リスクはテイクするものではなくマネージするもの
「ベンチャー企業だからリスクを恐れず、事業を進められるんですね」と言われることがあるが、「全然違う!」と思っている。基礎体力のないベンチャーだからこそ、不必要なリスクを取ってはいけない。
大企業なら取れるリスクも小企業は会社の倒産につながることがある。
RiskはTakeするものではなく、Manageするものである。
例えば支払いターム。
会社を作りたての頃、にっこり笑って、「当社は初めておつきあいさせていただくお客様には前金で半額いただいています」と、どう考えても倒産しそうにない超大手メーカーにお願いした。担当者はびっくりした顔をしたが、「会社にかけあってみます」と言って、当方の希望とおり払ってくださった。
大手が受けてくれると、他のクライアントにも同じ条件を頼みやすい。このようにいただいた半金で、デフォルトになる可能性を回避した経験が実際何度もある。
例えば助成金。
新しい事業を考えるたびに、何か補助が得られないか一生懸命探す。「一度限りの助成金をもらうために時間をかけるのなら、(リピートが期待できる)顧客開拓に時間をかけたほうがよい」と思ったときもあった。が、助成金をもらう確率が顧客開拓できる確率に比べて高いのなら、やっぱり応募するべきだと考え直した。
資金に余裕があると、投資もしやすく、それが顧客開拓につながりやすい。
例えば人。
どんなにつらくたって、売上げの長期見通しがたって初めて雇う。確かに人材難の中、人を雇うのは難しい。だが、人の首を切るのはもっと難しくて、そしてつらいことなのだ。(私はそれを別の会社で数度経験したので、自社では経験したくない)
リスクが少なくなるまでは、アウトソースをしたり、派遣スタッフを使ったり、社員の残業でまかなったり、たとえ一時的な費用が高くなっても、工夫出来るものだ。
「リスクを恐れず」という言葉の魔法にかかってはいけない。
リスクを最小限にしてこそ、本来の業務にまい進できると思うのだが、いかが?
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