縁を作る:会いたい人に会う努力
縁を大事に、そして積極的に出会いを求めていたほうだと思うけど、今でも後悔することがひとつある。
それは私の尊敬する経営者であるヤマト運輸の会長だった故小倉昌男さんにお会いしたことが一度もないことだ。
今から15年くらい前、ある大きな会合の事務局のお手伝いをしていた頃のこと。
会合の講師の候補を議論していた時に、隣に座っていた方から「若手の大里さんは誰がいい?」と尋ねられた。
「ヤマト運輸の小倉さんはいかがですか?」と発言したら、「あっ、小倉君ね。僕は同級だったけど、彼は話も面白いし、いいかもね。そうか、大里さん、小倉君が好きなのかぁ。あいつはいい奴だし、候補にいれておこう」と言われた。
小倉さんに会えると天にも昇る気持だったのだが、それからしばらくして、小倉さんは候補から消えてしまった。
ある役員が「俺の目の黒いうちは小倉には絶対話なんかさせない」と言ったせいだと噂されたが、真偽のほどは定かでない。
あまりにがっかりしてしまった私はその会そのものからも離れてしまった。
悔やんでいるのはどうしてその時、講演でない形でも会えるよう、その隣に座っていた方に働きかけなかったのかということだ。
若くて物事を頼むずうずうしさ(?)にも欠けていたし、私のような一般人がそんな有名な人と会うのは講演でないと無理だと決めつけていたこともある。そして、何よりもまたそういう機会もあるだろうと安易に思っていたに違いない。
5年前小倉さんの訃報を聞いた時に、急にあの時の会合のことを思い出し、「あぁもう二度とお目にかかることは出来ないのだぁ。作ろうと思って出来る縁もあったはずなのに」と思ったのだ。
残念なことに、絶対会いたいと思う人も最近は減ってきた。インターネットが発達して、直接お会いしなくても親しいような錯覚に陥るので不要と感じることもその一因だ。
それでも、「人と会う」というのはその人のもつオーラも含め堪能出来て、リアルならではの刺激と思う。