力者が増えます。そうなると、ビジネスは成功軌道に乗ります。
遊び心のある仕事のネーミングが出来たら、コメント欄にお寄せくださいね。
(参考情報)
富士宮やきそば学会 ホームページ http://www.umya-yakisoba.com/
豊橋青年会議所 特別対談 渡辺英彦氏
http://www.t-jc.jp/2009/index.php?option=com_content&task=view&id=141&Itemid=184