TechCrunch、買収されても気兼ねなくAOL批判記事を書く
AOLがTechCrunch買収を正式に発表しました。開催中の「TechCrunch Disrupt」の壇上で契約書にサインするというイベントつき。でも、ほかの企業買収では非公開の買収総額を暴露する同メディアも、さすがに今回は買収金額を言ってません(2500万ドルとも4000万ドルとも言われています)。
発表のすぐ後に創業者のマイケル・アーリントン氏が投稿した記事(日本語版)には、買収までの経緯が説明されています。AOLのティム・アームストロングCEOは「すべき時には遠慮なくAOLを批判することが重要である」と言ったそうです。いい話だー。アーリントン氏は、AOL傘下に入る決意をした理由の1つとして、「AOLには、会社がやろうとしていることがわからないことに不満を持つ者は一人もいない」ことを挙げています。大事ですよねぇ。メディア企業にとっては特に。
ITmediaでもAOLのニュースは最近あまり取り上げていませんでしたが(Googleとの契約更新くらいかな)、同社はCEOがアームストロング氏になってから、がしがしと方向転換してユニークなコンテンツプロバイダーを目指しているのです(日経BPのこちらの記事が参考になります。ただし2ページ目は会員になる必要あり)。おおまかに言うと、独自のアルゴリズムで掲載すべき記事を判断し、内外の記者や編集者に投稿させることでコンテンツを充実させ、ブランドを確立して広告でもうけよう、という感じです。
アームストロング氏はGoogleの広告販売の偉い人からAOLの会長兼CEOに転身した人ですが、自分で新聞社を立ち上げたこともあり、ジャーナリストに対する理解があるのかもしれません。2005年にAOLに買収されたEngadgetも、AOL傘下だと気付かないくらい(実は私は知りませんでした)自由にやっているように見えます。
ただし、同氏のビジョンはあまりに遠大すぎるのか、ついて行けないで去っていく幹部も多いようです(Business Insiderより)。アーリントン氏も「AOLが成功するか失敗するかは分からない」と言ってますが、しばらく見ないうちにかなり痩せてしまったアームストロング氏にはがんばってほしいです。