勇気あるヒーローなのかナイーブな夢想家なのか──PRISM告発の行方
先週末、英ガーディアンと米ワシントン・ポストが米連邦政府が米大手企業から極秘プログラムで個人情報を収集しているという記事を立て続けに掲載し、(米国で)大騒ぎになっています。
ワシントン・ポストの記事にはPRISMなる極秘プログラムのスライドが掲載され、そこにはMicrosoft、Yahoo、Google、Facebook、PalTalk、YouTube、Skype、AOL、Apple(プログラム参加順)がNSAにユーザーデータを提供しているという説明が。
ワシントン・ポストが掲載したのは41枚あるスライドの4枚だけ(記者の判断で4枚にとどめた)ということで、その全貌は分かりませんが、参加しているとされる企業はほぼ一斉に、ほぼ同じ主旨の声明(そんなプログラム聞いたこともないし、“direct access to our server”なんて提供していない)を出しました。
で、日曜日。メディアに情報を渡したという告発者が名乗り出ました。元CIA職員の米国国民です。
ガーディアンとワシントン・ポストの両紙が、告発者のエドワード・スノーデン氏についての記事を掲載しています(ガーディアンの記事を元に起こした記事はこちら)。
告発の動機は、米連邦政府が世界中の人々のプライバシーやインターネットの自由を破壊するのは許せないと思ったからだと語っています。お給料もよくて同僚ともうまくやっていて、フィアンセもいたけれど、不正に加担し続けることに良心が耐えられなかったと。
スノードン氏が情報提供相手として選んだ1人、ワシントン・ポストのバートン・ゲルマン記者(ピュリッツァー賞もらった人。こんな本も書いてます)は、スノードン氏とコードネームでやりとりした様子をまるでスパイ小説のように紹介しています。Verax(ラテン語で“真実を語る者”)ことスノードン氏は、文書を公開する前に当局に発覚したら自分はもちろんゲルマン氏も殺されるだろうと警告。ゲルマン氏は本気にしませんでしたが「彼には恐れるだけの理由があるのだろう」と書いています。過去に同じような告発をしようとして消えていった人がたくさんいるのかも。。。
それでも、すべてを失う覚悟で告発を決意する人がいるってすごい。しかも、リークに成功するなんて。
スノードン氏が命がけでしたことは、インターネットの自由を守るためにプラスになるんでしょうか。
個人と違って真実を語ったら失うものがあまりにも大きい企業は、多分最後まで奥歯に物の挟まったようなことしか言えないでしょう(Googleのドラモンドさんのこの投稿には苦悩が滲んでる気がします)。
この話はまだしばらく続きそうです。