判断を促すためのざっくり数値
共通認識をもつために、もっと数値の活用が出来るといいなぁ、思っている。
日経新聞の私の履歴書でカルロス・ゴーン氏が「多用な社会での共通認識には数字が有用」であるようなことをおっしゃっていたが、数字を使って認識をそろえる手法は確かに存在する。
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ビジネスの世界において、数値の正確性は大変大事です。
例えば、経理。1の位まであっている必要があります。
生産性をあげようと、受注率を計算しているときなど、正確な数値、1パーセントの差にこだわりますよね。
そうは言えど、概算で十分なことはあります。
お見積りの時に出す「概算見積もり」
プロジェクトそのものの可否を決めたり、予算を確保する目的だったり。
今日は、判断を促すためのざっくり数値の活用法についてお話しましょう。
先日、ある人に「翻訳会社の数は日本でいくつありますか?」と聞かれました。皆さんならどう答えますか?
一の位まで正確に知っている人も10の位まで正確に知っている人もいないでしょう。
実は私もそれほど自信があるわけではないのですが、「2~3,000くらいじゃないですか?」と、ある意味、無責任に数値を推測しました。
もし、誰かが調べてくれて、「大里さん、1,423でしたよ。2~3,000じゃありません!」と言われたとしても、私は全く心苦しくありません。
なぜでしょう?それは私は、その人の目的を知っていたからです。
その人は投資家で翻訳業界に投資すべきか考えるための、判断情報を探していたからです。
その人にとっては翻訳業界は未知の業界で、業界が、2~3社で占められるような寡占状態なのか、100社くらいで成り立っているような状態なのか、まずはおおよそを知りたかったからです。
こういう時、私は桁さえ間違えなければ、私の数値情報で、相手はそうそう判断を間違えないと思っています。
例えば、営業会議で知らない会社名を聞くと「その会社の売上高いくら?」と私が聞く時があります。
皆さんの答は「去年は632億円でした」「(非公開なのでOR調べていないので)わかりません」となるわけですが、私の質問の意図は、お取り引きするにあたって信用できる会社かな?調べやすい項目として、規模はどれだけの大きさの会社なの?というものです。
こういう時は、売上1億?10億?100億?1,000億?1兆?という質問で、桁があっていれば、私のニーズはひとまず満たされます。
じゃあ、「大きい会社です」と言われて納得できるか、というと、「大きい」というのは主観要素が入るので、10億円で大きいと言っているのか1000億円で大きいと言っているのかわかりません。
しかし、「売上高は非公開ですが、社員が1,000人いるので、アークコミュニケーションズの売上ということはないでしょう」と言われたら、とりあえずは納得することでしょう。(1人当たりの売上高を勝手に推測して売上高を計算します)
ざっくり数値は、主観的なことにも使えます。
「顧客訪問がうまくできなかった」と言われたときにも、「100点満点で自己採点はいくつ?」と聞くことはできます。
「60点」という自己採点と、具体的にうまくできなかったことを聞くと、次に自己採点してもらった時に、前回と比較して考えることが出来ます。
先ほどの例で言えば、私が「SONYを10にして、アークコミュニケーションズを1とすると、その会社の売上規模はどこら辺に位置しそう?」と聞けばよかったのでしょう。
「8」と答えられたら、あぁ、そのクラスの大規模会社と思っているんだなぁ、とわかります。
このように共通の基準値を作れるのが数値の特長です。
ざっくりした数値の扱いがうまくなるメリットは何か?
大局を捉え、判断が早くなります。お試しあれ。
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夫婦間では、「今の怒りは1~10のスケールではいくつ?」というのもある。かえって火に油を注ぐ結果になるかもしれないけど^^;