企業のマイナースポーツへのスポンサーシップ:マス広告で費用対効果を計れば失敗するのは目に見えている
前回のエントリーに予想外にご反響をいただいたので、解がはっきり見えないものの、前回書きそびれたことを書いてみる。
スポーツ選手またはスポーツ競技に企業が協賛する際の効果ですぐさま思いつくのは、従来のマス広告効果である。
ひとつは、大手企業がオリンピック金メダルクラスの選手を使って行うイメージ戦略であり、テレビコマーシャルが最たるものだが、いろいろな機会に露出させ、その選手や競技から受けるイメージと自社や商品・サービスイメージをリンクさせる。
ひとつは、その選手がかかわるイベントに、その企業がスポンサーをしていることを大々的に宣伝し、その選手や競技にかかわりあいの深い人々へリーチすることである。イベント・選手のユニフォームなどなど、ありとあらゆるところにスポンサー企業のロゴが目につくように置かれている。
さて、マイナースポーツで間違っても陥ってはいけないのが、このような観点から自分たちの価値を評価し、企業に売り込むことである。
もっとも、マイナースポーツにおける企業からの援助はスポンサーシップというより限りなく寄付のつもりで行っているケースが多いので、企業側はそれほど気にしていないかもしれない。でもそれは、私が母校から、「学園祭に寄付を下されば、お名前と会社名をプログラムに載せます」と言われているのに近い。
お互い広告効果がないのは知りながら、お金を出せば名前を出すというルールであることを了解しているだけなのである。
それではどこに岐路を見出すべきなのか?
私は3つの可能性があると思う。
バイラテラルマーケティングか、広報か、インナーコミュニケーションだ。
売上に最も近いのはバイラテラルマーケティングなので、この分野で効果が出れば一番手っ取り早い。(個人的にはインナーコミュニケーションの活性化に可能性を見出したいのだが、この話題はまたいつか)
バイラテラルとは「双方向」という意味である。従来のテレビコマーシャルのようにある意味、一方的に企業側から情報を垂れ流すだけでなく、潜在顧客との双方向通信またはコミュニティを形成してコミュニケーションをとり、購買に向かわせることである。
インターネット以前にバイラテラルなマーケティング手法が少なかったことを思えば、よい時代になった。ブログ、ツイッター、SNSなどソーシャルメディアにおける口コミ効果の影響は大きいので、この分野の可能性を探したいものだ。
しかしながら、コンスーマー向けの商品ならまだしも弊社のようなB2B企業において、スポーツ選手が行うバイラテラルなマーケティングってなんだろう?というのはまだまだ思いつかない。(そもそもB2Cに比べて、B2Bにおけるソーシャルメディアの活用自体がまだまだ未開拓だ)
競技を健全に続け成績を向上させるために、食事に対し科学的な観点から分析し、努力するのが当たり前のように、企業のスポンサーシップに対し費用対効果の観点から分析し、努力をすることにもっとエネルギーをかけなければいけない時代になった。
知名度のない選手や競技でも、知恵と手間で勝負すれば可能性がある時代になったのだと前向きに捉えたいなぁ。
※2011.9.28追記:アークコミュニケーションズスキーチームでチャレンジします!