翻訳発注ルール2:翻訳開始前の準備に手間をさく
参考資料・用語集(対訳集)・スタイルガイドを用意すると、特に複数翻訳家を使って翻訳する際の品質がぐっとあがる。
翻訳品質を問われる時に悩ましいのがばらつきの問題だ。Aさん、Bさん、Cさんという翻訳家がいて、例えば100点、80点、60点の翻訳(訳語の選び方)だったとする。Dさん、Eさん、Fさんは皆70点ずつ。ばらついているということは、翻訳品質のマイナス要因になりやすく、後者の方が品質が高いと評価することが多い。(そうとなると、Aさんにとってはわざわざ実力値を70点に抑えなければいけないので、やりづらいこともある。)
さてそのばらつきを押さえる3種の神器が参考資料・用語集・スタイルガイドだ。(翻訳会社としてはさらに翻訳サンプルを用意することもある)
これらのものは、シンプルであればあるほどよいと思っている。量が増えやすいのは用語集だ。真面目なクライアントほど、用語集を地道に作り上げ、膨大な数になったりする。
数が多すぎると、翻訳家が目を通して記憶に残る限界もあるし、現実問題ひとつの用語に複数の訳語が発生するので、統一もしづらい。文脈の中で、用語集と違った訳をしたほうが良い時も発生するが、用語集に載っているとなるとそこからはずれることも難しい。
そういう中で、作ると必ず役立つ用語集は固有名詞集だ。部署の名前、製品名、地域名など。意外に重宝するのが名前集。社長や重役の名前など、漢字の読みがわからなくて困ることが結構ある。
翻訳前にあるということなしだが、翻訳をしながら、次の翻訳のために用語集を作ることも可能。有料ではあるが、翻訳会社に相談するのもひとつの手。
この用語集、翻訳時は対訳集の意味合いだが、社内用語の統一もかねて作ると本当に便利。中途採用が多い当社は、社員間のコミュニケーションミスを防ぐために作っている。
注記:このエントリーは当社発行小冊子「翻訳品質を上げる7つのルール」の補足として書いています。小冊子に興味がある方はこちらからお求め下さい。
http://www.arc-c.jp/present1/index.html