孫社長のtwitter活用から思うこと - 新入社員も「やりたいこと」をシェアしよう
企業では、基本的にはトップダウンで決定事項が下りてくる。
最近のソフトバンクの孫社長のtwitter活用(※)がいい例だ。「やりましょう!」と言ったあとで、部下に@で「よろしくね、○○君」となる。経営判断とはかくあるべきなのだ。もちろん、その判断の責任は社長がとる。
- 例えば営業の場合。
「今期は黒字達成が目標。4~6月の売上目標は1億円。君の予算は3,000万円ね。」
これが基本的に営業として最も優先されるべき数字になる。あくまで、基本的には。
別に「オレが1億やります!」と言っても構わないのだけれど。目標が達成できなかった
時に個人の評価が下がるのはもちろんだが、全体の目標が達成されない場合、会社の評価も下がる。最終的には社長の責任となる。 - 例えばエンジニアの場合。
「営業が受注してきたから、これ6月までに作って。大至急。人数は4人だけでね。」
この納期がエンジニアとしては最も優先されるべき数字になる。
別に、「1ヶ月で作ります!」と言っても(以下略
※参考: 孫社長の「やりましょう」どこまで進んだ? 「togetter」活用「やりましょうリスト」 - ITmedia News
■会社には個人の「やりたいこと」を共有する場は用意されていない、かもしれない。
入社式や、最初のみんなへの挨拶や、配属されたあと数カ月くらいは、「何でウチに入ったの?」ということを聞かれるかもしれない。しかし、そのあとは、履歴書に書いたことや面接での自己PRは何だったんだというくらい全く予期していない配属になったり、「とりあえずこれやっといて」と雑務を回されたりすることもあるだろう。
企業としては「これをやる」という大きな目標があって、「そのためにはどうすればいいか考えよう」ということはあっても、「君はそもそも何がやりたい?」「何をやるとモチベーションが上がるのかな?」なんて会話はほとんど出てこない。そんな悠長な話をいつもしている暇は無いし、場合によっては、関心が無いというケースもある(これは駄目だと思うけど)。
乱暴に言ってしまえば、そもそも「そんなの会社入る前に自分で把握しておけよ、自己分析とかやったんだろ」って話ではあるし、企業としても「方向性が一致している人材」を取っているはず、なのだが、やっぱり会社に入ってから初めて知ることの方が圧倒的に多い。そこから新たに「やりたいこと」が見えてくる可能性も大いにある。しかし、前述のように、それをわざわざ聞いてくれるような場はあまり無い。もしも、「方向性は合ってないけど、社員だからしょうがなくやってる」なんて意識がずっと続くとしたら、それは結構不幸なことだと思う。これは新入社員に限らない。
もちろん、そんなことを気にせずに、やりたいことをどんどんやるという人も居る。それはそれでそのまま進んで行けばいい。そういう人材が増えると凄く楽しい。孫社長は、純粋にやりたいことをただやっている。ボトルネックを見つけて、そこを解決するにはこれをやるんだ!という判断、そして実行がもの凄く速い。直属の部隊は大変というか、聞いてる限りでは死に物狂いなんだけど、そこで孫社長について行くんだというモチベーションがあるのであれば、幸せなことだと思う。そして、孫社長の考えていることはtwitterで公開され、社員だけではなくユーザーにもシェアされて行く。そうすることで多くの人を巻き込んでいくのだ。
とはいえ、そんなガツガツした(?)人ばかりではないのも現実。近年、この状況を打破するべく、「コーチング」というスキルが求められている。このエントリは新卒向けに書いているけれど、たぶん読む人の大半は社会人なので、下記の記事もぜひ読んでおいて欲しい。
■新入社員も「やりたいこと」を皆とシェアしよう
「やりたいこと」があるなら、内に秘めておかずに、何らかの形で周りに共有した方がいい。すると、自然と「一緒にやろうか」という人が見つかるものだ。または、社内外の知り合いを紹介してくれるかもしれない。1つ前のエントリで書いたような勉強会(WACATE)も、恐らくそうやって出来あがってきたものだ。ブログやTwitterでフォロワーと共有するというのもいいだろう(ただし、会社の規定や、インサイダーなどには厳重に注意を)。
また、配属先で「やりたいこと」が見つからなかったり、「何が自分のモチベーションに繋がるかが見出せない」という場合には、身近な先輩や同僚はどう考えてるのか、会社は自分に何を求めているかを”共有してもらうこと”で何かが見つかるかもしれない。
そしたら、それが新しい仕事に繋がって、会社にとっても自分にとっても良いことが起こる。
これが新入社員の第一歩であり、仕事の本質なのだとも思っている。
「…さらに、若者を育てるには、上下コミュニケーション以上に、チームコミュニケーションが重要であるという事実も明白になった。おそらく、部下の育成は上司がどれだけの指導を部下にできるかだという考え方は、もう限界なのだ。」(第2章 何が若手社員を成長させるのか P.65)