クラウド向かう未来とは?(3):変化する意識と役割
クラウドの普及が進むに連れて、企業ユーザやITベンダ側にも変化が出始めています。
経営陣は、クラウドを活用して、コストの削減だけでなく、攻めの経営や経営の見える化、そして生産性向上など、経営視点でクラウドを捉えるようになっています。そんため、経営陣はIT部門に対して、経営視点でクラウドの導入を検討するように指示をするケースが増えています。
業務部門は、営業システムや会計システムなど、自部門の判断で経費としてクラウドを導入するようになりました。そのため、IT部門からすると、管理ができなくなり、ITガバナンスが困難になるケースも出てきています。業務部門が自らの判断でクラウドを導入することを、米国などではステルスクラウドということもあり、クラウドの普及が進むと、このようなケースが増えていくと予想されます。
IT部門は、これまで業務部門からの要求や使用条件をもとにシステムを構築し運用するという受身の対応で良かったのですが、経営陣からオーダーや業務部門のクラウド導入などから、対応の変化を求められるようになっています。クラウドの導入が進むようになれば、構築運用機会の減少やITガバナンスの困難さ、そして、トップダウンへの対応など、新たな対応すべき課題も出てくるでしょう。IT部門は経営企画部門の配下になるケースも増えており、IT部門は経営戦略の立案にかかわる部署としての役割も大きくなることでしょう。
ITベンダ側の営業も提案の手法を変えていく必要があります。これまでは、IT部門中心の提案でしたが、経営陣への経営視点での提案や、業務部門への独自のクラウド提案もしていく必要があるでしょう。これまでは、例えば5年毎のシステム更改提案で大型受注を獲得できたのですが、こういった大型SIの機会は減少し、サービス提案をするといった意識改革をしていく必要もあります。すべてをクラウドを導入するということはまずないので、どこをオンプレミスに残しクラウドへ移行するかといったように、システム仕分けの支援も必要となるでしょう。これからのクラウド導入に向けてのクラウド導入のロードマップを策定することも大切になります。クラウドの比率が高まれば、既存のオンプレミスのシステムとの連携も増えてきます。ハイブリッドクラウドも含めて連携ビジネスは増えていくと考えられます。そして、クラウドはSIと比べると、薄利多売となるために、ユーザ対象範囲を拡大したり、パートナーを活用し、販路を広げていく必要もあります。クラウドの場合は、売上が少ないため、成果指標の再構築も求められるかもしれません。
エンジニア部門は、企業ユーザへの運用保守業務の機会は減少することになるため、企業ユーザに受注して運用管理する機会は減少することになるかもしれません。PaaSなどのクラウド基盤上でのサービス開発能力が求められることになり、開発者のニーズは高まっていくことでしょう。
クラウド向かう未来とは?(1):クラウド進化のトレンド (2011.7.21)
クラウド向かう未来とは?(2):オープン化とエコシステム (2011.7.22)
※「わんとぴ」キュレーター担当しています
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