ワークショップは考えるプロセスにこそ価値があると思う 〜ビジネスゲームのまとめ〜
これまで、オープンワークショップとして開催したビジネスゲームについて、その内容を触れてきましたが、今回にて、まとめようかと思います。
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最後にまとめようと思います。このビジネスゲームのルールでは、利益剰余金が多い経営者がNo.1ということでした。
ルールに従い、tanacamera 社が、利益剰余金の最高額となり、優勝となりました。
しかしながら、ある一定の期間、特に各社経営が安定してきた後半を切り抜くようにして、各社の経営を、いろいろな尺度で見てみました。
売上高に対する利益率の観点からは、donku 社の経営が秀でているとの見解も出てきました。
また、自社の体力に相当する資産を基準にすれば、身の丈こそ小さいながら利益を出した、narita 社の経営も評価できるのではないか?との見方も出てきました。
以下、私の私見も加えて、まとめていこうと思います。
組織には、典型的な営業部門に代表されるような「売上高を目標設定の基準とするレベニューセンター」や、これも昔ながらの製造部門にあるような「費用(コスト)をもって目標設定の基準とするコストセンター」があります。
また、今では、その両方を意識すべき、つまり、収益ー費用を意識すべく、「プロフィットセンター」となってきました。要する費用に対して得られる収益を意識し、その差分の利益をもって、目標設定する組織です。
より、組織が大きくなれば、投ずる費用の源泉となる資産を基準とし、得るべく利益の比率を目標設定とする「インベストメントセンター」に発展していきます。属に、ROIなどと示される値が、ざっくり、これに準ずると思ってもよいかと思います。
組織には、組織に応じて、役目/役割があります。レベニューセンターが組織として幼いなどということではありません。組織は、組織を構成するさらなる小さな組織を持つことが多いかと思います。分業と調整からなる組織において、各部門が、その役割、つまり、売上/費用/利益などの責任を果たせばいいと考えます。そしてのその責任を持つ部門に属する方の内、少なくともその部門の責任ある立場であれば、自部門の尺度について、そして、関連する部門の尺度について、概ね理解しておくことが決して損ではないと思います。
これが、今回のビジネスゲームのまとめとなる「儲かる力」の計り方についての、まったくもって、ぼんやりとしていますが、示唆になります。
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このビジネスゲームは、都度、シナリオをチューニングしてはいるものの、実際に参加いただく経営者(プレーヤー)の意思決定によって、そのドラマは大きく変化します。そのため、経営の結果としての切り口は、毎回、変化することと思います。
今回は、経営分析でも比較的収益性に近い内容となりましたが、場合によってはその他の指標となることもあるでしょう。また、固定資産などの減価償却については加味していませんし、ゲームの途中で設備投資、更新も加えていませんので、このあたりを補完し、税金面を加えていけば、さらに企業における設備投資の意思決定の問題に広げることも可能かもしれません。
また、在庫の管理費が利益を圧迫する要因となっていますので、適正な在庫管理の在り方など、アカウンティング/ファイナンスの側面以外に、在庫管理を中心としたオペレーション・マネジメントに発展させることもできるでしょう。加えて、意思決定をチームで行えば、組織論の題材にもなるかもしれません。
あくまでも、ゲームですので実務とはかけ離れている面もあることは事実です。しかしながら、実際にゲームに参加し、そのゲームのアウトプットを材料とした上での、議論であれば、参加者が抱えている実務と照らし合わせながら、各自が問題意識を持つよい機会になることと思います。
私は、これまで、ワークショップに参加してくださった(くださる)方々に、次のように話をしています。
「ワークショップには、不変唯一の解はなく、また、結果はさほど大きな意味はもちません。資料だけみても、財産にはならないと思います。大切なことは、ワークショップを通じて、見て、感じて、意見を交わし、そして、考えてた、そのプロセスに、価値があると思います。」
なお、これまでの経緯については、以下のブログ記事をご参照いただけると幸いです。
0 一般向け「ビジネスゲーム」開催します! 〜若き次世代リーダーのためのオープン ワークショップ〜
1 「ビジネスゲーム」オープンワークショップ 〜第1日目 開催しました!〜
2 ビジネスゲームで考える「儲ける力」の計り方 〜ワークショップ、ご参加ありがとうございました!〜
3 分かりますか? 利益 = ○○ ー ○○ 〜将来、リーダーになりたいエンジニアなら知っておきたい常識〜
4 知らぬ間に食いつぶされてしまう貴重な利益・・・ 〜オープンワークショップの続き〜
5 自分の体力に対する利益 〜オープンワークショップの続きの続き〜
今後、ご要望があれば、あらためて開催したいと思います。ご意見、ご感想などあれば、ぜひ、コメントを頂戴できると幸いです。