情報流通量と情報消費量
インターネット、テレビ、新聞、書籍など、世の中で多くの情報が氾濫するようになり、私たちはどの情報を消費し有効活用していくのか、情報の利活用が本当に重要な時代となりました。氾濫する情報量にうまく適用することができなければ、大きな情報格差が生じることになるでしょう。
総務省情報通信政策研究所は、7月13日、「情報流通インデックス研究会」報告書を公表しました。現在の情報通信メディアの状況やインターネットによる情報流通の拡大等の動向を的確に把握できるように、新たな情報流通量指標の枠組みについて検討が必要であるという認識のもと、「情報流通インデックス研究会」を発足し報告書を公表しています。
本報告書のポイントは以下のとおりです。
- 平成19年度の流通情報量(注1)は約6ゼタビット(5.99×1021ビット)、消費情報量(注2)は約300ペタビット(2.96×1017ビット)で、ともに増加傾向(注3)。
- 近年、特にインターネットの流通情報量の伸びが著しく拡大。
- 流通情報量の約98.5%、消費情報量の約77.4%を放送メディアが占める。
(注1)電話機、テレビ受像機等の情報受信点で受信された情報量。
(注2)消費者が受信した情報のうち、実際に認知した情報量。
(注3)1ゼタビット=100万ペタビット=10億テラビット。
となっています。本報告書では、「流通情報量」と「消費情報量」について以下のように例をあげています。
○「情報流通」の例
- 電話網で音声を伝送する
- インターネットでブログ記事を伝送し表示する
- 放送電波でテレビ番組を伝送し受像機で表示する
- 郵便ネットワークで郵便物を輸送し配達する
- 書籍を全国の書店で販売する
○「情報消費」の例
- 電話に出て話を聞く
- ブログの記事を読む
- テレビ番組を視聴する
- 郵便物を開封して読む
- 購入した書籍を読む
「流通情報量」と「情報消費」の計量の考え方等については報告書に書かれているので割愛させていただきますが、「流通情報量」はインターネットを中心に急速に数値を伸ばしている一方で、「情報消費」は伸びているものの、「流通情報量」と比べるとなだらかな数値となっています。つまり、増え続ける情報量に対してユーザ側が消費できない状況に陥っていることがよく理解できるかと思います。
(出所:総務省 「情報流通インデックス研究会」報告書 2009.7.13)
情報流通の動向が、世界経済、社会、国民生活、そして政治までも大きな影響を受けるようになりました。これから益々「流通情報量」の増加が予想されますが、「情報消費」の伸びは限定的になり、「流通情報量」と「情報消費量」のギャップはさらに広がることになるでしょう。ユーザの特性にあわせて消費できる情報をどのように個々に届けるのか、ライフログやリコメンド情報といった様々な個々のユーザのコンシェルジェとなるサービスの充実が期待されるところです。