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シリコンバレー駐在のIT商社マン、榎本瑞樹(ENO)が綴る米国最新ICTトレンド

Interop Las Vegasのトレンドは、仮想化、クラウド、ユニファイド・コミュニケーション

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 ネットワーク業界最大のトレード・ショーであるInteropは、昨年に引き続きマンダレイ・ベイ・コンベンション・センターで開催され今年で21回目を迎えます。関係者によると出展者数は400社、入場者は15,000名と出展者、入場者数ともに昨年より減少した形(昨年の様子はこちら)となりました。残念ながら日本からの出張者は殆ど見られませんでした。

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 Interopに初めて参加したのは9年前。今回で10回目の参加となりますが少し当時の様子を少し振り返ってみましょう。

ネットワークをつなぐ時代から使いこなす時代へ

 2000年の当時は、ベンダー間のネットワークの相互接続性(本来の意味でのInterOp:インター・オペイラビリティ)の色合いが強く、Ciscoを始め、Nortel、3Com、Lucentなどスイッチ市場で強力なベンダーが、大規模ブースで存在感を出していていました。また、Alteon(現Nortel)、Arrowpoint(現Cisco)、Foundry(現Brocade)、F5が負荷分散スイッチ(L4スイッチ)として台頭し始めの頃です。

 LANの世界では1GbE L3スイッチを利用したインフラが定着し、「ATM vs Gigabit Ethenetの戦い」で勝利したEthernet、TCP/IPがデファクトを取ったことに疑いの余地はありませんでした。そして、インターネットの生みの親、TCP/IPを設計したことでも知られるVint Cerf氏によって「Everything over IP」が提唱され、IP上にWebのみならず音声や動画などのマルチメディア通信をはじめ、ファイル共有や遠隔操作を実現できる環境が整いました。いかにアプリケーションのパフォーマンスを引き出して効率化するかということで、Webアクセラレーション負荷分散技術が生まれた時代です。つまり、ネットワークを繋ぐ時代から使いこなす時代へと変化を遂げた年でした。

使いこなす時代からコスト削減を意識した時代へ

20090520_010_2  今年のInteropはその風貌をがらりと変えています。HP、SAP、IBM、VMwareといったサーバ、エンタープライズ・アプリケーション、仮想化ベンダーが基調講演に登壇し、VMwareの新製品「vSphere 4」がBest of Interopに輝くなど、サーバ、アプリケーション・ベンダーが高いプレゼンスを見せていました。

 また、HPとMicrosoftは企業向けユニファイド・コミュニケーション(UC)で提携し、4年間で1億8000万ドルを投じるとの発表や、eBay傘下のSkypeが、企業向けにインカムとパソコンを使うのではなく、オフィスにある普通の電話を利用できる「Skype for SIP」を披露するなど、出張や移動にかかるコストを削減せざるを得ない傾向にある企業に対して、UC、コラボレーションといったところもトレンドの一つです。

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 そして、最大のトレンドとして外せないのは、やはり「クラウド・コンピューティング」です。今年から「クラウドコンピューティング・ゾーン」が新設されており、Amazonを筆頭に35社のクラウド関連ベンダーが集結していました。

 HPのRuss Daniels氏(VP and CTO, Cloud Service Strategy)の基調講演では「Everything as a Service」を掲げる他、SAP、IBMも同様に各社のクラウド戦略が語られていました。


明日は、Best of Awardを受賞した製品やスタートアップ企業を中心にレポートする予定です!

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