オルタナティブ・ブログ > デジタルセラー中山の視点 >

デジタルでBtoBセールスはできるのか!?

IBMに入社して20年(後編)

»

前回のブログで、IBMに入社してからお客様担当営業として活動してきた経緯を書きました。ここまでが入社して10年です。今日はこのあとの10年を振り返ってみます。

札幌から東京に戻ることになったのですが、その際、営業としてのロールも変更されることになりました。お客様担当営業としてすべての製品・サービスを担当するのではなく、特定のソリューションを担当することになったのです。このタイミングでは、営業の専門性をより高めていこうという会社全体の流れがあり、多くの営業がお客様担当からソリューション担当に転換しました。ハードウェア担当やITサービス担当になった営業もいましたが、私はソフトウェア担当となったのです。実は、お客様担当のとき、一番苦手に思っていたのがソフトウェアです。自分自身でも使っているグループウェアのLotus Notesはわかりますが、それ以外のミドルウェアはどうしても実体がよくつかめないと思っていたのです。

IBMは多くのソフトウェアを持っていますが、私はそのすべてを担当する営業となりました。担当するお客様は以前よりも広くなり、自治体や文教、医療が担当テリトリーです。私がそういった公共エリアのお客様担当営業だったことからアサインされたものです。お客様業種が変わらなかったため、これまでの経験を生かした提案ができました。自治体は全国にあるため、出張が多かったのがこの時期です。

公共エリアでのソフトウェア営業を3年担当した後、今度は違う業種を担当することとなりました。担当はいわゆるネット系の会社です。誰でも知っているような大手企業から、スタートアップまで様々でしたが、お客様がTシャツやスニーカーといった服装で打ち合わせに参加されることに、最初は驚きました。服装だけではありません。仕事のスピード感やシンプルな意思決定プロセス、よいソリューションと思えば前例がなくてもリスクをとって採用しようという姿勢。これまでの会社生活では公共部門しか担当してこなかったので、ある種のカルチャーショックといえました。 また、提案する製品も大半がNotesだった公共担当のときとは異なり、高度な分析を高速に処理するアナリティクスなど、わりと尖ったソリューションが多くなりました。

そちらを3年間担当した後は、ミッドマーケット、いわゆる中堅中小企業のソフトウェア担当となりました。ここでの営業活動もまたネット系とは対照的でした。主に地域のビジネスパートナー、いわゆる特約店さんと組んでの活動が中心なのですが、その特約店さんはITではなく事務機器の販売が中心だったりします。コピー機の調子はどうですか、といったルート営業の中で、いまIBMにこんなソフトがあるので紹介させてください、とパートナーの営業さんに振ってもらってソフトをご紹介する、それを営業車で一日に4、5件回るという感じでした。 IBMのソフトって何?IBMといえばパソコンだよね、というお客様も多く、Notes以外のソフトウェアの価値理解してもらうのは容易なことではありませんでした。

その後、インサイドセールス、現在のデジタルセールスに異動してきたのが3年前です。デジタルツールを活用しての営業活動についてはこれまでも書いてきましたのでここでは触れませんが、担当する製品が変わったことについては触れたいと思います。ソフトウェア営業になってからはずっとソフトウェア全体が担当製品でした。デジタルセールスに移ってからは、その中のデータ関連のみに対象が絞られました。これまでは全体の営業でしたので、多くのソフトウェア製品の概要のみをつかんで、お客様の課題にミートする製品をチョイスして、詳細はそのソフトウェアを選任で担当する営業に任せる、というケースが多かったのです。今度は、その任される側に来てしまったので、もう振り先がありません。もちろんプリセールスのエンジニアはいますが、営業としては自分がスペシャリストなのです。より深いスキルを身につける必要があります。現在はさらに担当製品が狭まって、クラウド型のアナリティクスソリューションの中のさらに一部のみの担当となっています。

振り返ってみると、お客様担当からソフトウェア担当に、ソフトウェアの中でもさらに一部の製品のみの担当にと範囲が絞られてきました。お客様業種、規模としては大企業を担当したことがありませんので、典型的なIBM営業とは異なるかもしれませんが、幾つかの異なる業界を担当できたのは得難い経験になったと思っています。

IBMは多くの製品、ソリューションを多様な手法でお客様に提案している会社ですので、今後どのようなお客様や製品を担当するかはわかりません。どのような営業となろうとも、プロフェッショナルとしての意識を持って営業活動に取り組んでいこうと思っています。

IBM 中山貴之のWeb Page (平日は毎日更新中)

Comment(0)