デンマークでエンゲージメントを学ぶ 第5回 Future Design
デンマーク訪問記は今回で最終回です。滞在はあっという間の一週間でしたが、とても充実していた一週間でした。理由としては下記が上げられます。
- 会う人が会う人がことごとく魅力的。お会いした人の職業は様々な方達ですが、みなさんがとても生き生きと生活していらっしゃった。
- 食事がおいしい、特に野菜とチーズ。野菜はほぼオーガニックで、シャキシャキ。
- 安全、旅行中身の危険を感じたことはほぼなし。
- 街が綺麗。
- 子供の笑顔が素敵だった。
- コーヒーがうまい。
- あらゆるものがしっかりとデザインされていた。
- タバコが比較的街中で吸える。私は吸わないのですが、昨今の喫煙締め出しはどうかなと思っている中、禁煙、喫煙がうまく共存していることが心地よい。
このベースには民主主義が共有価値として存在し、それが徹底しているからにだろうなと思います。
- 多様性の重要性を理解しており、それを遵守する
- 国民が判断する材料のための透明性が担保されている
- 自分と異なる意見の人とは議論はするが、相手を尊重する
- 自分さえ良ければという概念が少なく、みんなで住みやすいいい国にするのだという意志が根付いている
- 少ないルールだが、自分がそのルールをベースに考え、行動する。
昨今の日本における民主主義が?の状況の中、スッキリした気分になったというわけです。
さて、最後のイベントはFuture Design Firm「Bespoke」でのワークショップです。Bespokeはその名の通り、未来洞察から商品開発のコンセプトを作ったり、コミュニケーションプランを考えたり、企業経営戦略を立案する支援を行なっているデザイン会社で、共同創業者の二人は世界で最も刺激的なビジネス・デザイン・スクールと言われている「Kaospilot」の卒業生で、様々な大手企業や官公庁の仕事を支援しています。我々も彼らとは共同のセミナーや弊社向けのワークショップを行なっており、その縁で今回コペンハーゲンでのワークショップとなりました。
彼らのアプローチの肝は「未来洞察」です。関係者で未来に繋がる「シグナル」を集め(フィールドワークや検索など)、それらをレビューしていくなかでインサイトを見出し、有効な方向性を見出し、可視化していきます。
Future Landscape
Our work aims to create meaningful new realities by designing the future, while using the power of cross-disciplinary thinking and doing.
We do so by applying the principles, mindsets, practises and radicalness of art in the context of today's fast moving business landscape.
我々は、様々な専門家や関係者との共創で、彼らの持つ考えや実行力を統合することにより未来をデザインし、新しく意味/意義のあることを創造するを目指しています。
我々は、変化の激しい今日のビジネス環境のなかで、コアとなる本質、マインド、実践、アートの持つ急進性などを適応し、実践しています。
彼らのサイトから引用
私は彼らのアプローチ、すなわち「未来探索」に大きな魅力を感じました。未来は自分たちで作っていけるという強い信念を抱かせるアプローチで、そこから見出される設計図は、その未来に向かって何をしたいか?であって、何をすべきか?ではないという点です。昨今の中期経営計画などの策定に於いては、比較的数値主導のあるべき姿トーンが多く、ビジネスにワクワク感がないと感じている企業が多い中、このようなアプローチはある意味新鮮かつ見えていなかった可能性が見出せるのではないかと思ったからです。
私がやっている社会課題とビジネス課題をビジネス・モデルで解決し、持続可能な社会を共創することにはぴったりなアプローチだと確信しています。
そんな意味もあり、今回は彼らの新しいオフィスでワークショップを行うことになりました。彼らはいくつかのフレームワークを持っており、そのうちの基本的な未来探索フレーム「Future Canvas」を活用したワークショップで、テーマはこの出張にご同行いただいた無印良品様にちなみ「Future of MUJI(MUJIの未来)」です。
ワークショップは彼らのFuture Canvasに沿って共創が進められて行きますが、特徴的なのは、ともかく考える、手を動かす、可視化する、共有化する、共創するで、自然とチームの意見がまとまっていく様を体験できました。非常に共創フレームとしては優れた手法です。そしてレゴの国デンマークだけあって、プロトタイピング・フェースでは、チームで考えたことをレゴを使ってイメージ化し、みんなで組み立てるワークがあり、とても効果的な使い方でした。
詳細はここでは詳しくは述べませんが、もしご興味ある方は5月31日、6月1日の二日間、彼らを日本に招き、未来デザイン・ワークショップを実施しますので、よろしければお申し込みください。人数限定なので満員の際はご容赦ください。
このBespokeでのワークシップではその前に体験したデンマークの様々なコト、モノを遺憾無く発揮し、とても素晴らしい体験とノウハウを得ることができました。弊社がリリースした共創デザイン・ワークショップはこの要素をふんだんに取り入れています。
今回のデンマーク出張でのクロージングとしてはこのBespokeとのワークショップでよかったと思っています。なぜなら我々は未来を創造できる権利と義務を持っているということを再認識し、そのための仕事、生活、人生ということを考えるきっかけになりました。それはデンマーク全体が希望に溢れる国ということの答えでもあったのです。