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中小企業診断士がリードするビジネスゲーム。自ら実践したリスキリング(学び直し)の体験談などご紹介いたします。

自分の体力に対する利益 〜オープンワークショップの続きの続き〜

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 やや前回からあいてしまいましたが、最後まで触れないと自分としても気持ちが悪いので、ブログにて綴ります。

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前回、売上に対する利益の割合が大きい会社(プレーヤー)は優秀な経営者と言えるのでしょうか?と終えたかと思います。(ちなみに、前回はこちら「知らぬ間に食いつぶされてしまう貴重な利益・・・ 〜オープンワークショップの続き〜」です。)

 そこで、視点を少し変えてみます。このビジネスゲームでは、B/S・資産の部は、
  現金   1800
  棚卸   1200
  固定資産 1000
からスタートしています。つまり、商品の仕入れに必要な現金は、$1800であり、銀行からの借り入れはもちろん出来るようにしていますが、それでも将来の利息の支払いを考えれば、なるべく借りたくはないことでしょう。

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 しかしながら、5期あたりから、どの会社(プレーヤー)も、創業時の現金額以上の商品を注文しはじめます。おそらく、ほとんどのプレーヤーはこの事実に気がつかず、経営(ゲーム)を進めていたことと思います。が、実際のビジネスになれば、少なくとも経営者/上級管理職の方であれば、一瞬でも「キャッシュが増えているなぁ~」と実感するのではないでしょうか?

 日本の貯蓄性向の高さはよく話題にあがりますが、日本の製造業の多くも諸外国と比較すると利益剰余金を源泉とした資本形成の傾向に、その強みの一旦があると指摘されることもあります。

 そこで、各企業の経営をした参加者(プレーヤーの皆さん)にこんな質問をしてみました。

 A社は、100万円を元手に、1年間で1万円増やして、101万円にしました。
 B社は、1000万円を元手に、1年間で5万円増やして、1005万円にしました。

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 どちらの企業のほうが、儲ける力は高いのでしょうか? 単に、ビジネスの能力とすると、まさざまな観点があると思います。定量的には計れないノウハウの蓄積や文化、従業員の働きやすさなどもあるかもしれません。が、今回、「儲ける力」とした場合、多くの方は、A社を選択することとかと思います。

 つまり、収益(売上)に対する利益の大きさを考えて「儲ける力」を測定することもよいかもしれませんが、収益(売上)の源泉となる資本に対する利益の大きさを考えての「儲ける力」の測定もあってしかるべきではないでしょうか?



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 これが、資本利益率の考え方になります。

 しかも、ちょっとした算術的な分解として、分母と分子に売上を掛けていくと、売上高利益率と資本回転率という尺度に分解できます。資本回転率は、率という名がついているわりには、比率というよりも、何回転したかというイメージのほうが良いかもしれません。何が回転するのかというと、達成した売上が自分の体力ともいえる資本の何回分(何回転分)なのか?ということです。



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 そこで、ゲームの結果ともって、(総資本)回転率と、そして、体力に対する利益となる資本利益率(総資本経常利益率)を見てみます。すると、さきほど、優秀とされていたdonku社よりも、回転率が高い企業 narita社が見えてきました。資本利益率で見てみると、やはりこの narita社 は、第11〜15期については12期を除き、トップとなっています。
 自分の体力を基準にすると、narita社は会社の規模は小さくとも、とても効率よく利益を上げたといえるかも知れません。

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 それでは、「儲ける力」は、資本利益率で計測されるべきものなのでしょうか?

 このあたりは、ビジネスゲームネタとしては、最後に触れたいと思います。

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