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あなたが考える、未来を築く若者に必要な力とは何ですか?「イーハトーヴ協創コース」の挑戦

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速報です!新設された「イーハトーヴ協創コース」の履修終了者に、未来を予測できる『賢治の羅針盤』が贈られることが決定しました!...
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というのは、本日4月1日、エイプリルフールの夢です!いつもこのブログを読んでいただき、ありがとうございます!(いつも読むほど書かれていないブログではありますが。。。)

前回の投稿から少し間(9年間)が空いてしまいましたが、私はこの1年と数ヶ月、未来の教育について熱い想いを込めたプロジェクトに没頭していました。それは、岩手大学で始まった「イーハトーヴ協創コース」という、宮沢賢治の描いた理想郷「イーハトーヴ」の名前を冠した、ちょっとユニークな学びのプログラムです。


最近、なんだか世界が目まぐるしく変化しているのを感じませんか?気候変動、いつ何が起こるかわからない国際情勢、そしてどんどん進化していくテクノロジー。そんな予測不能な時代を生き抜いていく力を育むために『未来を築いていく若者たちに必要な力とは?』そんな問いから、このコースは生まれました。
OECD(経済協力開発機構)も、「VUCA」(不安定,不確実,複雑,曖昧)が急速に進展する世界に直面する中で、教育の在り方次第で、直面している課題を解決することができるのか、それとも解決できずに人類が敗れることとなるのかが変わってくると警鐘を鳴らしています。

私は、生活の拠点とする東京、盛岡、酒田という、かなり異なる文化/社会と自然を持つ3つの場所での経験、そしてガバナンス、ビジネス、アカデミアという、これまた違う3つの領域での活動を通して、未来へのヒントを探してきました。
そんな中で出会ったのが、宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」という言葉。私は、この深い思想(well-being)と、OECDの「Education 2030」という世界が注目する教育の未来を描くプロジェクトの考え方を、このコースのカリキュラム・デザインの指針にしようと考えました。

◆OECD Education 2030プロジェクトでは、「個人、コミュニティ、そして地球のウェルビーイングの上に築かれる未来を、教学修風景.jpg育を通じて形作っていくことが、現代に生きる大人たちの責務である」と述べています。
この「イーハトーヴ協創コース」では、"机の上で教科書を広げる学び"だけではありません。地域社会が抱えるリアルな課題を、学びのエンジンにしていくようにデザインしています。 学生一人ひとりの「やってみたい!」という気持ちを大切に、主体性と創造性をぐんぐん伸ばしていくのが目標です。

学生達はまるで、自分自身の手で未来を「クラフティング(創造)」していくような感覚を味わえるはずです。OECDでは、将来に向けて準備ができている生徒は、自らデザインする学びや生活全体を通して、エージェンシーを発揮していく必要があり、それは「社会参画を通じて人々や物事,環境がより良いものとなるように影響を与えるという責任感を持っていることだ」と説明しています。

◆このコース、他の授業とはちょっと違う仕掛けもご紹介させてください。
• 頼れる「ペーサー」の存在: いろんな経験を持った社会人の方々が、先生というよりは、一緒に悩み、共に成長してくれる「伴走者」としてサポートしてくれます。スタンフォード大学で提唱され、注目されている新しい学びの形です。岩手大学に新設された『イーハトーヴ協創コース』の社会人サポーターであるペーサーは、ペースランナーのように伴走して学生たちの学びをサポートする役割を担い、心理的安全性を大事にしながら、学生一人ひとりの学びを深めていく対話型のサポーターです。

共創の Hub「TOVLAB」: 大学の中につくられた、みんなが集まれるコワーキングスペースです。学生だけではなくて、地域の色んな人(行政の人、企業の人、NPOの人)が集まって、面白いアイデアを形にするための実験が始まっています。教育システムは、もはや閉ざされた存在としてではなく、学校を取り巻くより大きなエコシステムの一部とみなされるようになっています。

• 誰一人取り残さない「UDL(ユニバーサルデザイン・フォー・ラーニング)」: みんなが安心して学べるように、学び方も、成果の見せ方も、色んな選択肢を用意するように設計しています。 それぞれの個性を大切にする学びのデザインが基本です。カリキュラムは、生徒一人ひとりの違いを認識し、それぞれの生徒が異なる予備知識や技能、また異なる態度や価値観を持っていて、それぞれが異なる学び方をすることができる動的なものでなければなりません。

宮沢賢治が夢見た理想郷「イーハトーヴ」のように、このコースが、学生たちが地域社会に貢献しながら、自分らしい理想の未来を切り開いていくための羅針盤のような存在になれたら、本当に嬉しと思っています

これから、このブログで、「イーハトーヴ協創コース」の熱い想いや、具体的なカリキュラムの特徴、デザインのプロセスなどを継続的に発信していきたいと思っています。 ぜひ、今後の展開を楽しみにしていてください。

みなさんと一緒に、これからの教育の可能性について考え、語り合えることを楽しみにしています。
それでは、また次回のブログで!

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