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「沈みゆく帝国」の岩谷ゆかりさんとdanboさんの対談

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渋谷のサイバーエージェントで開催された「徹底討論! アップルは沈みゆく帝国なのか? それとも、世界一イノベーティブであり続けるのか?」に行ってきました。

沈みゆく帝国」の著者、ケイン岩谷ゆかり氏の対談です。

ビットバレーなんて、アウェーだなぁと思って会場につくと、客席の一部は昔なつかしいMacworld Tokyoのような雰囲気。なぜなら、岩谷さんの対談相手が「MACお宝鑑定団」のdanboさんだったから。

会場にいらした岩谷さんは同書に解説を書いた外村仁さんやご自分の講演の後にいらした林信行さんと談笑してから登壇。 キラキラな瞳と冷静さを併せ持つ素敵な人です(例によってぴんぼけな写真でごめんなさい)。

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1時間半の対談では、お二人も会場の150人近い人々も、Appleのことをよく知っている人がほとんどなので、濃い内容になってました。

岩谷さんが最初からApple帝国は滅びていくという前提でこの本を書き始めたのではないことがよく分かりました。本書を書き終えた2013年11月から現在までのAppleの動き(特にWWDCやIBMとの提携)を見て、「一皮むけたと思う」という言葉も。

Appleのカルチャーは意外と閉鎖的で、M&Aで入った人たちの中には疎外感を感じる人もいるとか。バーバリーから来た新リテール責任者、アンジェラ・アーレンツ氏がどこまでできるかはみものだと(報道を見ていると、いまのところかなり受け入れられている感じです)。

大企業がイノベーティブであり続けるのは難しいが、長く続く帝国があるとしたらそれはAppleかもしれないともおっしゃってました。

余談ですが、ジョブズ後の社内の雰囲気の変化の話の中で、人が辞めていくときに「彼はG2G(Going to Google)だよ」という会話があるというのが面白かったです。

対談後、ミーハーな私はもちろん行列に並んでサインをいただいたんですが、前に並んでいた男性が第12章「工員の幻想と現実」でのフォックスコンの従業員、アイ・チーさんへの丁寧な取材に感銘を受けたと話したところ、岩谷さんがぱっと明るい表情になり、今でも彼女と連絡をとっているとおっしゃいました。フォックスコンの取材は特に力を入れたそうです。

書いていただいたサインはこちら。「Here's to the crazy ones」は、ジョブズ版のナレーションで知られるThink Differentの冒頭のセリフです(Appleの公式日本語訳では「クレージーな人たちがいる」に、井口耕二氏の訳では「クレージーな人たちに乾杯」になっています)。

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そういえば、お顔を存じ上げないので気付かなかったのですが翻訳をなさった井口耕二氏も会場にいらしたらしく、ミーハーな私は後になって井口氏にもサインしてもらえばよかったと後悔しきりです。くくぅ。

【追記】当日一番前の席で聞いてらした滑川海彦氏がすごくちゃんとしたリポートをTechCrunchに掲載なさったので、そちらをどぞ。

【追記その2】小林啓倫氏もすばらしいブログを。こちらもぜひ(拙速な自分のブログが恥ずかしい~)。

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