中国とインドに続くねらい目はどこか?
正月3が日も空けると、各社や政府の2011年のビジョンとして更なるグローバル展開の話が語られている。
初出勤日の駅売りの雑誌では、週刊ダイヤモンドの「今年こそ 英語・中国語」という見出しがやけに目に付いた。
伸びる人口とGDPのような国全体のデータで見れば、中国とインドというアジアの2大国が重要度を増すのは、今や誰しも認める事実であるだろう。しかし、本当にそれだけが全てか?ということを考えておきたいものだ。
今では結果論で多くの経済評論家が「中国・インドの時代」というが、5年前に、特にインドに着目していた人はどのくらい存在しただろうか? ちなみに、BRICsという言葉が始めて登場したのは、投資銀行ゴールドマン・サックスのエコノミストによる2001年のレポートであるらしい。
さらに、
- ドル預金の大きな含み損を、BRICsファンドなどの投資信託で何とかとり戻せないか?
- 米国が、日本の「失われた20年」の後追いをするなら、このまま辛抱強くドル預金で持ち続けても、あまりいいことなさそうだし。。
など、個人としての対策も頭に浮かべながら、これから伸びてきそうな国・地域としてどのようなところがありそうか、先読みして考えてみた。
「日本の強みを生かす」という観点から見ると、まず、国策として経済援助などの向かう先が一つの有力な候補になりえるだろう。協力関係を積み重ねてきた証として、経済援助の金額は、ひとつの指標になりえると考えるからだ。特に、災害援助や人道的な無償援助ではなく、貸付資金が向かう先であり既に返済も始まりつつあるような国が、成長エンジンの回り始めた国としては理想的であると考えられる。このような観点から、経済援助に関するデータを見てみる。(出所:ODA白書2009年版 図表Ⅲ-14 国別2国間援助の実績)
図は、各国向けの政府援助(貸付)について、横軸に貸付実行額、縦軸に回収額をとり、プロットしたものである。右上がり45度線の上にある国は、貸付よりも回収金額が多く、経済成長が進み始めている様子が伺える。一方、右下がりの直線は、貸付金額+回収金額の合計が一定金額となる線であり、日本の経済援助との関わりの深さを示すものだと考える。これを見ると、中国とインドがほぼ同程度の関わりを持っており、中国には回収と同程度の金額をまだまだ貸し付けていることや、インドにはまだまだ貸付が多く持ち出し状態であることがわかる。さらに、インドネシアが資金面で日本との関係が深そうなこと、続く国々として、タイ、バングラディッシュ、フィリピン、ベチナムなどの名前が見えてくることがわかる。
この図に、さらに一人あたりGDPやGDP総額のデータを合わせてみたのが表である。
一人あたりGDPが1000ドルを越えてきており、国全体のGDP規模もそこそこ大きく市場として魅力的な地域で且つ、まだ有望株としての認知が低そうな国を探してみる。例えば、ASEAN諸国では、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムといった国々が挙げられる。中東・北アフリカ地域では、トルコ、エジプト、イラク、モロッコ、中南米地域では、ブラジルに続いて、ペルー、パラグアイなどの名前が見えてくる。
こういう情報で下調べをした上で、外銀の投資信託販売担当のお姉さんと話をしてきた。
- BRICsで言えば、やはり中国株とかはすでに上値にきているので下降リスクが高まっている
- ブラジルはオリンピックやWカップを目指して長期的にはまだ上がると見ている人が多い
- バランスとしては、下がったままのロシアの動きが鍵
という話だった。
さて、今年は、上海万博後の中国バブル崩壊?や地道な第3国の台頭、それらにうまく連動した日本の復活はあるのだろうか?
それにしても、各国の新年を祝う夜の花火の映像は派手だったなあ。日本の新年の瞬間は、どうしても「厳か」になってしまうものだが。