新型コロナウイルスの影響で上場企業の業績下方修正の累計は5,172億円に(3/13正午現在)
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3月11日、新型コロナウイルスの感染拡大をパンデミックとみなすことができるとの発表を受け、世界経済混乱の最中、日本の上場企業は業績予想の修正を続々と発表しています。
帝国データバンクでは、3月4日から3月11日までの間に適時開示情報を発表した上場企業のうち、新型コロナウイルスの影響が含まれ、業績予想を下方修正した企業について集計し、分析しています。
新型コロナウイルスの影響による上場企業の業績修正動向調査(2020年3月11日時点) <帝国データバンク>
3月4日から3月11日に、「新型コロナウイルス」の影響を受けたとして業績予想の下方修正(連結、非連結)を発表した上場企業は14社で、前回調査企業(~3月3日、50社)と合わせて累計64社となっています。
64社が下方修正をおこなったことで減少した売上高の合計は4643億1600万円となった(前回調査から578億7300万円拡大)
利益ベースでみると、最も下げ幅が大きかったのはエイチ・アイ・エス(東証1部)です。
一方、
東京商工リサーチは2020年3月13日、上場企業「新型コロナウイルス影響」調査 (3月13日正午現在)を公表しました。
3月13日正午までに新型コロナウイルス関連で情報開示した上場企業は525社に達しています。このうち、新型コロナウイルスにより売上、利益面などの業績面でマイナスの影響を受けた企業は115社。115社のなかで業績予想の修正(78社)による次期見通しの売上減少額は5,172億円、最終利益の減少額は1,232億円にのぼっています。
情報開示した525社のうち、決算短信や月次売上報告、業績予想の修正などで新型コロナウイルスの影響に言及したのは335社にのぼっています・
このうち、115社(構成比34.3%)が、売上高や利益の減少など、業績などへのマイナス要因、業績予想の修正要因として新型コロナウイルスの影響を挙げています。
220社(同65.7%)が「影響の懸念がある」、「影響を精査中」、「影響を確定することは困難として織り込んでいない」としています。
業績予想の修正分のマイナスは合算すると、売上高が5,172億円、最終利益が1,232億円にのぼっています。
売上高の修正額の最大は(株)エイチ・アイ・エス(TSR企業コード:292203993)で、以下、住友化学(株)(TSR企業コード:570098572)、三菱ロジスネクスト(株)(TSR企業コード:641025076)などが続いています。
出所:東京商工リサーチ 2020.3
549社の業種別では、新型コロナウイルスの影響を受けているのは、製造業が最も多く237社(構成比43.1%)を占めた。サプライチェーンの乱れや人手確保の問題などから正常稼働には至っていないケースも多い。次いで、サービス業79社(同14.3%)、小売業74社(同13.4%)と続き、上位3業種で約7割を占めています。
出所:東京商工リサーチ 2020.3