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「このままじゃ終われない」と思ったら──転職ではなく"転身"という新しいキャリア戦略を

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30代・40代で「このままじゃ終われない」と感じた瞬間、それはキャリアの終わりではなく、次の章が始まる合図です。

変わりたいのに、転職する勇気が出ない──そんなとき必要なのは、 環境を変えることではなく、自分の内側を組み替える”転身”という選択です。 本稿では、Chrysalis(蛹)というキャリア戦略を通して、 自分の経験を社会につなぎ直すための新しいステップを提案します。

さなぎから羽化する蝶のイメージ
“Change sleeps within, awaiting its wings.”
変化は、いま静かに内で目覚めの時を待っている

40代・50代で感じる「そろそろ次の段階に行きたい」という感覚は、能力の限界ではなく、役割の殻を脱ぐサインです。 蓄えてきた経験や知識を、次の世代・地域・教育へと社会につなぎ直すタイミングが来ています。 このとき大切なのは、外側を変えるよりも先に、自分自身の内側の再構築を始めること。 それが、転職ではなく“転身”という選択です。

では、”転身”とは何をどう変えることなのでしょうか。
転職のように肩書や職場を変えるのではなく、 自分の内側のOS(思考と意味づけ)を更新すること──それがChrysalisの考え方です。
仕事の「やり方」ではなく、「あり方」を変える。 その変化が、自分のキャリアだけでなく、社会の仕組みにも静かに波紋を広げていきます。

ここでは、Chrysalisの3ステップ Metamorphosis(内なる変化)/Emergence(行動化)/Flight(社会的価値への転化) を軸に、転身をデザインする具体的な方法を紹介します。


1.なぜ「転職」より「転身」なのか

場所や肩書を変えるだけでは、本質的な変化は生まれません。 Chrysalisとしての転身は、まず内側の意味づけと価値観を再構築することに重心を置きます。 それができると、これまでの経験が「教える」「つなぐ」「創る」という新しい視点から立ち上がり、 社会との接続に新しい回路が見えてきます。


2.Chrysalisの3ステップで転身をデザインする

① Metamorphosis(内なる変化を決める)
まず、「今の延長では社会に渡せる価値が頭打ちになる」と認めることから始めます。 どんな自分でありたいか──10年前の理想を思い出しながら、

  • いま大切にしたい価値観、これから手放したい役割を書き出す。
  • これからの自分の軸(仕事・家族・社会との関わり)を整理する。

② Emergence(言葉を行動にしてみる)
決めたことを、自分の言葉として外に出してみましょう。 noteやSNSで発信することよりも、実際の行動に変えてみることが大切です。

  • 自分の新しい軸に沿った行動を、1週間・1カ月単位で実践する。
  • 周囲の反応や変化を観察し、言葉が現実にどう影響するかを確かめる。
Chrysalisの転身は、発信ではなく試行と観察のプロセスです。 小さな「行動の芽」を育てることが、次の段階につながります。

③ Flight(社会で意味を持たせる)
行動の積み重ねが周囲に影響を与え、他者の変化を促すようになると、 それはもう「社会を進化させる転身」です。 自分の経験や考えが、職場・教育・地域など身近な場で生かされ始めるとき、 Chrysalisは個人の変化を超え、社会の変容に接続していきます。

このプロセスは、リーダーシップ教育などで使われるAAR(After Action Review)の考え方にも近いものです。 AARとは「行動のあとに振り返り、学びを次に生かすための枠組み」で、 What happened?(何が起こったか)/Why?(なぜそうなったか)/Next?(次にどうするか) の3つを問い直します。

AARが「経験をどう意味づけるか」に焦点を当てるのに対し、 Chrysalisは「経験をどう進化の物語として社会に渡すか」に焦点を当てます。 経験を自分の中だけで完結させるのではなく、 行動と学びを循環させていくことで、キャリアは「変化」から「進化」へとシフトします。


3.転身が社会を進化させる

いま、企業や大学、地域の現場で本当に求められているのは、 自分の言葉で語り、経験を生かして未来を変えていける人です。 新しい肩書きではなく、これまでの歩みを”社会の知”として活かし直せる人。 そんな人こそが、次の時代の原動力になっています。

つまり、これまでの実績や働き方を、新しい視点から意味づけし、 組織や地域で求められている「実践知」へと変換できる人です。 あなたの経験には、これまでに積み重ねた知恵や情熱がすでに宿っています。 その力を、次の世代・地域・学びの場へとつなぐことで、 あなたのキャリアは社会に新しい風を吹き込む存在になります。

転身とは、単なるキャリアの再スタートではなく、 自分の中に育ってきた可能性の蛹(Chrysalis)が羽を広げる瞬間です。 その物語が、あなた自身を成長させるだけでなく、 周りの誰かを勇気づけ、社会を少しずつ進化させていく原動力になるはずです。

この「転身が個人の可能性を拓き、社会を進化させる」という流れを、 これから仲間たちと一緒にクラフティングしていきたいと思います。 もしあなたがいま、「次の章」の扉を感じているなら、 その第一歩を、ここから一緒に描いていきましょう。 ──あなたの中のChrysalisは、すでに羽ばたく準備を始めていると思います。

(※このテーマは今後、次のプロジェクトとして少しずつ形にしていく予定です。)


この記事は、
『「40代から大学教授」が最高のキャリアと言い切れるワケ』
というダイヤモンド・オンラインの記事への補足コラムです。上記の記事とあわせてご覧ください。

関連キーワード:転身/サードキャリア/40代からのキャリア/キャリア再定義/大学で教える/実務家教員/学び直し/共創/リスキリング/キャリアの再構築

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