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フリーターがフリーターの実態を赤裸々につづります。過去働いたことのある職場を非正規雇用の立場で、法に触れない程度で自由に暴露していきたいと思います。

つまずいてもやり直せる、【生き方】のヒント

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こんにちは。葉月へちまです。

私は人材サービス系の仕事も普段請け負っているのですが、その過程で興味を抱き拝読した、キズキ共育塾代表の安田祐輔さんの『暗闇でも走る―発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由―』という本をご紹介したいと思います。

〇「キズキ共育塾」

キズキグループは、【一度つまずいても、繰り返しつまずいてしまっても、いつからでも、「何度でもやり直せる社会をつくる」】という理念を掲げ、福祉・教育分野で多角的に事業を展開しており、中でもキズキ共育塾は、「もう一度勉強したい人」のための個別指導塾です。

〇【暗闇でも走る】とは?

「発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由」という副題のとおり、本書では、発達障害によるいじめ、父のDV、一家離散、家出、非行......といった状況から、安田さんがいかにしてキズキ共育塾を設立するに至ったのかがつづられています。

〇人はなんのために働くのか?

人材系の仕事をしていると、いろいろな求職者の方と出会います。

生きていくためにお金は不可欠なものですが、そのお金を得るための労働手段は人によってさまざまです。

前回、「幸せな人生を実践する【複業】のはじめ方」という記事でもご紹介したように、お金を得ることだけが仕事ではないという人も中にはいらっしゃるかもしれません。

本書でも働き方というのは、生きていくために働く「ライス・ワーク」、好きなことを仕事にする「ライク・ワーク」、人生をかけて成し遂げたい仕事をする「ライフ・ワーク」に分かれ、その3つに優劣はなく、どれを選ぶかはその人次第だと紹介されています。

私はこの三択の場合、「ライク・ワーク」だけをあえて選んでいるのですが、先日とある人から「30代で鳴かず飛ばずの仕事ばかりやっていて意味があるのか?」といった不躾な言葉を浴びせられて少なからず悩んでいる時に、本書と出会いました。

現代社会において、「こうしなければならない」なんてことは、ほとんどない。「学校」という仕組みも、「会社」という仕組みも、誰かがつくり出したものに過ぎない。だから、その仕組みになじめなくてもがいているのであれば、そこから逃げ出して新しい道を探しても良いはずだ。

この言葉は、「会社」という仕組みを外れて生活している自分にはとても響きましたし、続けて語られていた、「生きていれば「必ずいいことがある」なんてことは言えないけれども、『暗闇でも走る』ことで、何かが見えてくるかもしれない」という言葉も誠実だと思えました。

〇必要なのは成功体験

キズキグループの理念のとおり、キズキ共育塾は一度でもつまずいたことのある方を対象とした塾です。

「つまずいた」と一言でいっても、何につまずいたのかは人によってさまざまでしょう。つまずき方がちがえば、立ち上がり方もちがうはずです。

では、さまざまな状況に置かれた人たちを相手に、キズキ共育塾はどういった支援を行っているのか。

安田さんは、「「頑張ればなんとかなる」と多くの人は言うかもしれないが、そもそも困難な状況にある人々は「頑張れない」ことに悩んでいるのだ。だから支援の第一歩は、「頑張る」ための手助けをすること」だとおっしゃっていました。

つまずいてから一度でも立ち上がったことのある人は、自分が立ち上がることができるのだと知っています。

しかし、つまずいたまま立ち上がれずにいる人は、立ち上がり方がわからないし、自分は立ち上がることができないんじゃないかと不安を抱えている。

安田さんはキズキの価値を、

  • 学校に居場所がなかった子にとって別の居場所になりうるということ
  • 進学によって成功体験を得て、自分の選択肢を広げられるということ

という点に置いています。

「進学」が成功体験のすべてではないけれど、努力が結果に繋がりやすいという点で「進学」は即効性が高いというのです。

安田さんの凄絶な人生が赤裸々につづられているからこそ、言葉に説得力があるんですよね。

人は自分の人生を肯定し、自信をつけていく。不登校や引きこもりの子たちに必要なことは、そういった「物語」だ。若い時に挫折をすると、「人生の全てが終わった」と思えてしまう。けれども、それを乗り越えたら、その経験はその人にしか紡げない「物語」に変わる。

本書の中では、具体的な勉強方法などもつづられていて、もう一度学びなおしたいと感じている社会人の方も楽しめる内容だと思います。

「生き方」のヒントが散りばめられている一冊ですので、ぜひお手に取ってみてください。

〇おわりに

2018年に刊行された本書は、キズキ共育塾の話を中心につづられていましたが、「進学だけがすべてではない」ということも言及されており、現在は、キズキビジネスカレッジのような、うつや発達障害で離職した若者の就労支援事業も行われています。

これまで就労移行支援事業所は限られた職種への支援に限られていましたが、キズキビジネスカレッジでは高度なスキルや資格の習得支援をすることで、多様な企業への就業を可能にしている点が画期的だと、人材サービス業に携わる立場としても感じました。

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