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藤井聡太三冠誕生!:若手の台頭にベテランはどう対応するのか?

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子供の頃、父と毎週日曜日にNHK将棋講座を見るのが大好きだった。
升田幸三実力制第四代名人や大山康晴十五世名人は威厳あるおじいさん棋士であった。
昨日三冠となった藤井聡太棋士は息子のようで、ほほえましい。
私も将棋ファンとして、随分とベテランとなったものだ・・・

**********全体会議の話から*******************

普段は若手を意識してお話ししているのですが、今日はベテランを意識したテーマです。

私自身は将棋を指さないのですが、将棋ニュースや番組をとてもよく愉しんでいます。
昨日、藤井王位・棋聖が叡王を奪取し、羽生九段がもっていた三冠最少記録を塗り替えたことがニュースになりましたね。将棋を知らない人でも、藤井聡太三冠を知らない方はまずいないでしょう。まだ19才。これからどれだけ記録を更新し、強くなるのかと思うとファンとして楽しみです。

考えてみると、将棋の世界に限らず、どんな世界でも若手の台頭はその世界にとっては喜ばしいことであり、同時に先人たちには脅威でもあります。
じゃあ、先人たちはこの若手の台頭にどう対抗していくのでしょうね?

今日は、故米長邦雄永世棋聖のエピソードを紹介したいと思います。
(棋士には様々な敬称があるのですが、ここから先は将棋になじみのない方が多いでしょうから、さんづけで)

米長さんは4冠を達成したこともある素晴らしい棋士ですが、42,3歳ころから、羽生さんをはじめとした若手世代が台頭し、勝てなくなりました。
しかしながら、その低迷時代を克服して49才11か月で名人位を初めてとりました。
名人奪取の最年長記録です。

米長さんは振り返ってこう言っています。

若者と自分とどこが違うのかな、その差はなんだろう。
体力、気力、それから記憶力、頭の回転。
みんな僕は残念ながら劣っているんですよ、若い頃に比べて。
たった一つ豊富な点は、豊富っていい点は、経験の豊富さなんですね。
ところがですね、それを突き詰めて考えていったときに、経験豊富だという事が若者に対して、一番自分自身が劣るという事を、ある時、思いついたんですね、気が付いた。

頭の中にカスがたまっていくんですね。
ところがこのカスがいとおしくて捨てられないんです。
ですから、それを一番の自分の得意技をすてちゃって、若い人たちが研究している、そこへ飛び込んで、負かされて、自分のものにしていく。
その自分の一番得意なものを捨てて、若者と一緒に話ができるということをすることが勝利なんですね。
モデルチェンジをしていく、ということがやっぱり若いという事なんです。

~NHK あの人に会いたい「米長邦雄」より抜粋

米長さんを始め昔の棋士は終盤で勝負し、終盤に強い棋士が強かったのですが、時代がたつにつれ、羽生さんを始め若手棋士は序盤を工夫するようになり、今まで磨いてきた終盤力が生かせなくなってしまったのです。

「最新の将棋を教えてほしい」46才の米長さんは自宅を開放して10代の棋士に教えを請います。「米長道場」です。それは自分が若手を教えるためではなく、「若手に教えを請う」自分が若手から学ぶための場だったのです。
羽生さんを始め10代の若い世代に、序盤の戦い方の教えを請うて、自分自身の将棋を作り替えたのです。

米長さんの言葉を自分自身にあてはめても、耳が痛いことがたくさんあります。
経験が増えると、過去の蓄積を再利用することで、効率よく仕事をすることができます。
ビジネスにおいて、利益を生むための効率はもちろん大事で大きな武器です。
しかし、自分が築き上げてきたものが蓄積されていくと、それを捨てることがもったいなくなり(米長さんの言うところのカスですね)、新しいものを取り入れることがだんだんできなくなってきます。

例えば、IBMで働いていた若い頃は、コンピューター業界の最前線にいたわけですから、他人に比べて圧倒的にITリテラシーが高かった。
しかるに、インターネットが当たり前の世界になって、中1の息子のほうが私よりはるかにスマホを上手に使いこなし、息子のほうがある意味ITリテラシーは私より高い。

当時の状況においては最善の知識や方法も、状況が変わった現在ではそうでなくなることはよくあること。
その時に、自分が過去築きあげてきたものを捨てて、変われるか?順応できるか?簡単なことでは全くないですね。

さて、アークコミュニケーションズは10代から70代まで年齢層が幅広いのが特長です。
私を含めた、ベテランの皆さん、すでに社外にもネットワークをお持ちでしょうが、若手に学べる機会は社内にもたくさんあります。
自分が今まで得意としていたことにこだわり続けるだけではなく、それが今の状況でも通じるものなのか時々見直し、ぜひ新しいINPUTを入れて、自分を再構築してください。
皆で時々モデルチェンジをして、この目まぐるしく変化の大きい世界を一緒に生きのびていきましょう。

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そういえば、理事を務めている(公社)日本パブリックリレーションズ協会は加藤一二三九段に2017年度の「日本PR大賞 パーソン・オブ・ザ・イヤー」を差し上げた。
「ひふみん」として将棋界に今まで興味のなかった人々にも将棋を認知させ、パブリックリレーションズにおいて多大なる貢献を評価されての受賞である。
しかし、私にとっては、お年を召されても、神武以来の天才の加藤一二三九段そのものであった。あぁ、米長永世棋聖にもお会いしてみたかったなぁ。

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